犬の肉球の仕組み
私たちは普段、犬の手足の裏にある肉球の全てをまとめて“肉球”と呼んでいますね。実は、肉球それぞれに名前があることをご存知でしょうか。今、頭の中に「??」が浮かんだ方がほとんどかもしれません。犬の肉球の仕組みとそれぞれの役割について学んでいただいた後、ぜひ、愛犬の肉球をよく観察してみてください。これまでとは見方が変わるかもしれません。
「掌球(しょうきゅう)」と「足底球(そくていきゅう)」
掌球または足底球とは、犬の手足の裏の真ん中にある肉球のことを言います。犬の手足の裏にある肉球の中で最も大きな部分です。手の裏の真ん中にある大きな肉球のことを掌球と呼び、足の裏の真ん中にある大きな肉球のことを足底球と呼びます。このように、手と足で呼び方が違います。掌球と足底球の主な役割は、「体重を支える役割」「地面との摩擦を軽減させる役割」「衝撃を軽減させる役割」です。
「指球(しきゅう)」と「趾球(しきゅう)」
指球または趾球とは、犬の手足の先の方にある4つの小さな肉球のことを言います。手の先の方にある4つの小さな肉球のことを指球と呼び、足の先の方にある4つの小さな肉球のことを趾球と呼びます。このように、どちらも“しきゅう”と呼びますが、手と足では漢字に違いがあります。
「手根球(しゅこんきゅう)」
手根球とは、地面に接することのない肉球のことを言い、犬の手首の辺りにありますね。とても小さく丸い形をしています。手根球は、犬が進化をする中で退化した肉球であるとされており、現代の犬が使うことのない肉球です。退化する以前には、何等かの役割を持った肉球であったかもしれません。もしくは、肉球ではない何等かの器官であったかもしれません。
犬の肉球の役割
犬の肉球の仕組みでもお話したように、掌球と足底球の主な役割は、「体重を支える役割」「地面との摩擦を軽減させる役割」「衝撃を軽減させる役割」です。では、肉球全体の役割としては、どのような役割があるのか、なぜ犬には肉球があるのか、ということも考えながら見てみましょう。
1.身体を衝撃から守る役割
走るとき、飛び上がるとき、着地するときなど、身体には大きな衝撃がかかります。このとき、肉球がクッション材のような役割をし、衝撃を吸収することで身体を衝撃から守ることができます。
2.熱さや冷えから皮膚を守る役割
肉球は、皮膚が進化し、分厚くなったものであると考えられています。皮膚の外側に肉球があることで、皮膚の内側に熱さや冷えを伝わりにくくするという役割があります。そのため、皮膚そのものが火傷を負ったり、凍傷を負ってしまいにくいのです。
3.滑り止めのような役割
猛ダッシュで走っていて、急に止まるとき。猛ダッシュで走っていて、急なカーブを曲がるとき。肉球には、滑り止めのような、ブレーキのような役割があります。愛犬が猛ダッシュしている姿をよく観察してみてください。ピタッと止まったり、キュッと曲がることができているはずです。肉球がなければ、スーッと滑って進んでしまうかもしれません。
4.体温調節の役割
体温調節が必要なとき、犬は、パンティングを行いますね。舌を出し、ハッハッハッと呼吸をする仕草です。唾液を気化することで体温調節を行っています。また、肉球と鼻には汗腺があり、汗を出し、気化させることでも体温調節を行うことができます。
お散歩の後や運動の後、愛犬がパンティングをしているとき、肉球に触れてみてください。しっとりとしていたり、濡れている様子がわかると思います。また、肉球から出る汗には、その犬特有のニオイがあり、そのニオイを使ってマーキングをすることがあります。
まとめ
犬の肉球の仕組みと役割についてご紹介しました。肉球それぞれの名前と役割を事前にご存知でしたか?衝撃を吸収するクッション材のような役割を持つ掌球と足底球、滑り止めやブレーキのような役割を持つ指球または趾球、これらの肉球は、とくに傷つきやすく、乾燥しやすいです。
こまめにチェックし、油分を補うなどのケアが必要です。お散歩の後、手足の裏や肉球を拭く、または洗う、というお手入れが習慣になっている場合、皮脂を落とし過ぎてしまい、乾燥したり、ひび割れているかもしれません。