犬に野菜は必要か?
犬は雑食の動物
もともと犬は、草食動物を捕食して食べる肉食獣です。しかし、それは生きている動物を生で捕食することによって、ビタミンやミネラルを摂取することができたので、野菜や果物を食べる必要はありませんでした。
ですが、現在、家庭犬として飼われている犬は、生の肉からビタミン、ミネラルを摂取することができません。その代わりに、総合栄養食としてドッグフードを食べることによって、肉だけでは得られない栄養素を体に取り入れています。そのため、内臓の仕組みは私たち人間のように、草食動物に比べて野菜の消化率が低く、雑食に近いと考えられています。
つまり、野菜を食べたとしても、栄養素を十分に体内に取り入れることができないのです。犬にとって野菜は「絶対に食べなければならない食物」とは言えません。全く食べなくても健康を損なうこともありませんし、野菜や果物を食べているからと言って、ドッグフードや肉だけを食べている犬と比べて、格段に体調が良いということもありません。
腸内環境改善の効果がある食物繊維
強いて言えば、野菜に含まれる食物繊維は、人間にとっても犬にとっても腸内環境を整えてくれる働きがあります。腸内環境が整うと、便通が良くなり、内臓の動きも活発になります。
空腹感を満たし、食べ過ぎを防ぐ
肥満気味や太りやすい体質の犬のおやつに、犬用のガムや干し肉を与える代わりに、歯ごたえのよい野菜を与えて、空腹感を満たすことができます。
犬に野菜ジュースを飲ませてはいけない理由5つ
1.ナトリウムの摂りすぎになるため
「ナトリウム」とは、ミネラルの一つで塩分を構成するものです。人間用の野菜ジュースには、多少なりともナトリウムが含まれています。もちろん、人間も犬も生命を維持していくのに、ナトリウムは必要です。
しかし、ドッグフードにも塩分が含まれているため、人間用の野菜ジュースを与えると、塩分を過剰に摂取してしまうことになります。ちなみに、犬が1日に必要なナトリウム(塩分)は体重1㎏に対し50㎎です。これは、「塩50mg」ということではありません。具体的に塩の量を算出するには、「塩分(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000」という計算式を使います。日常的に塩分の過剰摂取となれば、高血圧、心臓病、腎臓病などのリスクが高くなります。
2.糖分の摂りすぎになるため
野菜ジュースに砂糖が添加されていなくても、野菜ジュースに使われている野菜そのものの糖度が高い場合があります。そういったジュースを頻繁に飲むことによって、犬の肥満が助長されると考えられます。
3.栄養成分の信頼性が薄いため
「国産野菜のみ使用」と表記されているモノ、「国内生産」と表記されているモノなど様々です。また、「濃縮還元」と言った文言もよく目にします。野菜ジュースの生産過程において、加熱されたり、冷凍保存されたりした原材料としての野菜の栄養は、かなり損なわれていると考えられます。
4.残留農薬や添加物が含有されている可能性があるため
大手の飲料メーカーでは、自社で使用する野菜について、徹底的に残留農薬の検査をしていると考えられます。しかし、日本では問題にならない農薬や化学成分、あるいは海外では問題視される化学成分が、日本では何の問題にもなっていないという複雑な事情もあり、完全に安心、安全な野菜が使われていると確信するのは、かなり難しいのが実情です。
5.結石ができやすくなるため
野菜や果物はアルカリ性食品で、アルカリ性のミネラルが多く含まれます。アルカリ性野菜や果物はアルカリ性食品で、アルカリ性ミネラルが多く含まれます。
人間の場合、アルカリ性の野菜を食べ続けると、尿がアルカリ性になるという研究結果があります。そして、尿がアルカリ性になると、ストルバイト結石になるリスクが高くなります。
犬の場合は、正確な研究結果はありませんが、ストルバイト結石ができやすい体質の犬には野菜を与えない方が良いでしょう。
愛犬に飲ませたいなら手作り野菜ジュースを
飼い主さんが自分の目で見て、自分で選んだ野菜を使って作った野菜ジュースほど愛犬にとって、安心安全な野菜ジュースはありません。自分の子供や大切な人に飲んでほしいと思って作るのであれば、野菜の栄養などにも気を配れるはずです。
まとめ
「野菜ジュースを飲んでいれば野菜を摂取したことになる」と思っていましたが、よほどこだわって選ばない限り、野菜ジュースを飲んでいても、日常的な野菜不足を解消することにはならないということが分かりました。
また、塩分、添加物などの心配も払拭できないのであれば、やはり、飼い主さんの手作りジュースが愛犬にとっては、一番美味しい飲物なのではないでしょうか。