なぜ犬は痛みに強いと言われているのか

なぜ犬は痛みに強いと言われているのか

犬が痛みに強いと言われているのは、「我慢強い」ということが理由です。決して痛みに強いわけではなく、私たちと同じように痛みを感じているにも関わらず、どんなに強い痛みでも我慢してしまう動物なのです。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬は痛みに強い?

右手をケガした犬

犬は痛みに強いと言われることが多くあります。私たち人間の場合、全く同じ痛みを与えられても、人によって感じる痛さには違いがあります。

注射をすることは全く痛くないという人もいれば、本当は泣き叫んでしまいたいくらい痛いという人もいますよね。その痛みの感じ方は犬にも同じことが言えます。犬も私たち人間と全く同じように痛みを感じ、犬によって感じる痛さには違いがあります。

では、なぜ、犬は痛みに強いとされるようになったのでしょうか。

犬は人間の痛みの5分の1しか感じない?

犬の痛覚は人間の5分の1ほどだ、という考えを持つ獣医さんがいらっしゃるようです。科学的に認められているものではないようですし、事実かどうかは明らかではありません。

犬それぞれに感じる痛みの強さは違いますし、犬には痛覚がないということでもありません。ワクチンや狂犬病の注射を打つとき、キャン!っと鳴いてしまう犬がいますよね。「痛い!」と訴えている証拠です。

うちの愛犬たちは注射を打つ前から鳴いていますし、注射=痛いということを理解しているのだと思います。

痛みに強いわけではなく隠しているのです!

犬は痛みに強いわけではありません。痛みを隠しているのです。
痛みに強いではなく我慢強いと言った方がわかりやすいのではないでしょうか。

これは、野生動物の場合ですが、ケガや病気や痛みを隠すことで敵から身を守っています。痛みを出してしまったら、「あいつは弱っているぞ」と敵に見破られてしまい、襲われてしまうからです。痛みを隠して耐えるというのが野生の本能なのです。

そして、これは犬にも同じことが言えます。人間と暮らすようになるずっと前、犬も野生で暮らしていました。その本能や習性によって、今も痛みを隠して耐える犬がいるのです。決して痛みに強いわけではなく、痛みを正直に訴えてくる犬もいますし、隠し通そうとする犬もいます。個体差はあると思いますが、犬も私たちと同じように痛みを感じているのです。

愛犬の痛みに気づいてあげられているでしょうか?

右足をケガした犬

痛みを伝えようとはしない犬に対して、私たちがその痛みに気づいてあげることは、そう簡単なことではありません。私たちが気づくほどの異常が起きたとき、はじめてその痛みに気づくこともあります。そうなってしまってからでは手遅れである可能性も十分に考えられます。

普段から観察することが大事!

愛犬の様子を普段からこまめに観察しておきましょう。

  • なんだか歩き方が少しいつもと違う気がする
  • 座ったり立ったりする動作がやけにゆっくりだな
  • 腹部を触られることを急に嫌がるようになったな
  • 立ったまま長時間動かないでいるな

など、痛みを伝えること以外にも行動で伝えてくることがあります。

とくに、キャン!などの甲高い声で鳴いたり、無意味に吠えるようになったり(無駄吠え)、逆に全く声を発しなくなってしまったとき、痛みを我慢しているサインである可能性があります。カラダ中を触って確かめてみるという方法も良いと思います。痛みのある部分に触れられたとき、何等かの反応があるはずです。

こんな行動に注意!

  • カラダがブルブルと震えている
  • 手足を上げたり、引きずったりしている
  • キャン!と甲高い声で鳴く
  • ハッハッハッ!と荒い呼吸をしている
  • しきりにカラダを舐めている
  • 寝たまま、座ったまま、全く動かなくなってしまう

このような行動を見せたとき、痛みを我慢しているサインである可能性があります。犬はとても我慢強い動物です。痛みが極限に達するまでずっと我慢していることもあります。いち早くその痛みに気づいてあげたいですよね。

まとめ

診察を受ける犬

犬は痛みに強いではなく我慢強いそんな動物です。私たちなら痛くて泣いてしまいそうなくらいの強い痛みでも、犬は我慢している可能性があります。

普段の生活の中では観察することや確認することができない痛みがある可能性もありますので、ぜひ定期的な健康診断を受けさせてあげましょう。

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