犬のまつ毛の役割
人間のまつ毛は上下にありますが、犬のまつ毛は上にしかありません。代わりに「瞬膜」があり、眼球を保護しています。瞬膜はまぶたから涙を補給しているため、長くまばたきをせずにいられるのです。
犬のまつ毛は空気中に漂っているチリや細菌を防いでくれ、目を保護する役割があります。ふだん犬のまつ毛を気にすることは少ないと思いますが、主に「目、眼球の保護」のためにあるまつ毛には、他にも以下のような役割があります。
まばたきをさせる司令塔
犬がまばたきをするところをあまり見かけないのもそのはず。犬は人間よりもまばたきの回数が少ないのです。そして、まつ毛に異物が触れると脳から「目を閉じて」と指令が出ます。
異物、虫から守る
シャンプーなどで、頭からしたたる水を防いでくれたりします。
乾燥から守る
眼球の水分を維持し、水分の蒸発を5割も防ぐ役割があるんです。
強い日差しを防ぐ日よけ
太陽の光から目を保護してくれます。強い紫外線から眼球を保護するよう、日よけの役割も持っています。
犬種によって違うまつ毛の長さ
犬のまつ毛の長さは被毛の長さによって変わってくる傾向にあります。犬自身の長い被毛から目を守るために長くなるのだそうです。
シーズーやミニチュアシュナウザーなどの犬種はまつ毛が長くなる傾向にありますが、プードルはまつ毛が長くなりにくいなど犬種だとされています。また、短い被毛の犬種でも目が出ている犬種はまつ毛が長くなるなど、「目を守る」役割を果たすために様々な傾向を持っています。
まつ毛が長くなる犬種
シーズー、ミニチュアシュナウザーなどの被毛が長い犬種、スコッチテリアなどのテリア系の犬種です。
まつ毛が短い犬種
主に被毛が短い犬種です。
犬のまつ毛のギネス世界記録
現在、最も長い犬のまつ毛としてギネス世界記録に認定されているのは、2014年の記録で17cm(6.69インチ)。これよりも長いまつ毛の愛犬がいたらギネス記録更新になりますね。
犬のまつ毛は切ってもいいの?
ギネス世界記録のようにぐんぐん伸びてしまうと、犬のまつ毛を切っても大丈夫なのか気になる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
トリミングサロンではシュナウザーやトイプードルなどの犬種でひげを切ってくれるカットがありますが、まつげの長い犬種もまつげをカットしてくれます。放っておくと被毛がどんどん伸びてしまうテリア系の犬種などもまつ毛をカットされることがあります。
犬はまつ毛をカットすると目がパッチリ見えるようになるのですが、切られたくない場合は毛をまとめるなどの方法もありますので、トリマーさんに相談してみてください。ちなみに、カットされ短くなった犬のまつ毛はまた伸びてきます。
犬のまつ毛の異常から引き起こされる病気
- 逆まつ毛、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
- 睫毛乱生(しょうもうらんせい)
これらは犬のまつ毛の異常から引き起こされる病気です。
いずれもまつ毛が眼球を傷つけ、炎症などの症状を起こしてしまいます。犬の目がショボショボしていたり、充血、炎症を起こして腫れていたりするなどの症状があったら獣医師に診てもらいましょう。
また、目を清潔に保つため、まつ毛で目が隠れている犬はまつ毛を短くしたりまとめたりするのが良いかと思います。
まとめ
人間を始め、いろいろな動物にあるまつ毛。犬にも例外なく目を保護するために生えています。10cm以上もあるまつ毛はもはや「まつ毛」と言っていいのか?被毛なのでは?と筆者は疑問に思いますが、そんな犬のまつ毛の役割を紹介いたしました。
補足ですが、まつ毛には最適な長さは目幅の3分の1だとされています。この長さが浮遊粒子が目に付着することを防いだり、涙膜の蒸発を減少させたりするのに適切な長さであるそうです。
愛犬のまつ毛が長めの場合はそれを目安にカットしてもいいかもしれません。日常的に愛犬のまつ毛や目などに異常がないかチェックすることも忘れずにいましょう。