犬に人間用の栄養ドリンクを飲ませても大丈夫?

犬に人間用の栄養ドリンクを飲ませても大丈夫?

私たちは、体が疲れたと感じている時や、風邪などで体力を消耗している時など、栄養ドリンクをぐっと飲んだりします。そうすると、なんだか元気が回復したり、疲れ方が違うような気になりますよね。愛犬がなんとなく元気がないとき、ドリンクを飲ませてみよう…と考えたことはありませんか?犬に栄養ドリンクを飲ませても問題はないのでしょうか?また、人間の栄養ドリンクと犬などの動物用の栄養ドリンクとは、なにか違いがあるのでしょうか?

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬に人間用の栄養ドリンクを飲ませても大丈夫?

眼鏡をかけた犬

犬に人間用の栄養ドリンクを飲ませても大丈夫かどうかを考える前に、まずは人間用のドリンクにはどんな効果があり、どんな成分が含まれているのかを知っておきましょう。

栄養ドリンクとは

「栄養ドリンク」とは、「肉体疲労時の栄養補給などを目的に販売されている飲料」のことです。エナジードリンク、ドリンク剤とも呼ばれています。
ただし、「栄養ドリンク」は「医薬部外品」として販売され、「エナジードリンク」は、清涼飲料水として販売されています。

人間用の栄養ドリンクの効果

病中病後で、食欲不振が長く続いて栄養失調状態に陥っているのなら、ある程度体力や気力を回復出来ると言った効果があります。
また、人間用のドリンク剤には、各種ビタミンやタウリンなどの必須アミノ酸などの「有効成分」と言われる成分や、カフェイン、漢方生薬由来成分を複合配合されていて、肉体疲労、病中病後、食欲不振などの場合の栄養補給にも適しています。ただし、明瞭に効果が出るほど高い薬効を示す成分は含まれていないため、効果には個人差があります。

人間用の栄養ドリンクに含まれている主な成分と効能

栄養ドリンク

「医学部外品」に分類されている栄養ドリンクには、以下のような成分が含まれています。

アルコール

ビールやリキュール、ワインと言ったいわゆる「酒類」と比べると、非常に微量ではありますが、「医薬部外品」として販売されている人間用の栄養ドリンクには、アルコールが含まれています。

カフェイン

カフェインは、「清涼飲料水」として分類されている「エナジードリンク」にも含まれています。カフェインは、興奮、覚醒、血圧上昇の効能があります。また、利尿効果も高い成分です。

糖類

糖類とは、糖質の中でもブドウ糖や果糖などの吸収が早い糖質のことです。
人間用の栄養ドリンクに吸収が早い糖類が含まれているのは、すばやく血糖値を挙げるためです。
なぜなら、人間の脳はブドウ糖のみをエネルギー源としているので、低血糖の状態だと脳の活動が低下してしまいます。
つまり、脳を活性化させるためには、たくさんのブドウ糖が必要なので、ドリンク剤には糖類が多く含まれているのです。

アミノ酸

体に不足しがちな栄養をバランスよく補給するために、アミノ酸が含まれています。

人間用の栄養ドリンクと犬用の栄養ドリンクとの違い

ジュースを飲む犬

効果、効能は、人間の栄養ドリンクと変わりありません。
ですが、アルコールやカフェインと言った「興奮」「覚醒」を促すような成分は含まれていません。
犬は、勉強をしたり、デスクワークをするワケではないので、脳を興奮させる必要がないですし、アルコールもカフェインも、犬にとっては有害な物質なので、犬用のドリンクには含まれていません。

【犬用の栄養ドリンクの成分】

  • ブドウ糖
  • 食塩
  • 塩化カリウム
  • リン酸ナトリウム
  • クエン酸など

【犬用の栄養ドリンクの効果】

  • エネルギー補給
  • 栄養補給液
  • カロリー補給
  • 脱水予防
  • 糖分補給
  • 食欲不振
  • 病中病後

人間用の栄養ドリンクを犬に与えてはいけない理由

コーヒーを飲んでいる犬

アルコールが含まれているため

犬は、人間のようにアルコールを肝臓で分解することが出来ません。
アルコールを体内で分解できなければ、アルコールを摂取することで発生する毒素が体の中をめぐり、呼吸中枢を司る脳幹という器官にまで影響を及ぼします。そのため、微量でも摂取すると、死に至る危険性があります。

カフェインが含まれているため

カフェインは、体重1㎏に対して、100~200mgで危険な状態になると言われています。
栄養ドリンクには140mg以上含まれている製品もあります。犬がカフェインを過剰摂取すると、以下のような症状が出ます。

  • 尿失禁や嘔吐、下痢
  • ふらつき
  • けいれん
  • 筋硬直、
  • 呼吸不全
  • こん睡→最悪の場合死亡

糖質が多く含まれているため

人間同様、犬も糖質は即効性のあるエネルギー源です。
けれども、犬の場合、食事でたんぱく質や炭水化物を摂取していれば、それぞれが内臓で分解されて体を維持する栄養素やエネルギーに変換されるので、直接糖類を摂取する必要がありません。
それなのに、あえて人間用の栄養ドリンクを与えると、糖類の過剰摂取となり、肥満だけでなく、高血圧、心臓病など、さまざまな病気の原因になる危険性が高くなります。

愛犬に手作りの栄養ドリンクを与えてみよう!

コーヒーカップとジャックラッセル

手作りの甘酒

酒粕を使うのではなく、米麹を使って使った甘酒は、栄養価も高く、犬の体力回復や栄養補給にぴったりの栄養ドリンクです。
作り方などは、「米麹 手作り甘酒」と検索すれば、いろいろな方法が見つかります。

まとめ

笑顔の柴犬

人間にとって、「元気が出る」「疲れが取れる」と思える製品でも、犬にとっては薬どころか、毒にすらなる人間用の栄養ドリンクは、愛犬に与えるものではありません。やはり、愛犬のためには、愛犬のことを第一に考え、愛犬に与えるためだけに飼い主さんがしっかりと成分や効能を検討して選び抜いた栄養ドリンクを与えるべきです。それこそが愛犬に対する愛情の示し方の一つではないでしょうか。

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