犬は水を飲んでいるとき、息をしていない?
犬が水を飲むメカニズム
2012年、犬と猫の水の飲み方の違いについて、アメリカのマサチューセッツ工科大などの研究者が大真面目に研究した結果が発表されました。その研究結果によると、犬と猫が水を飲んでいる仕草はとても良く似ていますが、そのメカニズムには相違があって、犬よりも猫の方が効率的に水を飲んでいることがわかりました。
犬は、舌を水面の下まで差し入れ、お玉のように舌を内側に曲げて水をすくい、勢いよく水柱を作って、その水柱となっている水を飲んでいます。
犬は、水を飲んでいても呼吸が出来る!
私たち人間は、水を飲む時は呼吸をしません。なぜなら、水を飲みながら息をするとむせて咳き込んでしまうからです。
けれども、息を止めて水を飲むと、食べ物と空気を食道と器官へとそれぞれに振り分ける働きをする「喉頭(こうとう)」と呼ばれる器官と、喉頭蓋(こうとうがい)という、水や食べ物など、なにかを飲み込むたびに気管に蓋をし、そうして飲み込んだものを食道へと誘導する器官がうまく機能して、むせずに水を飲むことが出来ます。
つまり、人間が水をスムーズに飲むためには、喉頭と喉頭蓋がうまく連動させなければならないために、息を止める必要があるのです。
それに対して、犬の喉頭は人間よりも口の奥に位置しています。歯によって噛み砕かれた食べ物が口の中から食道へ運ばれるときは、人間と同じように喉頭蓋が一時的に気管を閉じますが、水は咽頭の横をすり抜けて食道へと流されていきます。ですから、呼吸を止めて喉頭蓋で気管を塞がなくても、むせることなく水が飲めるのです。
犬が水を飲んでむせるとき、なにか問題が潜んでいる?
犬が水を飲んでむせる理由
- 生理現象
- 気管に水が入りそうになった時
- 疾患
水を飲んでいる時だけまれにむせる場合
冷たい水を飲んだとことで、喉の奥にある器官が刺激されて、むせたり、水を一気に飲んだり、ペットボトルや水道から直接勢いよく水を飲もうとした時、気管に水が入りかけて、反射的にむせることがあります。
水を飲んでいる時にだけ、まれにむせる場合は、水の飲み方を工夫したり、急に冷たい水を飲ませないようにして、しばらく様子を観察しましょう。そう言った改善策の結果、水を飲んでもむせなくなれば、病気の可能性は低いと言えます。
水を飲むたびにひんぱんにむせる場合
水を飲む時の姿勢にも問題がなく、ただ穏やかに水を飲んでいるにもかかわらず、毎度毎度水を飲むたびにむせるのは、病気が原因となっている可能性があります。
例えば、気管や呼吸器系の疾患が原因の場合や、顎の奥の方にある「軟口蓋」と呼ばれる皮膚が垂れ下がって気道を塞いでしまうと言ったことが原因かも知れません。もし、水を飲む時にむせる、さらに熟睡時にいびきをかく、などの症状があれば獣医さんに診てもらいましょう。
まとめ
「犬が水を飲む」「猫が水を飲む」という動作に対して、大真面目に研究したのは、世界的にもトップクラスのアメリカ・マサチューセッツ工科大学などの共同研究者のグループです。ごく自然なその動作の中に、平均的な頭脳しか持ちえない人間には理解出来ない、探求心を刺激される魅力があったのでしょう。
私たち人間にも、犬などの動物にもまだまだたくさんの謎や研究者の探求心を刺激する未知なる魅力が眠っているに違いありません。・