なぜ犬はフラッシュ撮影すると目の色が変わるの?

なぜ犬はフラッシュ撮影すると目の色が変わるの?

せっかくかわいい愛犬の写真を撮ったのにフラッシュのせいで目の色が光ってしまった…という経験をしたことのある人は多いでしょう。なぜ犬の目の色はフラッシュ撮影で変わるのか、どうすれば光らないようになるのか解説します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬の目の色がフラッシュ撮影で変わる原因

黒背景のボーダーコリー

フラッシュを利用して犬を撮影すると、目が光ってしまうことが多くあります。その現象には理由があり、犬の目の構造が深く関係しているのです。
犬の目には人間の目にはない「タペタム」という層があり、光を反射する働きを持っています。このタペタムは夜行性や薄明薄暮性の動物として活動する動物に多く見られる構造で、夜間の月光やわずかな太陽の光など、少ししかない光を眼球内で反射させて網膜に届く光の量を増やすことにより、少ない光のもとでも物を見ることができるようにするという効果があります。

犬はタペタムがあるからこそ、自然の中の暗い夜道でも困らずに活動することができるのです。ちなみに犬を夜間留守番させるときに、電気をつけていなくても問題ないとされているのは、タペタムの機能によって、暗くてもある程度見えており日常生活に支障がないためです。

フラッシュを利用して犬を撮影すると、その光が目の中のタペタムに当たって反射し、赤や緑に光って見えることが多いようです。赤は、網膜などにある毛細血管、血液の色によるもの、緑や青はタペタムによって反射た光の色と考えられます。

フラッシュの犬の目に対する危険性

目をつぶるマスティフ

犬の目は少ない光を取り込んで、タペタムによって増幅して利用することができます。明るい場所で活動するときには、目の瞳孔を小さくすることで入ってくる光の量を減らしています。
犬も人間と同様に光の量によって自然と瞳孔の大きさが調節されるようになっていますが、急激な光量の変化にはついていけないこともあります。そのため、瞳孔が大きく開いている夜間や暗い場所でフラッシュ撮影をすると、犬の目に突然強い光が大量に入り、強烈な刺激となってしまう危険性があるので注意が必要です。1回のフラッシュ撮影で網膜がダメージを負うことはないでしょうが、犬にとってとてもまぶしく不快であることは間違いないでしょう。

フラッシュ撮影で犬の目が光らないようにする方法

カメラを持つ人の手とカメラにうつる犬

タペタムを持つ犬の目は、フラッシュによりどうしても光ってしまいます。愛犬の自然な表情を撮るため、そしてまぶし過ぎて嫌な思いをさせてしまわないためにも、できるだけフラッシュなしで素敵な写真が撮れるポイントを知っておきましょう。

撮影時、犬の目を光らせないためにはフラッシュを利用しないことが必要です。フラッシュを使わずに明るい写真を撮るためには、カメラのISO感度を上げる方法が効果的です。これはほとんどのデジタルカメラや一眼レフカメラ、スマートフォンカメラなどで調整することができるもので、数値が大きいほど少ない光で明るい写真を撮ることが可能になります。

ただしISO感度が高いと粒子の粗い画像になるため、明るさと解像度のバランスを見て調整するといいでしょう。ISO感度をどの位まであげられるか、どの位まであげても粗い写真にならないかは機種によって違いますが、屋外の明るい自然光の下では100~400程度、屋内であれば400~3200程度などで試してみるといいと思います。

また、犬の目の色を変えないための方法としてさらに簡単なのが「赤目軽減機能」を利用することです。多くのカメラやスマートフォンについている機能で、撮影前にフラッシュを光らせることで瞳孔を小さくしておいて、実際の撮影時に目が赤く光ることを抑えるものです。

<まとめ>フラッシュ撮影時の犬の目の色について

たくさんの写真の上に寝転ぶ犬

フラッシュ撮影をするときに犬の目が光ってしまうことは、仕方がないと諦めている人もいると思います。しかし、なぜフラッシュ撮影で目の色が変わるのかという理由と対処法を知っておくことで、それらを抑えることが可能です。
最近のカメラには赤目軽減機能などがついていたり、ISO感度をすぐに調整することができたりと、対策も簡単に行うことができるのでぜひ活用しましょう。

ただし、フラッシュを使用していないのに目の色に変化がある、白っぽく見えるなどという場合には目の病気が隠れていることもあります。けがによる出血や腫瘍、白内障や緑内障、目(角膜)の傷などによって目の色が変わって見えることがあります。少しでもおかしいと感じたときには病院で調べてもらうようにするといいでしょう。

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