犬の『トラウマ』とは?
『トラウマ』は心の傷
トラウマとは精神的ショックや恐怖心が原因となる心の傷。あまりにも大きなトラウマだと、その後の生活や愛犬自身の性格にも非常に大きな影響を与えてしまいます。
犬がトラウマになる原因は、恐怖心はもちろん、痛み、苦しみ、悲しみなど、負の感情を抱くような出来事が何度も繰り返されてしまうこと。精神的にきつい状況が何度も続くことで『トラウマ』が植え付けられてしまいます。
犬がトラウマを引き起こす、もっとも多い原因は「飼い主さんとの関係性」。愛犬に良い子に育ってもらいたいという思いから、しつけが厳しくなりすぎてしまうと危険です。また、愛犬のために行うシャンプーや爪切りなどのケアも、時にはトラウマになってしまうこともあるようです。
『トラウマ』の症状とは
トラウマの対象となる恐怖心を感じる物と接近した時、その対象に向かって吠え続けたり、急に震えだすなど、いわゆる「怖がっている」行動をすることが多いと思います。その他にもいくつか症状があるようです。
- 痙攣
- 噛みつく
- パニック状態
- 失禁
- 四肢を噛み続ける
トラウマの症状は、飼い主さんとしても、愛犬にしてほしくない行為だと思いますが、1番苦しんでいるのは愛犬自身です。一度抱えてしまったトラウマを改善していくには、飼い主さんとの信頼関係を築き直し、じっくりと時間をかけて恐怖を感じる物に慣れていってもらわなくてはいけません。
犬にとっても飼い主さんにとっても、労力のかかる時間になってしまうと思います。互いにそんな時間を過ごさなくてすむように、犬に『トラウマ』を植え付けてしまうNG行為を確認しておいてください。
犬に『トラウマ』を植え付けてしまうNG行為3つ!
1.厳しすぎるしつけ
上記にも書いたように「厳しすぎるしつけ」は、犬のトラウマになりかねません。確かに「良いこと」と「悪いこと」を教えるために、時には叱ることも必要かと思いますが、強すぎる「叱り方」は嫌悪感や恐怖心に繋がります。
具体的には、マズルを掴んでひっくり返して抑え込む、叩いて叱る、チョークチェーンなど。これらは犬に嫌悪刺激を与えて学ばせるしつけ方法です。
叩いて叱るに関しては、しつけを通り越して、言ってしまえば「体罰」ですよね。体に痛みという嫌な刺激を与えられると同時に、心まで傷つけられてしまう行為になります。
2.嫌いな場所に連れて行かれる
日頃のお散歩コースの中で、愛犬が怖がる特定の場所はありますか?例えば、飼い主さんが犬友達との交流が盛んで、いつもの公園でいつもの仲間たちと集まっている時に、嫌がる素振りを見せることはないですか?もし、愛犬が恐怖心を感じ嫌がっているようであれば、無理にその場所に連れて行くのは止めましょう。
小刻みに震える、しっぽがお腹につくほど丸めこんでいるなどは怖がっているサインです。犬は非常に個性豊かなので、個体ごとに性格がまったく違います。知らない人や知らない犬と仲良くすることに、苦痛を感じる個体も存在するので、無理に交流を持たせることは控えましょう。
また、動物病院に強い恐怖を感じてしまう子もいますよね。病気にならなくてもワクチン接種などで、動物病院には必ずお世話になる機会があるので、動物病院に連れて行くこと自体はNG行為ではありません。できるだけ愛犬が不安を感じず、怖がらないよう動物病院に行ける工夫をしてあげましょう。
大好きなお気に入りのオモチャを持っていく、待っている時間はオヤツをたくさん与える、また動物病院でしか食べることができない特別なオヤツを用意してあげるのも良いと思います。少しでも愛犬の恐怖心と不安感を軽減してあげますよう。
3.嫌なことを強引にされる
シャンプーや爪切りなど、犬にとって大切なケアを嫌がる子も少なくないと思います。どんなケアにしても無理に押さえつけて行うと、トラウマとなってしまう危険性があります。シャンプーが嫌いな子は水に恐怖心を感じる子が多いよう。
犬が嫌がらないシャンプーの仕方の手順を踏んで、ゆっくり慣れていってもらえば、水に対する恐怖心も軽減できるはずです。
逃げたり暴れたりするほど嫌がるケアを、無理に押さえつけて行うのではなく、それぞれのケアには犬が嫌がらずに行える対処法がいくつもあります。無理強いすると更にトラウマが悪化する可能性もあるので、愛犬が嫌がらない対処法を色々と試してみましょう。
まとめ
愛犬にはいつも元気で穏やかに過ごしてもらいたいもの。心に傷があるのは愛犬自身も辛いはずです。暴力や虐待がトラウマとなってしまうのは、想像つきやすいと思いますが、シャンプーや爪切りも飼い主さんのやり方次第ではトラウマになる可能性があります。
私たちにとって愛犬のケアが大切なことなのは分かりきったことですが、愛犬にはシャンプーや爪切りが必要な意味が分からないのです。飼い主さんが「良かれと思ってやっていること」がトラウマの原因にもなりかねないので、愛犬にトラウマの症状が見られる場合は、今一度、愛犬との関係性や接し方を見直してみて下さい。