犬に曜日の感覚はあるの?
人間は1週間は7日で、その中の何曜日に休み、というような感覚が明確にあります。実は近年、犬は飼い主の休みの日を認識しているのではないかと言われ始めているのですが、ご存知でしたか?では、犬が飼い主の休日を認識しているというのは、いったいどういことなのでしょうか。
もちろん曜日感覚はありません
犬が飼い主の休日を認識しているという話がありますが、実際に「何曜日が休み」「今日は土曜日だから飼い主さんが休みだ!」というような曜日感覚はもちろんありません。そもそも犬に曜日という概念はありませんから、当然ですよね。
しかし、飼い主さんが休みの日、いつもは決まって6時頃に起きてくる犬が、その日だけは飼い主さんと同じように遅く起きてきたり、休日になると仕事に行く日よりも「構って」アピールをしてくるようになる…といった行動パターンの違いが犬にも出てくるということが起きています。
これを見ると、「今日は飼い主さん、お外に行かないからたくさん遊んでくれる!」「休みの日だから今日はのんびり寝ている日だよね」というように、飼い主さんの休日をしっかり認識しているように思えます。
飼い主の生活リズムを覚えている
では、犬は飼い主さんの休日をどのようにして認識しているのでしょうか。それは飼い主さんの生活リズムが変わることにあります。
例えば、先ほど話に出たように、出勤日は6時に起きるけれど休日は9時頃まで寝ているといった変化であったり、いつもは7時半に家を出る飼い主さんが、休日になると1日中家にいるといった変化が当てはまります。
さらにこの日(休日)が一定のサイクルでやってくる場合、犬はその生活リズムが一定のサイクルで来ることを体で覚えているため、「今日は飼い主さんの生活リズムが変わる日」として認識するようになりやすいのです。
したがって、不定期に休日がやってくる飼い主さんよりも、土日休みというように、休みが曜日で決まっている飼い主さんの飼っている犬の方が認識している傾向が強いです。
休日にいつもと違う行動をする飼い主
先ほども話に出ましたが、具体的に飼い主さんの生活リズムが変わるというのはどのような事例が挙げられるのでしょうか。
起床時間が違う
まずは先ほども話に出たように起床時間が変わるという点です。仕事に行く日は早起きをする飼い主さんも、休日の日はゆっくり寝ていたいと思う人が多いですよね。その思いが実際に反映され、休日にゆっくり寝ていることが多いようであれば、そのサイクルを認識しています。
中には朝、起きるまで休日として認識していないけれども、飼い主さんが起きる時間が遅いという理由から「今日は休みの日だ」と判断する子もいます。
休日の日は家にずっといることが多い
こちらも先ほど話に出たとおりですが、仕事がある日は外へ出掛けに行ってしまう飼い主さんですが、休日の日は疲れも溜まっているため、家の中で過ごすことが多いという人も多いでしょう。
これが休日の習慣となっている場合、ずっと家にいるため犬も構ってもらえる時間が増えることをサイクルとして覚えていることがあります。犬は嬉しいこと、自分にとって良いことを強く記憶する傾向があるため、「外出しない日は構ってもらえる」というように覚えてしまっているのです。
最初に出た例に「休日になると愛犬が構ってアピールをしてくるようになる」という例がありましたが、これも飼い主さんが休日に家にいることが多く、構ってもらえる時間が多いためでしょう。
ドッグランに連れて行ってくれることが多い
また、休日になり時間ができると愛犬を遊びに連れて行ってあげるという飼い主さんも少なくありません。休日になると決まってドッグランなどに連れて行くという場合には、この習慣を体で覚えている子も多いです。
「今日は飼い主さん、朝起きるのが遅かった。じゃあドッグランに連れて行ってもらえるかも!」というように習慣化しているのです。
犬にも「サザエさん症候群」がある!?
前述したように、犬は飼い主さんの生活リズムが一定のサイクルでやってくることによって、曜日感覚はないものの「今日は飼い主さんが家にいる日(休日)かも」と習慣化するようになります。
しかし、人間には「サザエさん症候群」と呼ばれるものがあります。皆さんも耳にしたことがあるのではないでしょうか。これは土日休みの人が日曜日の夕方に放送される「サザエさん」を観ることで、直感的に「明日は仕事だ」と思い、憂鬱な気持ちになってしまうというものです。
実は、土日休みなど決まった休日がある飼い主さんの犬の場合、同じような「土日病」という症状が出ることがわかっています。
2日連続で家にいる、またはサイクルが変わる飼い主さん…。土日になると構ってくれる時間が多くなるため、犬も喜びます。しかし、2日目の夜になると「明日は構ってもらえない日だ」とサイクルで感じ取るため、憂鬱になってしまうのです。
実は近年、これによって過度なストレスがかかってしまい、犬の精神的な病の一因となる事があり、東京大学付属動物医療センターでは1週間に2~3頭の犬が診療に訪れると言います。犬にとっても深刻な症状となっているのですね。
土日病を起こさないために
土日病は犬にとっても負担が掛かるため、なるべくならば症状を起こさないようにしてあげたいですよね。では、どのような対策で土日病を予防することができるのでしょうか。
それはずばり、飼い主さんが出勤する日と休日の愛犬への構い度合いを変えないということです。「休日だけすごい構ってくれる」というサイクルが犬を苦しめているため、休日と仕事の日のギャップを起こさないようにしてあげる事が大切です。
したがって、日頃から仕事の日も飼い主さんは帰ってきたら構ってあげる時間を作り、休日の日にはギャップを大きく作らない程度に構ってあげることがポイントとなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介した「飼い主の休日を認識する」という犬の能力は、私たち人間と共に暮らしてきた歴史の長い犬だからこそ、認識することができる能力です。また、飼い主さんを大好きだからこそ、そのサイクルを習慣として体で覚えてしまっています。
しかし、そこには「休日病」という犬にとっては悲しい症状が起こるリスクも隠れていることを知っておく必要があるのです。なるべく仕事の人休日にギャップができないよう、飼い主さんも努力していきましょう。