ボルゾイの性格
- 温厚
- 落ち着きがある
- 繊細
- 甘えん坊
- 好奇心旺盛
ボルゾイは、温厚で落ち着きがあり、非常に従順な性格をしています。静かに人に寄り添うことが好きで、吠えることも少ないです。独立心がありしっかりしていますが、繊細な部分も持ち合わせています。また、優雅な見た目からは想像できないような、甘えん坊な一面を見せることもあります。
一方で、ボルゾイは猟犬としての気質も持ち合わせています。そのため、他の動物を見つけると、野生にかえったかのように、俊敏に走り出す姿が見られるかもしれません。本来ボルゾイは、好奇心旺盛で遊ぶことが大好きな犬種です。遊びがエスカレートすると、相手を獲物に見立ててしまうこともあるため、ボルゾイと遊ぶ時はけじめをつけて接することが大切です。
飼い主さんに静かに寄り添う「静」と、好奇心旺盛で猟欲の強い「動」の2つの対照的な性格が、ボルゾイの魅力とも言えるでしょう。
ボルゾイの特徴
体高/体重
- オス 体高75~85cm 体重35~45kg
- メス 体高78~78cm 体重27~40kg
ボルゾイは超大型犬に分類されており、成犬になると非常に体が大きくなります。ただし、性別や個体差で体高や体重に違いがあるため成犬になるまではどれくらいのサイズまで成長するのか予測ができない傾向にあります。
生まれたばかりの赤ちゃんのボルゾイの体重は500gほどです。その後、生後2ヶ月になると一気に体重が約8kgになるまで大きくなり、生後半年で約20kg、生後1年頃には約30kgにまで体重が増加します。子犬の時期に急激な成長が見られるのが特徴です。
体の特徴
頭から鼻先までの長さがボルゾイの体の特徴の1つです。背中はスラっとカーブしており全体的に細身ですが、筋肉もしっかりとついていてます。歩く姿は気品に溢れており非常に優雅ですが、走るスピードは非常に速く、しっかりと獲物をとらえることができる強い顎を持っています。
毛色/毛質
ボルゾイの毛色で多く見られるのが、ベースのホワイトにレモンやグレー、ブラック、クリームなどの斑点があるものです。その他にも、ホワイトやブラックの単色や、レモンやレッド、ゴールド、シルバー、セーブルなどがあり、毛色のバリエーションが豊富なことで知られています。なお、日本で人気があり価値が高いのは、ホワイト系のボルゾイです。
ボルゾイは絹糸のような毛質の長くて美しい被毛をしています。被毛は、ストレートのみではなくウェーブやカールがかかっていることもあり、個体によってさまざまです。
寿命
ボルゾイの平均寿命は、10~12歳くらいと言われています。ボルゾイと同じサイトハウンド系のサルーキの平均寿命は12~14歳くらいなので、同じ系統の犬種の中では寿命がやや短めです。
一方でボルゾイは寿命の個体差が大きい犬種と言われています。健康管理や飼育環境、遺伝性の疾患の有無によっても変わってくるため、平均寿命はあくまでも目安として考えてください。
ボルゾイの飼い方
環境
ボルゾイは室内飼いが適しています。元々ボルゾイは、極寒の中で生活していたため寒さに強く暑さに弱い犬種です。室内で飼育する時は、室内温度を23~25℃くらいに保ち、暑くなり過ぎないように注意しましょう。
超大型犬のボルゾイを飼育するには、ストレスを溜めないようにするためにも、それなりのスペースが必要です。室内での飼育が基本となりますが、広い庭などに出入りすることができればボルゾイにとってより快適な環境となります。
猫やウサギなどの他の動物と一緒に飼うことは避けた方が良いでしょう。他の動物を獲物と認識して追いかけまわしてしまう危険があるからです。もし、他の動物と一緒に飼わなければいけない場合は、ボルゾイが子犬の時から慣らしておく必要があります。
運動
ボルゾイは、狩猟犬で走り回ることを仕事としてきたため、多くの運動量が必要となります。必要な運動量を満たすためには、1日2回、最低でも1回1時間~1時間半ほどの散歩を行いましょう。
飼い主さんと一緒に早歩きや小走りをするだけでなく、少しだけでも良いので全力疾走できる機会を作ると、ボルゾイのストレス解消になります。ボルゾイが自由に走り回れる、広々としたドッグランに定期的に連れて行くこともおすすめです。
必要な運動量には個体差があるため、ボルゾイが満足しているかどうか様子を見ながら、それぞれに見合った散歩や運動を取り入れてください。
食事
ボルゾイは食べむらや好き嫌いが多い傾向があり、基本的に小食と言われています。そのため、少ない量でも十分なたんぱく質を摂取できるようなドッグフードがおすすめです。
しかし、すべてのボルゾイが小食とは限らず、中には食欲旺盛なボルゾイもいます。食欲旺盛な場合は、太りすぎに注意が必要です。ボルゾイは体の大きさの割に足が細く華奢な骨格をしています。そのため、肥満になると関節に負担がかかりやすく、股関節形成不全を引き起こす危険性があります。
肥満は股関節形成不全だけではなくさまざまな病気の原因となるので、日頃から体重の管理を行い、食事の量をコントロールするように心がけましょう。
お手入れ
ボルゾイのお手入れは、毎日のブラッシングに加えて月に1~2回ほどのシャンプーが必要になります。ボルゾイの被毛はダブルコートなので、春から夏の間と秋から冬の間は換毛期にあたり、抜け毛の量が非常に多くなります。抜け毛を少しでも予防するためにも、換毛期は特に念入りに被毛のお手入れを行いましょう。
被毛は細くて柔らかいため、毛玉ができやすくノミやダニなどもつきやすくなります。ボルゾイは皮膚があまり強くないので、そのままの状態にしておくと、皮膚トラブルの原因となるかもしれません。ボルゾイの美しい被毛を保ち皮膚トラブルを予防するためにも、日ごろからお手入れを欠かさないようにてください。
しつけ
ボルゾイは、獲物とみなしたものを追いかけまわす習性があり、その速さは時速50kmとも言われています。また、体も大きく噛む力も強いため、怖いという印象を持つ人も少なくありません。ボルゾイが、人や他の犬に吠えたり飛びかかったりしないようにするためにも、しつけをしっかりと行う必要があります。
非常に賢く訓練能力に長けているボルゾイですが、独立心が強くプライドが高い面があります。そのため、しつけがしにくいと感じる飼い主さんもいるかもしれません。
ボルゾイのしつけは、褒めて伸ばすことがコツになります。ボルゾイは飼い主さんに寄り添うことを好む性格をしているので、怒られると大きなストレスが溜まってしまいます。飼い主さんが喜ぶ姿を見ることが、ボルゾイのやる気につながることを忘れずにしつけを行いましょう。
ボルゾイの子犬を迎え入れるには
ペットショップ
日本での繁殖頭数が少ない犬種のため、ペットショップでボルゾイの子犬が店頭販売されていることは少ないでしょう。ペットショップの中には、店頭にはいない子犬を探してくれるところもあります。
必ず見つかるとは限りませんが、ボルゾイを購入したい場合はペットショップで一度相談してもみるのも良いかもしれません。
ブリーダー
ボルゾイの子犬を迎える場合は、ブリーダーからの購入がメインになります。ボルゾイのブリーダーを選ぶ際は、犬舎の見学をさせてくれるかどうかや、親犬や兄弟犬の健康状態についての情報を開示しているかなどを必ず確認しましょう。
その他にも、ワクチン接種の有無や購入後に相談に乗ってくれるかなども、ブリーダーを選ぶ上での大切な確認ポイントになります。中には、ショータイプではないボルゾイをショータイプのボルゾイと偽り、高値で取引するブリーダーもいるようなので、ブリーダーを選ぶ際は注意が必要です。
ボルゾイの専門的な知識をしっかりと持った優良なブリーダーであれば、見た目だけではなく、遺伝的な疾患にも気をつけて繁殖を行っています。コミュニケーションを取りながら優良なブリーダーを探し、ボルゾイを迎え入れましょう。
里親
ボルゾイを家族に迎える選択肢の1つに里親があります。保健所や動物愛護センターなどの他に、民間のボランティア団体などでも里親の募集をしており、インターネットで情報を入手することができます。
ボルゾイは人気があり、里親を募集していたとしてもすぐに新しい飼い主さんが見つかる傾向があるので、こまめにチェックすることをおすすめします。
里親を募集しているボルゾイに出会ったら、なぜ保護されているのかや遺伝的な疾患の有無などを確認して、責任を持って大切に飼うことができるかを慎重に考えてから迎えましょう。
ボルゾイの価格
ペットショップでボルゾイを購入する場合の平均価格は、実際に店頭で販売されていることが少ないためはっきりとは分かりません。
通常ペットショップでの販売価格には、手数料や流通コスト、人件費などの経費が上乗せされるため、ブリーダーからの購入価格よりも高額になることが多いと言われています。もし、ペットショップから取り寄せなどをしてボルゾイを購入する場合は、事前に値段を確認しておきましょう。
ブリーダーから購入する場合のボルゾイの平均価格は約20万円と言われています。ボルゾイの値段は、毛色や模様の配色などの他に、見た目や血筋などによって変わります。また、ショータイプのボルゾイは、ペットタイプのボルゾイよりも値段が高くなり、50万円以上の値段で販売されることもあるようです。
ボルゾイの歴史
ボルゾイの起源は13世紀頃、ロシア各地で活躍していた獣猟用の犬種に、牧羊用の犬種「ロシアンシープドッグ」や、熊狩り用の犬種「ベアハウンド」などを掛け合わせて作出されたという説があるようです。
15世紀頃になると、ロシアでは狼狩りの活動が盛んになったため、多くのボルゾイが活躍しました。その当時、狼狩りでの活躍ぶりから、「ロシアン・ウルフハウンド」という呼び名がついていました。ロシア革命以前、ボルゾイは貴族に寵愛され、皇帝の犬舎には数多くのボルゾイが飼育されていたと言われています。
ロシア革命後、貴族社会が崩壊するとボルゾイのほとんどが始末されてしまったため、一時は絶滅の危機に差し迫られました。しかし、ロシア皇帝がボルゾイを贈り物として、他国の王族に渡していたことにより、絶滅という最悪の事態を乗り越えました。
1936年に改名され、ロシア語で「俊敏」を意味する「ボルゾイ」という犬名になりました。現在ボルゾイは、その美しい見た目から、観賞用の犬として世界中の人々に親しまれています。
まとめ
穏やかで繊細な性格のボルゾイですが、元々は狩猟犬として活躍していた体も大きく足も速い犬種です。ボルゾイを飼う時は、人や他の動物に危険が及ばないようにしっかりとしつけを行いましょう。
また、温度調節に気をつけて、ボルゾイがストレスを溜めないようにしっかりと運動を取り入れることも大切です。ボルゾイについての知識を持ち、しっかりと準備をしてから家族として迎えてもらえればと思います。