劣悪繁殖場から救われた命〜小さな子犬を抱いた重さ

劣悪繁殖場から救われた命〜小さな子犬を抱いた重さ

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保護犬だった愛犬が12歳半でこの世を去ったあと、再び保護犬を家族に迎えることを決めた私たち夫婦。成犬譲渡で迎えることを考えて探していましたが、そんなとき突然のきっかけからつながったご縁は、なんと劣悪繁殖場からレスキューされた小さな痩せた子犬でした。

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小さな命と向き合ってから1年

飼育放棄から救われて我が家の家族となった愛犬(先代犬)が、闘病の末に息を引き取ったのは2017年2月の寒い夜。12歳半で亡くなった彼女との日々は11年間で終わりを迎え、我が家には犬がいない生活がやってきました。

先代犬と桜

いつも傍らにいた愛犬がいない生活は、それまで想像ができませんでした。病気ではあったけれど、心のどこかでまだまだこの先も傍にいてくれるような、そう信じたい気持ちがあったのです。

ひどいペットロスではなかったものの、なかなか悲しみが癒えずに日々を過ごしてから半年。夫婦で家庭用ゲーム機で遊んでみたり、犬連れでは行けなかった場所にでかけてみたり…これまでなかった形で過ごしてみましたが、いつもどこか楽しみきれない思いがありました。心には大きな穴がぽっかりと空いたままだったのです。

やがて、やはり私たちにとっては犬との生活がなくてはならないものだ、という気持ちが強くなりました。かつて愛犬と過ごした日々、一緒に笑って一緒に泣いたりした生活こそが、私たちの望むものだと。そして、再び犬を迎える決心をしたのです。

保護犬を迎える選択

新たな家族を迎えるにあたり、私たちが考えたのは保護犬という選択でした。買うのではなく救うという形で、我が家の家族に迎えたいと思っていたからです。

看取った愛犬もそうであったように、様々な事情から里親募集となっている犬は大変多く、インターネットでも譲渡会でも、探すことができる場が最近では増えてきました。それはとても重要な機会です。
そのため、私たちは主にインターネットを利用し、保護団体のホームページなどから募集情報を得ることから始めました。また、実際に地元で開催されていた譲渡会に、ふらりと足を運んだりしていたのです。

譲渡会の犬たち

保護犬から迎えたいという気持ちでしたが、「どのコでもいい」ということではなく「このコを迎えたい」という、たしかなご縁を私たちは求めていました。
そのため、なかなかこちらの思うコが見つからなかったり、逆に気になるコがいても、募集条件と私たちが合致しないということも。我が家が再びドッグライフを始めることは、それほど簡単ではありませんでした。

でも、きっと糸はつながっていると信じて、時間はかかっても出逢いを待つことにしました。

思いが叶った

私たちが迎えたいと思っていた犬は、先代犬と同じビーグルでした。
そして、自分たちのライフスタイルと希望するドッグライフの形から、できれば活動的な若いビーグルの女の子がいいと思っていました。

ご縁がつながるまでには長期戦になるだろう、と覚悟をした2017年8月の終わり。たまたまSNSで、劣悪繁殖場からのレスキュー記事を目にしました。
その中に生後2ヶ月のビーグルの子犬が4頭いて、ふと目に止まったコが1頭。唯一の女の子でした。

子犬2頭

まだ里親募集としては出ていなかったのですが、もうそのコへの思いが募るばかり。逸る気持ちを抑えられず、すぐにその保護団体さんにお問い合わせをしました。
保護されてから2日後のことでした。

更に2日後、保護団体の代表の方からご連絡をいただきました。お話があっという間に進み、お見合いも兼ねてそのコを我が家にお届けくださることになったのです。
我が家が元ビーグル飼いだったこと、そして、たまたま私の犬友達がこちらの団体のサポートをしていたということがご縁となったようでした。

元々は成犬譲渡で考えていた私たちにとって、予想外で子犬を迎えることになり、期待と戸惑いがありました。
これまで私は、犬との暮らしは子供の頃から長年経験していましたし、それまでの経験と知識も素人なりにある程度は持っていると思います。それでも先代犬は成犬譲渡でしたし、子犬育ては以前飼っていた犬以来なので、ほとんど初心者のような迎え入れの気持ちでした。

そして、お話が決まったこの日は、奇しくも、かつて先代犬を迎え入れたその日でもあったのです。先代犬からバトンを渡されたような、胸が熱くなる思いでした。

子犬がやってきた

まだまだ犬との暮らしは始まらないだろうとのんびり構えていた我が家に、突然舞い込んだ迎え入れの事態。すっかり片付けていた部屋を、犬仕様にするという準備に追われました。
そのため、預かりボランティアの方に、更に2週間預かっていただくお願いをしたのです。名前は「とりる」に決めたので、預かり中はその名前で呼んでくださることになりました。

サークルの準備中

2週間が経ち、いよいよとりるは我が家にやってきました。
お見合いも兼ねてというお話でしたが、どんなコであっても家族として暮らしていく覚悟はできていましたので、何の迷いもなく迎え入れる気持ちに変わりはありませんでした。もうこのコに決めたのですから。

お預け中は、預かりボランティアさんが毎日写真や動画を送ってくださっていたので、十分に姿を見ていたつもりでした。けれど実際に会ったとりるは、予想以上に小さくまだまだ痩せていました。

知らないところにやってきて、知らない人たちがいきなり覗き込んだので驚き、とりるはクレートの奥に縮こまってなかなか出てきませんでした。なんとかクレートから出して、最初にとりるを抱いた主人は恐る恐る。体は小さくても、命の重さをしっかりと感じた瞬間でした。

おもちゃで遊ぶ子犬

部屋に入ってきたとりるは、まずキッチンのマットでオシッコ。預かり中のケアをよくしてくださっていたので体調も良く、とても元気で物怖じしないコでした。
部屋中を興味深く探索し、走りまわりながらも転んでばかり。用意していたおもちゃですぐに遊び出し、自分用のベッドだとわかったのか、もうその上でくつろいたりと自由三昧でした。

かわいさに癒されながらも、とりるをどう扱っていいのか大慌て。とりるはずっと楽しそうにのびのびと過ごし、私たちもその日は夜まで大騒ぎで笑いっぱなしでした。

子犬との暮らしがスタート

我が家に来た翌日、先代犬がお世話になっていた動物病院に早速連れていきました。
すでに保護団体さんの方で健康診断はしてくださってましたが、改めて主治医に診ていただきたかったのと、今後のワクチンや避妊手術についてのプランを相談したかったからです。

体調はすこぶる良好。すぐ転んでしまうのは、後ろ足の筋肉がほとんどない状態のためと思われ、今後の成長で問題はないだろうとのこと。
まだ生後2ヶ月とはいえ、劣悪な環境の中にいたので十分な食事と運動ができなかったためもあるでしょう。まだ痩せているので、しっかり太らせていくようアドバイスを受けました。

動物病院の診察台

苦労したのは甘噛みやトイレのしつけでした。お転婆でいたずら盛りの愛犬に振り回され、動物病院の先生やお知り合いのドッグトレーナーさん、犬友達にも相談しながらの日々。ちょうどいい機会もあり、動物病院でのパピークラスにも通いました。
同じくらいの月齢の子犬の飼い主さんと、SNSを通して情報交換することも、とても勉強になったと思います。

とにかくひとつひとつ向き合って、楽しみながら子犬育てをしていこうと。

悩みの多い子犬育てから1年

こうして子犬育てに奮闘することになりましたが、我が家にはまた楽しいドッグライフが戻ってきました。まだまだ悩むことも多いですが、すっかり大きくなった愛犬とりるとの暮らしはとても充実しています。

とりるはとてもガンコなところがあったり、興奮しやすかったり、他の犬を見ると遊びたくて大騒ぎしたり。成長してくると、新たな課題がいろいろ出て来ています。それでもできることが増えてきたり、いくつかトリックができるようになったりと、成長ぶりも頼もしいです。
一緒に勉強しながら、より良いドッグライフを共に過ごしていけるように、試行錯誤の毎日を過ごしています。

フラワーポット

劣悪な環境での経験をしていたとはいえ、まだよくわからない子犬のうちに救い出されたことは幸いでした。怖い思いもしていないようで特にトラウマもなく、天真爛漫な性格がそのままにとても明るく、人好き犬好きに育っています。
今ではすっかりご近所の人気者となり、仲良しのお友達もできました。

先代犬を看取ってからの犬がいない半年は、あまり外を歩くこともなくなっていたので、まさに空白の時間のようでした。それからまた一変です。毎日たっぷりのお散歩で一緒に歩くことで、お天気や季節を体で感じられるようになりました。
また、犬連れで行ける所を探し、一緒にでかけることが何よりの楽しみです。この1年で、犬連れ旅行もどんどん増えてきています。

保護犬とりるが与えてくれるもの

とりるが私たちの家族になってくれたことで、我が家には再び笑顔が戻りました。再び、楽しいドッグライフを送れるようになったのはとりるのおかげです。

おもちゃをくわえた愛犬

とりるのことをお話することで、保護犬を迎えるという選択をまわりの人にも知ってもらうことができると思っています。
やっとつながれた命。迎えに来てくれる家族を待っているコが、どれだけ多いかということについて考えてもらえるきっかけとして、とりるの存在はとても大きいのではないでしょうか。

そして、一見華やかに見えるペット業界ですが、その陰で乱繁殖が行なわれていることをわかっていただき、ペットを迎える形についてひとりでも多くの方に考えていただきたいのです。
劣悪繁殖場から救われたとりると、そのとりるを迎えた私たちが伝えていくことは役割のひとつだと思っています。

我が家に来た小さな子犬には、それほどの重さがあるのです。

私たちが犬を迎えるにはたったひとつの席しかなかったけれど、保護犬を迎えたいという思いをとりるが叶えてくれました。救われたこのひとつの命をつなぐことが精一杯ですが、受け継いだとりるをしっかり育てていくことこそが、今できる一番のことです。

まとめ

とりるが保護犬だと知った方は、かわいそうだったね、引きとってもらってよかったね、と言ってくれます。優しい言葉はとても嬉しいですが、でも私は少し違う思いです。

保護犬は辛い経験をした過去があるかもしれません。悲しい思いをたくさんしたコもいるかもしれません。でも、もう「かわいそう」ではないのです。
多くの悲しい現実がある中、救われたということはそのコに未来だけがあります。温かい家族に出逢い、終の住処を見つける道が続いていると願い、信じることができるからです。

そして、とりるが我が家に来てくれて「よかった」のは、私たちの方なのです。

コスモスと

劣悪繁殖場、多頭飼育崩壊、飼育放棄・・・
命を軽視したあってはならない現実を知ってもらうこと、そしてやがては「保護犬」がいなくなる世の中にならなければいけないのです。

8人に1人が保護犬を引き取ることで、殺処分されるコはいなくなると言われています。今この選択をすることが、私たちにできることです。
どうか買わずに救う選択について考えてみませんか。

大変な思いをして命をつないでくださる、保護団体の方々や保護活動家さんたちに心から感謝と敬意を。

ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 男性 福パパ

    我が家のワンコは所謂昔からお馴染みの和犬の雑種です。保護犬ではないのですが丁度犬を飼おうかと言い出したあたりに知り合いのウチで生まれた五匹の子犬の内の貰い手の決まっていなかった最後の一匹でした。犬を飼うことが初めてであったので不安半分、楽しみ半分で飼い始めました。妻は外に仕事に行き私が自営の店を営む関係で面倒はほぼ私が見ることになったのですが逆に愛情独り占めできた(?)せいかどうかはわかりませんが多分私に一番懐いてくれているようです。手探りで飼い始めたのですが良い子に育ったと思います。元々の臆病な性格は治りそうにありませんが(笑)そんな彼も7歳になって元気に過ごしています。子犬の時の可愛さは無くなりましたが今はある程度の意思の疎通が出来るようになって毎日楽しいですよ。
    福パパの投稿画像
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