カレリアンベアドッグの性格
カレリアンベアドッグはとても勇敢で、自尊心が高い性格をしています。飼い主にはとても忠実で、人間全般に対しては友好的ですが、知らない犬には警戒心を抱きます。カレリアンベアドッグは時に、防衛本能が働いて攻撃的になるので、散歩中に他の犬とすれ違うときなどは、十分に注意が必要です。
カレリアンベアドッグは「ベアドッグ」の名の通り、熊狩りに使われてきた犬なので、体を張って飼い主を守る気概を持っています。自分より体の大きな犬などにも、憶することなく立ち向かうところがあります。
カレリアンベアドッグのこの忠実さ、勇敢さは、飼い主の冥利に尽きる話ではありますが、十分なトレーニングが必要な犬種であるとも言えます。
カレリアンベアドッグの特徴
カレリアンベアドッグは大型犬に分類され、体高は53cm~60cm、体重は17kg~28kg程度です。がっしりと筋肉質な体つきで、見た目は少し日本犬に似ています。日本犬と同じく、立ち耳で巻尾です。
カレリアンベアドッグの被毛は短いですが、密度が高く、寒さに耐えることができます。この被毛の機能を保つために、週に1度程度のブラッシングは欠かせません。毛色は黒を下地に、白のまだらが入ります。
かつてカレリアンベアドッグにも茶色やグレーがいたそうですが、犬種のスタンダードを定めるに当たって、黒地に白のまだらに限定されました。
カレリアンベアドッグの値段
カレリアンベアドッグの子犬の値段は、50万円程度と言われています。これは日本で、カレリアンベアドッグの繁殖を行っているブリーダーがいないため、海外から輸入する際の値段を基準にしています。
しかし、カレリアンベアドッグの子犬について1つ朗報があります。
2018年3月、日本で初めてカレリアンベアドッグの繁殖が成功しました。軽井沢のNPO法人ピッキオが、カレリアンベアドッグのメスの「タマ」ちゃんに子犬を産ませたのです。
ピッキオは人間と熊が共存する環境づくりに取り組んでいます。その中で、熊を追い払うカレリアンベアドッグの繁殖を目指して、クラウドファンディングを行ったのです。その支援金で、繁殖に必要な小屋を作り、アメリカからオス犬を招請して、タマの繁殖に成功しました。
カレリアンベアドッグの生まれた子犬は、メス5頭、オス1頭の計6頭です。ただし、今回生まれた子犬たちは、ほえて熊を追い払うベアドッグとして育てられますので、ペットとして譲り受けることはできません。
今後もピッキオは、カレリアンベアドッグの繁殖と訓練に取り組んでいくので、活動に参加する前提であれば、子犬を譲り受けることも将来的には可能になるかもしれません。
カレリアンベアドッグを迎えるには、海外から輸入するか、国内での繁殖を気長に待つか、どちらかを選ぶことになりそうです。
カレリアンベアドッグの寿命
カレリアンベアドッグの寿命は大型犬であることを考えると11歳~13歳ごろかと思います。大型犬として平均的な寿命ですね。
カレリアンベアドッグはとても活発な犬種なので、ケージに閉じ込めて屋外にずっとつなぐことは、あまり好ましくありません。十分に運動ができる環境で暮らすのが理想です。カレリアンベアドッグは自由に動けないとストレスがたまり、思わぬ病気になって寿命が短くなるかもしれません。
また、大型犬の常として、カレリアンベアドッグも股関節形成不全には注意が必要です。特にカレリアンベアドッグが子犬のときには、股関節に負担をかけないようにしてあげましょう。成犬になっても、歩き方がおかしいと思ったら、獣医さんに診てもらった方がいいです。
カレリアンベアドッグの歴史
カレリアンベアドッグの歴史は非常に古く、新石器時代にはフィンランド南東部から、ロシア北西部にまたがるカレリア地方に存在したと言われています。
恐らくそのころから勇敢な性格を見込まれて、カレリアンベアドッグはガードドッグとして重宝されていたのではないでしょうか。原産国となるフィンランドでは、猟師と一緒にカレリアンベアドッグは働いてきました。
熊やヘラジカなど、大型動物の狩猟で活躍しています。獲物を見つけると、大きな声でほえて追跡して捕まえます。カレリアンベアドッグが捕らえた獲物に、猟師がとどめを刺す方法で狩りをしていました。熊などの大型獣を捕まえるなんて、カレリアンベアドッグの力の強さがうかがえます。
犬種のスタンダードが定められたのは1946年と、カレリアンベアドッグの歴史の古さに反して最近のことです。この時に、毛色が黒と白のまだらと決められました。フィンランドでカレリアンベアドッグは国宝に指定されています。
現在では、フィンランドのみならずフィンランドから遠く離れたアメリカで、カレリアンベアドッグは熊を追い払う犬として訓練法が確立されています。
先述したタマちゃんと交配したのも、アメリカでベアドッグとして訓練されたカレリアンベアドッグです。家庭犬として暮らす子もいるでしょうが、カレリアンベアドッグは、今でも現役で、その能力を生かしています。
まとめ
カレリアンベアドッグは非常に歴史が古く、カレリア地方の地犬と言えます。勇敢な性格で、熊などの大型動物の狩猟に同行し、活躍していました。
日本で家族に迎え入れるには、海外からの輸入が基本ですが、現在、軽井沢でカレリアンベアドッグの繁殖が行われています。
熊を追い払うためのベアドッグとして訓練されますが、いつか数が増えて、家庭犬として迎えることができるように、なるかもしれませんね。