トイプードルの鳴き声について
トイプードルの鳴き声について、一言に「鳴き声」と言ってもその鳴き方や込められた意味は様々です。トイプードルに限らず犬の鳴き声と言えば「ワンワン」ですが、一言だけの「ワンッ」や連続した「ワンワンワン」、他にも「キャンキャン」「ヴーッ」「クゥーン」など、鳴き声のバリエーションは非常に豊富で人にとっての「言葉」のような役割を担っています。
そのため、トイプードルの鳴き声全てを「無駄吠え」「うるさい」と捉えてしまうのは非常に勿体無いと言えます。愛犬との暮らしをより豊かにするためにも、トイプードルの鳴き声の違いやそれぞれに込められた意味を再確認してみましょう!
トイプードルの鳴き声からわかる気持ち
トイプードルの鳴き声からわかる気持ちには、主に以下のようなものがあります。愛犬の鳴き声や行動と照らし合わせながらチェックしてみてください。
ワンワン
トイプードルが「ワンッ」「ワンワンッ」という鳴き声を出すことは非常に多いですよね。この最もスタンダードとも言える鳴き声に込められた意味を知るためには声の大きさや高さに注目する必要があります。
高めの声で「ワンッ」と鳴くのは嬉しい時や楽しい時、遊びに誘う時などポジティブな意味が込められていることが多く、反対に鋭く低い声で「ワンッ」と短く鳴くのは驚いた時や止めてほしい時、「ワンワンワンッ」と吠え立てるように鳴く時は何かに警戒して鳴いていることが多いようです。
キューン、クゥーン
トイプードルが「キューン」「クゥーン」など鼻を鳴らすような鳴き声を出す時は、不安や恐怖を感じていたり、何かを要求していたりすることが考えられます。例えば飼い主さんの外出前に甘えるように「キューン」と鳴いたり、おやつや遊びをおねだりしている時に「クーン」と鳴いたりすることがあります。
また、悪戯などを怒った後にキュンキュン鳴くというわんちゃんも少なくないようですね。いずれにしても、飼い主さんの気を引きたいという意味が込められている鳴き声であるため、トイプードルが何を求めているのかを表情や行動と合わせて観察しましょう。
ウーッ
犬が「ウーッ」「ヴーッ」と唸り声のような鳴き声を発する時は怒っていることや、警戒していることが考えられます。触られたくない場所を触られた時、知らない人や犬を警戒している時などに眉間にシワを寄せ、牙を剥きながら「ウーッワンワンッ」と吠え立てるようにして鳴きます。
と言っても、遊びに夢中になっている時に狩りごっこのつもりや、おもちゃへの所有欲によって「ウーッ」と鳴くこともありますので、必ずしも本気で威嚇しているとは限りません。ただ、少なからず興奮状態であることは間違いありませんので、トイプードルが「ウーッ」と唸るように鳴く時は一度落ち着かせるようにしましょう。
アオーン
トイプードルが「アオーン」と遠吠えのようにして鳴く時の気持ちや理由については明確になっていないものの、留守番中の寂しさを和らげるためであったり、ただのストレス発散であったりすると言われています。また、パトカーなどのサイレンに反応して遠吠えするトイプードルも多いようですが、これはサイレンと遠吠えの周波数が似ていることから、本能を刺激されるためであると考えられているようです。
グルグル
トイプードルが「グルグル」「グゥグゥ」といった喉や鼻を鳴らすような鳴き声を発することがあります。これは非常にリラックスしている状態や、飼い主さんに甘えられて満足している時に見られることが多いようです。また、おねだりをする時にグルグル鳴くトイプードルも多いようですね。いずれにしても、飼い主さんへの信頼の気持ちが溢れている鳴き声であると言えます。
キャンキャン
トイプードルが「キャンキャン」と鳴く時は強い要求の意味が込められていることが多いようです。ケージから出して欲しい時やドアを開けてほしい時などに、キャンキャンと甲高い鳴き声で激しく鳴くこともあります。
また、痛みを感じた時に「キャンッ」「ギャンッ」と短く鳴くことも。痛みが激しい場合や体調不良などの場合はか細く「キャイーン」とか細く鳴く場合もありますので、様子がおかしい場合は早急に動物病院を受診しましょう。
こうしてトイプードルの鳴き声の種類をあげてみると意外とその種類は多く、それぞれに意味が込められているのでとても面白いですね。犬は人と同じように言葉を話すことはできませんが、鳴き声や表情、仕草をしっかり観察すればその気持ちを理解することができます。ただ、トイプードルの鳴き声や鳴き方には個体差もあり、お喋りな子もいれば寡黙な子もいますので愛犬の鳴き声、鳴き方の特徴や個性をしっかり観察してその気持ちを読み取りましょう。
また、「ワンワン」などの鳴き声に「フガフガ」「ゴフッ」といった咳のような音が混じっている場合や声が枯れている場合などは体調に異常をきたしている可能性もありますので、鳴き声がおかしいと感じた場合は早急に動物病院を受診してください。
トイプードルの鳴き声をやめさせるには
トイプードルの鳴き声をやめさせたいと考えている時、まずは「何故鳴いているのか」ということをしっかり理解する必要があります。前述したように飼い主さんへの意思表示として鳴いていることもあるため、鳴き声すべてが「無駄吠え」であるとは限りません。それを踏まえたうえで過剰な鳴き声や無駄吠えをやめさせる方法には以下のようなものがあります。
無視をする
トイプードルの過剰な鳴き声や無駄吠えをやめさせる最も有効的な対策法は「無視」をすることです。無駄吠えの原因として最も多いのが、トイプードルが鳴き声を発した際にそれを制すために名前を呼んだり、側に駆け寄ったりすることで「鳴けば飼い主さんが反応してくれる」と認識してしまうケースです。
ただ、全ての鳴き声を無視することは信頼関係を壊したり、大きなストレスとなったりする可能性もありますので注意してください。明らかな無駄吠えである時は声を掛けない、目を合わせないなどの方法で「吠えても良いことはない」と認識させることを心がけましょう。また、吠えるのを止めたら大袈裟なくらい褒めてあげることも大切です。
服従関係の見直し
トイプードルは全犬種のなかでも非常に知能が高い犬種であり、その利口さ故の問題行動が起こることも少なくありません。可愛いからといって甘やかしてばかりいると正しい服従関係を築くことができず、トイプードルが飼い主さんよりも自分のほうが上位の存在であると認識してしまう可能性もあります。
そのためトイプードルの過剰な鳴き声や無駄吠えが気になる場合は、服従関係の見直しから始めましょう。基本のアイコンタクトや「おいで」「戻れ」などの基本のコマンドさえマスターできればどんなに夢中で吠えていても飼い主さんの一声でクールダウンすることが可能になります。
まずはおやつを食べている時やおもちゃで遊んでいる時などとにかく愛犬が夢中になっているタイミングで名前を呼んで目線を合わすことができるか、飼い主さんの側に呼び寄せることができるかを確認して、難しい場合は每日少しずつトレーニングを行いましょう。この時も成功したら大袈裟に褒めてあげることが大切です。
社会化の仕切り直し
犬には社会化期と呼ばれる環境に適応する能力を養うための期間があります。この時期に外の環境や知らない人、犬などと触れ合う機会が少なかった場合、自宅以外の場所や家族以外の存在に過剰な警戒心や恐怖心を抱くことがあり、それらが過剰な鳴き声、無駄吠えに繋がることも少なくありません。そのため、外の音や知らない人、犬に過剰に吠える場合などは社会化の仕切り直しを試みましょう。
この社会化は生後3ヶ月~4ヶ月頃までの社会化期に積極的に行うことが理想とされていますが、成犬になってからの社会化も不可能なものではありません。社会化の方法は個体の状態によっても異なりますが、まずは積極的に家の外に出掛けることから始め、遊びやおやつを用いて自宅の外=怖い場所ではなく「楽しい場所」であると認識させてあげましょう。
トイプードルが何故無駄吠えしてしまうのかを理解することさえできればその対策はそう難しいものではありません。トイプードルが吠えた時に「○○、うるさい!静かにしなさい!」など大きな声で注意するという行動が愛犬にとっては飼い主さんも一緒に吠えているような気になり、かえって無駄吠えを助長しているというケースも少なくありません。
トイプードルに無駄吠えさせないためにしつけをしなければ…と気負う前にまずは無駄吠えする時の状況やその時の飼い主さんの対応、落ち着くタイミングなどを今一度しっかりと見つめ直してみてくださいね。
トイプードルの子犬のしつけ方
トイプードルの子犬の基本的なしつけトレーニングについてご紹介します。
主従関係を築く
トイプードルの子犬をお迎えしたら、まずは正しい主従関係と信頼関係を築くことが最前提となります。と言ってもその方法は難しいものではなく、子犬の体に積極的に触れることだけです。足やマズル、お腹、しっぽなど、本来触られるのを嫌がる部位も徐々に触れるようにしていきましょう。本来犬は自分よりも目上と認めた存在にしか体を触らせない動物です。子犬の体を撫でることで飼い主さんが自分よりも上位の存在であると認識してもらいましょう。
アイコンタクト
トイプードルの子犬のしつけの基本となるのがアイコンタクトです。子犬がおもちゃなど何か他の物に気を取られている時に名前を呼び、目線を合わせるトレーニングを行いましょう。愛犬が何かに動揺したり、迷ったりした時は飼い主さんの目を見て判断を仰ぐ習慣を付けることで、慣れない環境においても愛犬の行動をコントロールできるようになります。名前を呼んだり、何か物音を立てたりした時に子犬が目線を合わすことができれば大袈裟に褒めてあげましょう。
基本のコマンド
トイプードルのしつけにおいてまず優先してトレーニングを行うべき基本のコマンドは「おすわり」「待て」「戻れ」です。これらは愛犬の行動をコントロールするために必要となるコマンドであるため、お迎えした日から徐々にトレーニングを始めましょう。
コマンドは短く分かりやすい単語であれば何でも構いませんが、「おすわり」「すわれ」など同じ意味のコマンドにバラつきが生じないように注意してください。トイプードルの子犬に「おすわり」を教える時は、おやつなどを持った手を子犬の頭上までゆっくり上げていき、おすわりの姿勢になったタイミングで「おすわり」とコマンドを出し、大袈裟に褒めることを繰り返します。他の「待て」や「戻れ」もその姿勢や状態まで誘導し、1回だけ短くコマンドを出し、成功したら大袈裟に褒めるという順序を繰り返します。
犬のしつけトレーニングにおける「コマンド」には様々なものがありますが、「お手」「おかわり」などは「芸」に近いものであるため必ずしも必要なわけではありません。そのため、一度にたくさんのコマンドトレーニングを並行して行うことや長時間トレーニングを続けることは避け、気長に寛容な気持ちで向き合うことが大切です。
トイレトレーニング
トイプードルの子犬のトイレトレーニングは、排泄のタイミングを見計らってトイレに連れて行き、成功したら大袈裟に褒めることを繰り返します。失敗してしまった時は黙ってサッと片付けることを徹底し、決して怒鳴ったり叱ったりしてはいけません。排泄は生理現象であるためトイレの失敗を叱ってしまうと何故怒られているのか理解できず、我慢したり隠れて排泄したりするようになってしまう場合もあります。
また、トイレの環境を整えることも非常に大切です。トイレの場所や大きさ、位置、トイレシートの種類など愛犬に合っているかどうかを再確認しておきましょう。最初の頃はトイレシートをケージ内やサークル内一面に敷き、徐々にそのスペースを狭めていくと良いかもしれません。初めてトイレが成功した後は排泄したシートをすぐに片付けてしまわず、多少ニオイが残っている状態を維持したほうが子犬が認識しやすくなる場合もあります。
トイプードルの子犬をお迎えしたら、その日からしつけトレーニングを始める必要があります。「まだ赤ちゃんなのに可哀想」と思われるかもしれませんが、何もしつけは叱りつけるものではなく、トイプードルが安全に快適に暮らしていくためのルールを教えるためのトレーニングなのです。始めからあれもこれもと様々なトレーニングを行うとトイプードルの子犬も飼い主さん自身も混乱してしまう可能性もありますので、徐々に愛犬のペースでしつけを行いましょう。
まとめ
トイプードルの鳴き声についてご紹介しました。実際に愛犬と暮らしていると、様々なシチュエーションで様々な鳴き声を聞くことがあります。それぞれに意味があり、犬にとっては意思表示の手段でもある鳴き声ですが、あまりに過剰になるとご近所トラブルに発展する心配もありますよね。とは言え、トイプードルに全く鳴き声を出させないことは不可能であるため、その意味や気持ちを理解することで鳴き声をコントロールできるよう工夫していきたいですね。
実際にトイプードルと暮らしている飼い主さんが様々な場面でのトイプードルの鳴き声動画を動画サイトやSNSにアップされていますのでチェックしてみるのもいいかもしれませんね。トイプードルの過剰な鳴き声や無駄吠えが気になっている場合は、そのきもちを理解することから始めてみましょう!