オス犬は飼いやすい?特徴や性格、特有の病気など迎える前に知っておきたいこと

オス犬は飼いやすい?特徴や性格、特有の病気など迎える前に知っておきたいこと

オス犬を飼おうか迷っている方へ。オス犬の性格や体格、マーキングなどの特徴から、かかりやすい病気、飼い方やしつけの注意点までを詳しく解説。メス犬との違いを理解し、あなたに最適なパートナーを見つけましょう。

オス犬の特徴とは?

横向きに立つ柴のオス犬

これから犬を家族に迎えようと考えている方にとって、オスとメスどちらを選ぶかは大きな悩みの一つではないでしょうか。

一般的に、オス犬にはメス犬とは異なる身体的、性格的な特徴が見られます。もちろん個体差はありますが、オス犬ならではの傾向を理解することは、愛犬との暮らしをより豊かなものにするための第一歩です。ここでは、オス犬の一般的な特徴について詳しく見ていきましょう。

オス犬の体格

多くの犬種において、オスはメスよりも骨格がしっかりとしており、筋肉質でがっしりとした体格に成長する傾向があります。そのため、同じ犬種でもオスの方が体重が重く、一回り大きく見えることが一般的です。

例えば、柴犬やゴールデン・レトリバーなどの犬種では、オスとメスで体格差が分かりやすく現れます。この筋肉質な体は、よりパワフルで活動的な印象を与える要因の一つです。

オス犬の性格

オス犬の性格は、男性ホルモンであるテストステロンの影響を少なからず受けます。一般的に、縄張り意識がメスよりも強く、自分の家族や家を守ろうとする番犬気質を持つ子が多いと言われています。

また、好奇心旺盛で遊び好きな面もあり、飼い主に対しては非常に甘えん坊な一面を見せることが特徴です。飼い主の後をついて回ったり、体をすり寄せてきたりと、愛情表現がストレートな子が多い傾向にあります。

ただし、これらの性格は犬種や育った環境、個々の持って生まれた気質によって大きく異なるため、あくまで一般的な傾向として捉えることが大切です。

オス犬特有の行動

オス犬には、性ホルモンの影響による特有の行動が見られます。代表的なものが「マーキング」です。これは、電柱や壁など様々な場所に少量の尿をかけることで、自分の縄張りを他の犬にアピールするための行動です。

また、他の犬や人の足、クッションなどに乗りかかろうとする「マウンティング」もオス犬によく見られます。これは性的アピールだけでなく、自分の優位性を示したり、興奮やストレスを感じた際にも現れる行動です。

去勢手術をしていないオス犬は、発情期のメス犬の匂いに強く惹かれ、興奮しやすい傾向もあります。

オス犬がかかりやすい病気

獣医師の診察を受けているオス犬

犬の病気の中には、性別によってかかりやすさが異なるものが存在します。オス犬は、生殖器に関連する特有の病気に注意が必要です。

これらの病気の多くは、去勢手術によって発症リスクを大幅に下げることができます。ここではオス犬が注意すべき代表的な病気を解説します。

精巣腫瘍

精巣腫瘍は、精巣(睾丸)がガン化する病気で、特に去勢手術をしていない高齢のオス犬で発症リスクが高まります。

また、精巣がお腹の中や足の付け根にとどまり、正常な位置に降りてこない停留精巣(ていりゅうせいそう)、または潜在精巣(せんざいせいそう)と呼ばれる状態の場合、正常な精巣に比べて腫瘍化するリスクが非常に高くなることが知られています。

精巣の大きさが左右で違ってきたり、硬くなったりした場合は注意が必要です。

前立腺肥大

前立腺は精液の一部を作る、オス特有の生殖器官です。去勢していないオス犬は、男性ホルモンの影響で年齢を重ねると共にこの前立腺が大きくなる、前立腺肥大を発症しやすくなります。

肥大した前立腺が周辺にある尿道や直腸を圧迫するため、尿が出にくそうにする、頻尿になる、排便時にいきむ時間が長くなる、便秘や血尿が見られるといった症状を引き起こします。

会陰ヘルニア

会陰(えいん)ヘルニアは、肛門の横あたりにある骨盤の底の筋肉が薄くなってしまい、その隙間からお腹の中にあるはずの直腸や膀胱などが皮膚の下に飛び出してしまう病気です。男性ホルモンの影響が関わっていると言われ、去勢をしていない中高齢のオス犬に多く見られます。

排便時にいきんでも便が出にくい「しぶり」の症状が特徴で、お尻の横が膨らんで見えるようになります。

肛門周囲腺腫

肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)は、肛門の周りにあるアポクリン腺という分泌腺の一種が腫瘍化する病気です。この腫瘍の発生には男性ホルモンが関与しているため、去勢していない高齢のオス犬で多く発生します。

多くは良性ですが、大きくなると犬自身が気にして舐め壊してしまったり、排便の邪魔になったりすることがあります。

オス犬はメスより飼いやすい?

人になでられて嬉しそうな表情のオス犬

オス犬だから飼いやすい、メス犬だから飼いにくいということは一概には言えません。

飼いやすさは、犬種、その子の生まれ持った性格、飼い主のライフスタイルや性格、そして何よりもトレーニングや社会化といった飼育環境によって大きく左右されます。

例えば、甘えん坊で常に一緒にいたいタイプの飼い主であれば、愛情表現が豊かなオス犬の性格は非常にフィットするでしょう。一方で、マーキングや他の犬への強い関心といったオス特有の行動に、根気強く向き合う必要が出てくる場面もあります。

最終的には性別で判断するのではなく、一頭一頭の個性を受け入れ、その子に合った育て方ができるかどうかが最も重要です。

オス犬を飼う際の注意点

芝生の上で一緒に遊んでいる3頭の犬

オス犬の持つ特性を正しく理解し、適切に対応することが、共に幸せに暮らすための鍵となります。ここでは、オス犬を家族に迎える際に特に心に留めておきたい注意点をいくつかご紹介します。

「マーキング」の対策としつけ

オス犬を飼う上で、多くの飼い主が直面するのがマーキング行動です。これは犬の本能的な行動であり、強く叱るだけでは改善が難しい場合があります。

室内でのマーキングを防ぐためには、まずトイレトレーニングを徹底することが基本です。もし粗相をしても、匂いが残らないように専用の消臭剤でしっかりと掃除しましょう。去勢手術を行うことでマーキングが減少するケースも多いですが、すでに習慣となっている場合は効果が見られないこともあります。

また、お出かけの際や来客時など、心配な場面ではマナーウェア(犬用のおむつ)を活用するのも有効な手段です。

子犬の時期に「社会化」を行う

縄張り意識が強く、他の犬に興味を示しやすいオス犬にとって、子犬期の「社会化」は非常に重要です。社会化とは、子犬のうちに他の犬や人間、様々な物音や環境に慣れさせ、社会性を身につけさせるトレーニングのことです。

この時期に適切な経験を積むことで、他の犬に対して過度に攻撃的になったり、恐怖心から吠えたりすることを防ぎ、他の犬とも上手に挨拶ができる落ち着いた成犬に育ちやすくなります。

毎日の「散歩」や「遊びの時間」を確保する

一般的にオス犬は筋肉質で活発な子が多い傾向にあります。そのため、エネルギーを適切に発散させてあげることが心身の健康にとって不可欠です。

毎日の散歩はもちろんのこと、ドッグランで思い切り走らせたり、ボール遊びや知育トイを取り入れたりと、心身ともに満足できる時間を作りましょう。

トイ・プードルやチワワといった小型犬でも、運動欲求は存在します。エネルギーが満たされないと、ストレスから問題行動につながることもあるため注意が必要です。

「去勢手術」を検討する

望まない繁殖を防ぐことはもちろん、オス犬の去勢手術には様々なメリットがあります。マーキングやマウンティング、他の犬への攻撃性といった問題行動が、男性ホルモンの影響によるものであれば、手術によって軽減される可能性があります。

さらに、先述した精巣腫瘍や前立腺肥大、会陰ヘルニアといったオス特有の病気の発症リスクを大幅に下げることができます。

一方で、全身麻酔のリスクや、術後に太りやすくなるなどの体質の変化も考慮する必要があります。手術の時期やメリット・デメリットについては、かかりつけの獣医師とよく相談し、愛犬にとって最善の選択をすることが大切です。

まとめ

犬の散歩をしている家族

オス犬には、メス犬よりも筋肉質で大きな体格になりやすく、甘えん坊で縄張り意識が強いといった性格の傾向が見られます。マーキングなどの特有の行動や、精巣・前立腺といったオス特有の病気にも注意が必要です。

しかし、これらの特徴はあくまで一般的な傾向に過ぎません。犬の飼いやすさや相性は、性別だけで決まるものではなく、その子の個性や飼い主との関わり方によって大きく変わります。

オス犬ならではの魅力を深く理解し、その特性に合わせたしつけや健康管理を行うことが、かけがえのないパートナーとして共に楽しく暮らしていくための秘訣と言えるでしょう。この記事が、あなたの素晴らしい家族探しの一助となれば幸いです。

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