犬と生活するうえで、当たり前にあるようなあらゆるものが危険物になり得ることは皆さんご存知かと思います。今回は散歩中に目にする「猫じゃらし」が犬にとって危険物になり得る、という発表をご紹介します。
猫じゃらしは犬の尻尾?
まずは「猫じゃらし」という植物について簡単に知ってみましょう。私たちが普段「猫じゃらし」と呼んでいる植物は、正式にはイネ科の「エノコログサ」と呼ばれる雑草です。実はこのエノコログサは「犬」が関係して名づけられているのです。
「猫じゃらしなのに犬?」と思いますが、元々はエノコログサの花穂が犬のふさふさとした尾に似ていることから「犬っころ草」と呼ばれていました。その「犬っころ草」の呼び名が「エノコログサ」に転じたそうです。漢字では「狗尾草」と書き、まさに「犬の尾の草」を表しています。確かに柴犬などのふさふさとした尻尾に似ていますよね!
そしてエノコログサを猫に見せるとじゃれることから、通称では「猫じゃらし」と呼ばれるようになりました。
そんな”犬の尾”の意味を持つ猫じゃらしですが、実は犬にとって危険な植物になり得ると言われています。危険性をもっているとはどういうことでしょうか。
猫じゃらしは危険な植物?
アメリカに本部を持つ「PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)」と呼ばれる動物保護団体の発表によると、猫じゃらし(エノコログサ)が愛犬の命を脅かす可能性があるとのことです。いったい何が危険なのでしょうか。
猫じゃらしは他のイネ科の植物同様に、夏から秋にかけて花穂(穂のような形の花)をつけます。この花穂の先端には「ノギ(芒)」と呼ばれる棘状の突起がついています。
PETAの発表ではこのノギが身体に付着することで、犬や猫にとって重大な症状を引き起こす可能性があるということです。脳に到達することはレアケースですが可能性としてはありますので列記しました。
猫じゃらしで発生しうる症状
- 目:目ヤニの発生、眼球の腫れ
- 耳:耳のかぶれ、顔が傾く、頭を振る
- 鼻:鼻汁が垂れるくしゃみ
- 股間、脇、指の間:歩行困難
- 器官(肺):咳
- 脳:神経症状の発生
上記のようにノギの小さな棘が身体へ付着することで、痛みや炎症が発生する可能性があります。顔以外にも、脇、指の間や生殖器に入り込むことで歩行への影響が出ることも想定できます。更にノギが器官や脳へ到達することで、膿胸や髄膜脳炎を引き起こす可能性があるということです。
対策
- イネ科の植物が生えている場所へ安易に近づけない
- 散歩後に身体をチェックし、しっかりとブラッシングを行う
猫じゃらし以外にもオヒシバやススキなどのイネ科の植物が生えている場所を散歩する際は、身体への付着に十分注意しましょう。ノギは特に犬や猫の被毛に絡まりやすいので、これらの植物が生い茂っているような場所には安易に近づけないことです。また、散歩後についているのを見つけた際は、必ず取り除いてあげるようにしましょう。
まとめ
ノギが小さな棘であることを考えたら、顔や身体へ付着し、炎症などが発生することは想像できますよね。更に怖いのは、そのノギが脳や器官にまで侵入する可能性があるということです。
実際に「口から入ったノギが咽頭を抜けて後頭部へ到達」、「ノギが皮膚に刺さり、皮膚を乗り越えて胸腔へ到達」といった症例が報告されているそうです。
先に紹介したような、原因不明の咳や神経症状が発生している場合は、猫じゃらしの影響も一つの可能性として覚えておいたほうがいいかもしれません。
今回は一例として身近な植物の危険性を紹介しましたが、命ある以上、時としてあらゆるものが危険物になりえます。そうはいっても全ての危険物を遠ざけることはできませんよね。何を遠ざけるのか、といった選択は難しい点ではありますが、飼い主は少なくともその危険性を知ることができます。
遠ざけるかどうかといった点は飼い主の判断になってきますが、愛犬と暮らしていくうえでは、あらゆる可能性を知ることや、学び続けることが大切なのかもしれませんね。
ユーザーのコメント
女性 ゴン吉
50代以上 女性 ドミ
食べるシーンがあり
調べたら、
こんな重大な記事が載ってて
驚きました。
こんなに危険な植物だったとは
勉強になりました。