チワワの赤ちゃんが欲しい?安全に生むための条件やリスクなど

チワワの赤ちゃんが欲しい?安全に生むための条件やリスクなど

愛犬のチワワに赤ちゃんを産ませたいという場合は、どのようなことが必要になるのでしょうか。チワワに赤ちゃんを産ませる前に知っておきたいことや、赤ちゃんが産まれるまでの流れについてご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

チワワが赤ちゃんを産むときのリスクは?

4匹のチワワの子犬の写真

日本では犬は安産の神様と呼ばれることもあり、安産を祈願する「戌の日(いぬのひ)」なるものも存在しています。

ただ、この「犬は安産である」というのは、秋田犬や紀州犬、柴犬などの日本犬のことを指すものであり、体の小さいチワワはその限りではありません。

人間の場合でも、100%安全な出産などというものはありませんよね。愛犬の子孫を残したい、赤ちゃんが見たいという気持ちはとてもよく理解できますが、様々なリスクが伴うことをしっかり理解しておく必要があります。

母体への負担

チワワが赤ちゃんを産む時、母体へ非常に大きな負担が掛かることをしっかりと理解しておきましょう。犬は多胎動物であり、チワワも一度の出産で1匹~3匹、多い時で4匹~5匹の子犬を出産するとされています。

世界最小の犬種と言われるチワワの平均体重は、1.5kg~3kg前後。出産時の赤ちゃんの体重は1匹あたり100g前後であることが多いため、3匹の子犬を産むとなると、母体の体重の4分の1程度に値する子犬を出産することになります。

妊娠している頭数にもよりますが、特に胎児の数が少ない場合は子宮内で大きく育ち、自然分娩できないこともあります。それほど胎児が大きくなくても陣痛が弱い場合は出産が困難になることもあります。

そもそも、チワワの小さな体の中で母体から栄養を分け与え、赤ちゃんを育てること自体ものすごく大変なことなのです。

帝王切開

帝王切開とは、お腹にメスを入れ子宮を切開することで赤ちゃんを取り出す手術方法です。骨盤が小さいチワワは、母体の産道と比べて赤ちゃんの頭が大きいことも多く、自然分娩ではなく帝王切開が行われることも少なくありません。帝王切開では、感染や全身麻酔によるリスクが伴いますので、事前にしっかりと獣医師の説明を受けましょう。

先天性疾患

チワワは、遺伝によって水頭症などの先天性疾患を発症することもあります。生まれてきたうちの1匹が奇形であったり、死産になってしまったりする可能性があることもしっかりと覚悟しなければなりません。

人間の場合も「安産型」という言葉があるように、骨格がしっかりしている方が安産になりやすいと言われることもありますよね。体の小さいチワワの場合、体格の大きい犬に比べると出産が容易いとは言えません。様々なリスクを背負って妊娠、出産を乗り越えなければならないということをしっかりと理解しておきましょう。

チワワが赤ちゃんを安全に産むための条件

芝生とチワワの写真

チワワが赤ちゃんを安全に産むための条件についてご紹介します。

母体の健康

チワワが赤ちゃんを産むとき、母体が健康であり、体重が2.0㎏以上であることが最低限の条件となります。チワワの出産を望む場合は、まず動物病院で必要な健康診断を受けましょう。また、遺伝性の強い疾患などがある場合は、繁殖は避けるべきです。

父犬の体格

チワワの出産のために交配させるパートナーが必要になります。パートナーとなるオス犬も、必要な健康診断を受け、遺伝性の疾患の有無などをしっかり確認しましょう。母体となるメス犬と同等、もしくは小さい体格のオス犬をパートナーに選ぶ必要があります。

環境づくり

チワワが赤ちゃんを安全に産むために、妊娠中や出産時に常時飼い主さんが付き添える環境が必要になります。飼い主さんが仕事で家を空けなければならない場合などは、誰か他の家族が付き添うなど、愛犬が一人きりで過ごす時間がないよう心がけましょう。

獣医師の協力

チワワが赤ちゃんを安全に産むために、必ず獣医師の協力を仰ぎましょう。妊娠の診断、経過の観察などはもちろん、出産時に万が一トラブルがあった場合に対応してくれる動物病院、獣医師を見つけておく必要があります。また、可能であればチワワの繁殖に知識のある人の協力も得られると安心ですね。

チワワの出産は、パートナーが見つかれば自然に妊娠、出産するという訳ではありません。何かしら人の手助けが必要になることがほとんどです。

特に難産が多いとされるチワワの出産は、素人の知識だけでは心細いため、協力を得られるブリーダーさんなどを見つけておきましょう。

チワワが安全に赤ちゃんを産むための条件をご紹介しましたが、上記はあくまでも最低限の条件であると考えてください。チワワを出産させるときは、必ず専門的な知識がある人に頼ってくださいね。

チワワが赤ちゃんを産むまでの流れ

眠るチワワの写真

チワワが赤ちゃんを産むまでの流れを簡単にご紹介します。

健康診断

チワワの妊娠を望む場合、まずは妊娠、出産を乗り越えられる健康状態であるのかどうかを動物病院で検査する必要があります。かかりつけの獣医師に妊娠を希望している旨を伝え、必要な検査を受けましょう。

また、チワワの妊娠適齢期は2歳~5歳とされています。チワワは比較的早熟なため、生後7か月~1年の間に最初のヒートを迎えることがありますが、早すぎる出産は母体への負担が大きくなることもあるため、2度目以降のヒートでの交配が望ましいとされています。

パートナー探し

チワワの妊娠を望む場合、交配相手となるパートナーが必要です。パートナーの探し方については、ブリーダーやペットショップなどを経由したいわゆる「お見合い」のようなものが主流です。

交配料を支払ったり、生まれてきた子犬を譲渡する子渡しを行ったりとそれぞれにルールがあります。交配においても様々な掛け合わせの種類があり、それらによって血統書の有無が決まることも。

必ず専門知識を持つ方に協力してもらいながらパートナー探しを行いましょう。

交配

犬の交配は、母犬になるメスがヒート(生理)を迎えることが条件となります。ヒートとは、人間でいう月経と似ていますが、人間の場合は排卵後に生理がくるのに対し、犬の場合は排卵前にくるため、交配の合図ともなります。

交配においても、タイミングのとり方や交配の方法は様々で、素人には非常に難しいことといえます。通常、約4日間前後かけて交配を行うのですが、できれば専門知識のあるプロに任せてしまうのが無難ではあります。

妊娠

犬の妊娠期間は60日前後とされています。交配後、30日程度で動物病院での妊娠確定診断が得られることが多いでしょう。チワワが妊娠すると人間同様、つわりのような症状が現れることもあります。

妊娠確定後は子犬用や妊娠中用の高栄養価、高カロリーのフードを食べさせてあげる必要があります。何か少しでも異変を感じたらすぐに獣医師に相談することが大切です。

出産

チワワも人間同様に陣痛が始まり、数時間かけて赤ちゃんを産みます。特に問題がなければ、飼い主さんが手伝わなければならないことはありません。

しかし、陣痛が始めってから数十分経っても赤ちゃんが生まれてこない場合や大量に出血したり、緑色の悪露が出た場合など、何か異変があればすぐに獣医師に指示を仰ぎましょう。

妊娠中の経過が順調であっても難産になることや、帝王切開への切替えを頭に入れて冷静に対処できるよう心がけてください。出産が深夜に始まった場合などの対応についても、かかりつけの動物病院に確認しておきましょう。

チワワが赤ちゃんを生んだ後の注意点

ボウルに入ったチワワの子犬

チワワが無事に赤ちゃんを産むことができたら、以下のようなケアを行いましょう。

食事

出産後の母体はかなり体力を消耗しているため、妊娠中同様に高栄養価、高カロリーな食事が必要になります。

体の小さいチワワは食が細い子も少なくないため、衰弱してしまうことがないよう十分な注意が必要です。食欲がない場合は、子犬用のウェットフードを利用するのもいいでしょう。また、いつでも新鮮な水が飲めるよう準備してくださいね。

安心できる環境

チワワが赤ちゃんを産んだ後、チワワの母犬は子犬を守ろうと神経質になることもあります。様子を見守ることは必要ですが、必要以上に干渉しないよう注意し、静かな部屋などで安心してゆっくり過ごせるよう配慮しましょう。

初乳

出産後、48時間以内に母親から分泌される母乳を「初乳」と呼びます。この初乳は、優れた栄養と母犬からの免疫が含まれているためチワワの赤ちゃんの成長にとって非常に重要なものです。

出産後、子犬がお乳に吸い付けているかどうかをしっかり観察し、初乳が飲めるよう手助けしてあげましょう。

子犬のお世話

チワワが赤ちゃんを産んだ後、授乳や排泄の手助けなどのお世話ができているかをしっかり見守りましょう。なかには育児放棄してしまう場合もあり、その場合は飼い主さんが子犬のお世話をする必要があります。

人工哺乳や排泄の方法などについて、かかりつけの獣医師から指導を受けましょう。母乳は吸てつ刺激という子犬が乳を吸う刺激がないとうまく分泌されないことがあります。子犬が生まれてすぐ上手に吸えないこともありますので、乳首に吸い付けるように手伝わないといけないこともあります。 前日の体重の10%増えていればしっかり吸えていますので、体重測定も行いましょう。

身体検査

出産後、チワワの母犬や子犬の状態が落ち着いた時点で獣医師による身体検査を受けましょう。なかには自宅まで往診してもらうことができる動物病院もありますので、事前に相談しておくといいですね。

また、母犬は出産後に乳腺炎や低カルシウム症などを引き起こす可能性もありますので、おりものが産後2週間以上続く、食欲不振、嘔吐、発熱などの症状がある場合はすぐに受診しましょう。

里親

チワワの赤ちゃんが生まれた後、飼い主さんが全ての子犬に責任を持って育てていくのであれば問題ありませんが、そうでない場合は早めに里親を探す必要があります。里親探しは個人で行うことも可能ですが、交配に協力してくれたブリーダーさんなどに相談してみるのもいいかもしれません。

チワワの赤ちゃんを産んだ後にやることについてご紹介しました。チワワの出産も、人間の出産と同じように命がけで行われます。そのため、産後トラブルが起こる可能性も十分ありますので、油断せずにしっかりケアしてあげましょう。

まとめ

抱っこされるチワワの写真

チワワは、数ある犬種のなかでも難産の確率が高い犬種です。体の小さいチワワにとって妊娠、出産に伴うリスクは決して少ないものではありません。

愛犬の子孫を残したい、チワワの多頭飼いがしたいなど、様々な理由があるかもしれませんが、これらのリスクについてしっかり考えておく必要がありそうですね。また、必ず専門家の指導のもとで交配、出産をすることが重要ですね。

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