玄関でよく見る「犬のシール」の意味とは？飼っていない人も知っておきたい知識

玄関に貼ってある「犬シール」ってなに？

犬シールとは、狂犬病予防接種を受けるともらえるシールのことです。「平成○年、狂犬病予防注射済」という表記と地域名が書かれ、真ん中には大きく「犬」と書かれています。玄関先に貼る家庭が多くみられ、これは「うちの犬は狂犬病予防接種済ですよ！」という意味になります。その他に、ワンちゃんが苦手な来客にワンちゃんの存在を知らせることができたり、防犯にも効果が期待できます。

その他に、注射済票と鑑札（初回登録時のみ）がもらえ、狂犬病予防法により、ワンちゃんに付けることが義務付けられています。鑑札はワンちゃんにとって住民票のようなものなので、無くさないように大切にしましょう。

そもそも狂犬病ってなに？

致死率100％の恐ろしい病気

狂犬病は犬だけでなく、ほ乳類すべてに感染する病気です。もちろん人間も。この病気を「人と動物の共通感染症」といい、狂犬病のほかに「パスツレラ症」や「犬ブルセラ症」、「エキノコックス症」が挙げられます。

狂犬病は、狂犬病ウイルスを持っている動物に噛まれることで発症します。その致死率は100％。なんとも恐ろしい病気なんです。そのため、日本では「狂犬病予防法」により、年に一回、4～6月に予防接種が義務付けられています。ワンちゃんを飼われている方は、「春=狂犬病予防接種の季節」と覚えておきましょう。

海外で発症が確認されている

日本での狂犬病の発症は、昭和32年が最後です。それから約60年間も日本で発症がみられない理由は、ただ一つ。接種が義務化され、飼い主さんが愛犬にきちんと狂犬病予防接種を行っているからです。

しかし中国や韓国では狂犬病の発症が確認されており、海外では現在も約5万以上の人が感染しています。日本人が旅行先で感染し、死亡するケースもあります。日本での発症が確認されていないものの、油断してはいけません。

低下する狂犬病予防接種率

当たり前のように受ける狂犬病予防接種ですが、実は年々、その接種率が低下しているのをご存じですか？

厚生労働省が発表している「犬の登録頭数と狂犬病予防接種頭数の年次推移」によると、平成元年の登録頭数が3,726,229匹に対し狂犬病予防接種頭数が3,697,397匹、つまり約99％のワンちゃんが狂犬病予防接種を受けています。しかし、平成10年は約82％、平成20年は約74％、そして平成27年は約71％にまで減少しています。

前述でご紹介したように、人間にとってもワンちゃんにとっても狂犬病は意外と身近な病気といえます。そこで、狂犬病予防接種をもっと受けてもらうために、さまざまな自治体が対策を練っています。

例えば岡山県倉敷市が発行している犬シール。狂犬病予防接種率が低いとされる岡山県ですが、大きく漢字で「犬」と書かれた味気ないシールと異なり、かわいいワンちゃんのイラストが記載されています。「かわいいデザインにすることで、シールが欲しいと思ってもらえたら」という思いから発行されたそうです。

まとめ

わたし個人の意見としては、狂犬病予防接種は受けるべきだと感じます。狂犬病は防ぐことができる病気だからです。愛犬を病気から守るのか、病気に冒してしまうのか、飼い主さんの判断にかかっています。もちろんワンちゃんだけでなく、飼い主さん、犬を飼われていない人、犬が苦手な人、すべての人の命にも関わります。

動物病院によって異なりますが、3,000円程度で接種することができます。3,000円でワンちゃんと人間の命を守ることができるのです。

これから犬を飼われる方、実は予防接種を行っていない方、狂犬病予防接種を行って玄関に犬シールを貼りませんか？