犬が持つ死の概念について
犬が死というものに対して、どのように理解しているのか、そもそも死を理解することができるのかということについては、はっきりとわかっていません。
犬が死に対して、どのような概念を持っているかということは、研究などでは解明されておらず、仲間や家族、飼い主の死後にとる犬の行動などから推測されている程度です。
そもそも人間以外の動物は、死の概念を持たないというのが一般的な説です。
事実や事象ではなく、概念という哲学的な考えをするのは、人間だけだと考えられています。
もちろん草食動物が捕食されることに危機を感じ、肉食動物が捕食しなければ生きていくことができないということなどは本能的に感じていますが、しっかりとした根拠を理解しているというわけではないでしょう。
犬は仲間や飼い主の「死」をどう感じる?
犬が死に関する概念を持つかどうかについてははっきりしませんが、家族など共に過ごした仲間の死に対して、どのような行動を見せるかという研究は行われています。
仲間の死そのものについて理解していないかもしれませんが、自分の近くから仲間がいなくなったという事実に対しては、行動の変化を見せることが多いようです。
特に身近で親しい仲間であるほど、食事を摂らなくなったり寝る時間が増えたり、好んでいた遊びをしなくなったり、一種の「うつ症状」のようなものが見られることがあるのです。
また、いつも仲間がいた場所を何度も確認したり、窓から外を眺めたりといった、仲間を待つ様子も見られます。
2016年には、仲間を失った犬猫の行動に関する論文が発表されました。
その研究調査は、ニュージーランドとオーストラリアで行われ、犬猫ともに6割以上の動物が仲間を失った際に、仲間の居場所を確認したり、飼い主に愛情を求めたりするなどの行動を見せるようになったとされています。
こうした行動の変化は、「家族を失った小さな子供」が見せるものに近しいと考えられています。そのため、仲間の死自体は理解できなくても、失ったという事実に対しては人間同様の感情を持つのではないかと考えられています。
犬は自分が死ぬことを理解しているのか
犬が飼い主や仲間の死に対して喪失感に似たものを感じ、行動の変化を見せることがわかってきていますが、犬自身の死に対してどのように感じているか、ということもはっきりとわかっていません。
野生動物の場合などは、怪我を負ったり死の間近になったりすると、姿を隠すなどの行動が見られることがありますが、そうした外敵に見つからないための行動が必要ない家庭犬の場合は、その行動はほとんど見られません。
ただし、病気を患っているなど苦痛を感じているときなどは、飼い主であっても触れられることを嫌がったり、静かな環境に身をおきたがったりするといった行動はあるようです。
犬は、「自分がもうすぐ死ぬ」ということを理解していない場合が多いとされていますが、実際には死期を感じ取ったような行動を見せる犬もいます。
行動理論や研究調査などでは解明できない不可思議なことが世界では起こっており、不思議で心温まるようなエピソードも多く見られます。
犬の持つ死の概念についてまとめ
犬が死の概念を持っているかということについては、はっきりとした答えは出ていません。
言葉を話すことができない動物ですから、自分自身や仲間、飼い主の死に対してどのような感情を抱くのか、死を明確に理解できているのかというを解明することは、難しいかもしれません。
それでも、親しい仲間や大好きな飼い主の死に際して、犬が様々な行動変化を見せることは確かで、人間同様の喪失感があると推測されます。
特にリーダーとして信頼、信用している飼い主を失った場合には、その行動はより強く見られるとされ、回復するまでにも長い時間がかかると考えられています。
ユーザーのコメント
女性 匿名
亡くなる前には、自分の死期をわかっている行動をとっていました。
残された愛犬もうつ状態になり、仲間がいなくなってしまった喪失感は計り知れないものだと思います。