犬に人間用の香水を使うのは絶対にダメ!
愛犬に人間用の香水を使用することは、中毒症状を引き起こす可能性があるため絶対にやめてください。人間にとっては心地よい香りでも、その成分は犬の体にとって非常に有害となる場合があります。
香水に含まれるアルコール成分や様々な化学物質は、犬のデリケートな皮膚に炎症を引き起こすだけでなく、皮膚から吸収されたり、毛づくろいの際に口から入ったりすることで、深刻な健康被害につながる危険性があります。
犬が香水を舐めた!犬の体への影響は?
もし愛犬が人間用の香水を舐めてしまった場合、含まれる成分によって様々な中毒症状が引き起こされる可能性があります。飼い主が良かれと思って付けた香りや、テーブルに置いてあった香水に犬が興味を示して舐めてしまうケースも考えられます。
消化器系の症状
- 嘔吐
- 下痢
- 多量のよだれ
香水に多く含まれるアルコールや化学的な香料成分は、犬の胃や腸の粘膜を強く刺激します。そのため、舐めてしまうと嘔吐や下痢、多量のよだれといった消化器系の症状が現れることがあります。
特に体の小さいチワワやトイプードルのような小型犬は、少量でも症状が出やすい傾向があるため注意が必要です。
神経系の症状
- ふらつき
- 元気がなくなる
- ぐったりする
- 痙攣発作(重度の場合)
香水の成分が体内に吸収されると、神経系に影響を及ぼすことがあります。特にアルコール成分は、犬にとって毒性が強く、ふらつき、元気がなくなる、ぐったりするといった症状の原因となります。
重度の場合には痙攣発作や意識障害を引き起こす可能性もあり、非常に危険です。これは「神経毒性」と呼ばれる、神経細胞の正常な働きを阻害する作用によるものです。
肝臓や腎臓へのダメージ
- 「肝機能障害」のリスク増加
- 「腎機能障害」のリスク増加
体内に取り込まれた有害な化学物質は、解毒や排泄のために肝臓や腎臓で処理されます。そのため、香水を舐めることはこれらの臓器に大きな負担をかけることになります。
一度の摂取だけでなく、日常的に香水の成分に晒されることで、長期的に肝機能障害や腎機能障害のリスクを高める可能性も否定できません。万が一、愛犬が香水を舐めてしまった場合は、すぐに動物病院を受診してください。
犬が人間用の香水の臭いが苦手な理由
犬が人間用の香水を嫌がるのには、身体的な理由と習性に基づいた理由があります。人間と同じ感覚で香りを捉えているわけではありません。
人間よりも嗅覚の鋭いため
犬の嗅覚は、人間の数千倍から1億倍も優れていると言われています。私たち人間が「ふんわりと良い香り」と感じる程度の香りでも、犬にとっては耐え難いほどの強烈な刺激臭となります。
それはまるで、人間が強烈な刺激臭のする瓶の中に顔を突っ込んでいるような状態に近く、大きなストレスを与えてしまいます。
匂いによるコミュニケーションを阻害されるため
犬は匂いを通じて多くの情報を得て、他の犬とコミュニケーションをとっています。例えば、お互いのお尻の匂いを嗅ぐのは、相手の性別、年齢、健康状態、感情などを読み取るための重要な挨拶です。
人間用の香水の強い香りは、犬自身の体臭やフェロモンといった大切な情報を覆い隠してしまいます。これにより、他の犬との円滑なコミュニケーションが妨げられ、社会的なストレスの原因となることがあります。
中には本能的に「危険」と判断する香りも…
香水に含まれる人工的な化学香料や、一部の植物から抽出された強い香り(特に柑橘系など)は、自然界にはない不自然な匂いです。
犬は本能的に、このような嗅ぎ慣れない強い匂いを未知の物質や危険なものと認識し、避けようとします。柴犬や秋田犬のような嗅覚の優れた犬種では、特にこの傾向が強く見られることがあります。
犬が大丈夫な香水・フレグランスはある?
愛犬との生活で香りを楽しみたい場合は、必ず「犬用」として販売されている製品を選んでください。
犬用のフレグランスは、アルコールフリーで作られていたり、犬にとって安全性が確認された天然成分のみを使用していたり、香りを犬が嫌がらない微香性に調整されていたりと、様々な配慮がなされています。
ここでは、安心して使用できる代表的な犬用フレグランス製品を3つ紹介します。初めは少量かつ、アレルギー反応などが起こらないかパッチテストを行った上で使ってあげましょう。
A.P.D.C. グルーミングスプレー
天然成分を主原料とし、犬の皮膚や被毛に優しいことで知られる製品です。消臭や虫除け効果も期待できるティーツリーオイルを配合していますが、犬用に安全な濃度に調整されています。
ブラッシングスプレーとして日常的に使用でき、愛犬の体を清潔に保ちながら、爽やかな香りをまとわせることができます。
ZOIC(ゾイック)コロン
ペットのデリケートな皮膚被毛を考慮して設計された、ペット専用のコロンです。香りが長持ちする点が特徴で、シャンプー後の良い香りを継続させたい時に役立ちます。
ダマスクローズやグリーンアップルなど、複数の香りから愛犬や飼い主の好みに合わせて選ぶことができます。
Lafancys(ラファンシーズ)ブラッシュアップコンディショナー
厳密には香水ではありませんが、多くのトリミングサロンでも使用されている仕上げ用のスプレーです。
被毛に潤いとツヤを与え、静電気を防ぎながら、上品で優しい香りを残します。日常のブラッシング時に使用することで、もつれを防止し、美しい毛並みを保つのに役立ちます。
まとめ
人間用の香水を犬に使用することは、皮膚炎や中毒症状を引き起こす大変危険な行為です。犬の優れた嗅覚は、人間が感じる香りを何倍もの強さで感じ取り、大きなストレスやコミュニケーションの阻害にもつながります。
愛犬との暮らしの中で香りを楽しみたいと考える場合は、その思いやりを安全性への配慮という形にしてください。必ず、犬の体のことを第一に考えて作られた「犬専用」のフレグランスやコロンを選び、使用方法を守って正しく使いましょう。
愛犬本来の自然な香りもまた、かけがえのない個性であり、飼い主と愛犬との絆の証です。