松尾芭蕉と犬
旅の途中、宿で床に就いたものの眠れないのでしょうか。冬の寒い夜に時雨が音を立てて降っている中、犬は雨に濡れて困っていそうな描写、なんだか少し寂しい雰囲気ですね。
松尾芭蕉は江戸時代に活躍した『奥の細道』で有名な旅する俳人です。『古池や蛙飛び込む水の音』は誰でも一度は耳にしたことがあるのでは?
与謝野蕪村と犬
「またうど」は「全人」と書いて真面目といったような意味合いです。真面目に門番をしている犬とは対照的に、恋にまっしぐらに飛び出て行く猫の対比がおもしろいですね。
尚この句の「猫の恋」は春の季語なんだそう。恋猫、浮かれ猫なんていうのも春の季語なんだそうですよ。
寒い冬に家に引きこもりたいのは昔も同じなんですね。犬が寝返る音が聞こえたそうなので、寒い冬だけど昼間の木漏れ日タイムなのでしょうか。
与謝野蕪村は江戸時代中期に活躍した俳人で画家です。むしろ本業は画家だったようです。そのため蕪村の俳句は絵画的な情景描写に優れていたと言われています。芭蕉に強い憧れを持ち、芭蕉の足跡をたどる旅をしています。
小林一茶と犬の俳句
冬の句です。当時の人々の生活の中に犬が自然といた様子が浮かびます。
そしてさすが江戸の粋な文化、犬にお年玉をくれる人がいたんですね。
梅の花の番をする犬がいるとは日本的です。
春がそこまでやってきている情景が浮かびます。
小林一茶は江戸時代後期に活躍した俳人です。
一茶の俳句は親しみやすさが特徴です。生涯2万2千もの句を残しましたが、その中でも犬が登場する俳句は280もあるとのこと。
『犬と一茶』という書籍が販売されていますので、ご興味のある方は是非。
一茶は犬と同じように猫の俳句も多く詠んでいます。もちろん『猫と一茶』という書籍もありました。
正岡子規と犬の句
「夜寒」とありますので、冬の句でしょうか。静かな夜の情景が浮かびます。犬がぴちゃぴちゃと水を飲む音が響く、張り詰めた冬の夜の空気感が伝わってきます。
柿が落ちて驚いたのでしょうか、犬が吠えている奈良の町を想像するなんとものどかな光景が広がります。秋の夕暮れ、少し肌寒くなった町に犬の声が遠くから聞こえて来ます。
正岡子規は明治期に活躍した歌人・俳人です。俳句や短歌の革新者として有名ですが、病弱でわずか34才で生涯を閉じています。死を迎える2日前まで創作に勤しんでいたという話もあるほど精力的に活動し、短い生涯でしたが20万を超える俳句を残したと言われています。
また「野球」という言葉は、子規がはじめて使用した言葉だと言われています。
まとめ
日本では縄文時代から人々は犬と一緒に生活してきたと言われています。現在のような愛玩目的となったのは平安時代以降のようですが、長い間我々の生活の傍らに犬がいました。
紹介した俳句を詠んでみると、日本の原風景に犬は欠かせないような気になってしまいました。江戸の町には、あちこちの庭先に犬がいたんでしょうね。
紹介できなかったものの、多くの犬に関する俳句や川柳などの和歌がありました。犬を和歌に詠む感覚は、今でいうツイッターやインスタグラムに犬を載せるような感覚と近いのかもしれません。皆さんも愛犬で一句詠んでみてはいかがですか?