犬の一卵性双生児は非常に稀なケース
一度に何匹もの子どもを出産する犬ですが、実はその中に一卵性双生児は確認されたことがありませんでした。人間の場合は双子というのはそれほどめずらしいものではなく、統計上では80回の出産に1回は双子になるとされています。
そのうち一卵性双生児が約3分の1を占めるとされています。さらに特定の妊娠誘発剤を使用し不妊治療を行った場合などは、二卵性双生児の出産確率がより高まるとも考えられています。一卵性双生児とはひとつの受精卵がふたつの胚に分裂してそれぞれが胎児として成長していきます。二卵性双生児ははじめから受精卵がふたつ存在し、同時に子宮内で成長していく状態を言います。
人間以外に一卵性双生児は生まれない?
実は人間以外の動物では一卵性双生児が生まれることはほとんどないとされており、これまでに確認されたのはココノオビアルマジロが一卵性の四つ子を産むことが確認されたのみとなっています。
ただし、野生動物や家畜、ペットを対象とした遺伝子検査はそれほど多く行われてきたわけではなく見落としもあった可能性は指摘されていますが、どちらにせよ動物の一卵性双生児が非常に稀なケースであることは確かです。
2016年に一卵性双生児の子犬が誕生
2016年に一卵性双生児の子犬が産まれたと大きな話題を集めました。出産したのはアイリッシュ・ウルフハウンドの母犬で、出産した7匹のうち2匹が同じ胎盤に臍帯でつながっていたことが獣医師によって確認されたのです。
これは非常にめずらしいことで、その後の遺伝学検査でもこの2匹が同一のDNAを持っていることが確認されたのです。「カレン」「ロミュラス」と名付けられた2匹の子犬たちは、遺伝子学的に世界で初めて認められた一卵性双生児となったのです。
そもそも犬は双子や三つ子ではないの?
世界で初めて犬の一卵性双生児が確認されたのは2016年とつい最近のことです。しかし、犬は一度にたくさんの子どもを出産するため、「あれは双子や三つ子ということにはならないの?」と疑問に感じる人もいるのではないでしょうか?
人間以外の動物は一度に何匹もの子どもを妊娠・出産するケースが多いですが、このほとんどが子どもの数だけ排卵していることになるためそれぞれ別の胎盤につながれているため、「きょうだい」という扱いになるのです。
一卵性双生児の場合は遺伝子が完全に一致し、性別や血液型も必ず一致しますが、単純に多胎児ということになれば別時期に生まれるきょうだいと同レベルに似た遺伝子を持ち、性別や血液型も異なる場合があります。つまりきょうだいが同時期に産まれるという考え方になるのです。
犬の多産ギネス記録は24匹!
犬の一卵性双生児は非常に稀なケースですが、犬が同時期にたくさんの子どもを産むことは一般的なことです。そんな中、一度の出産で最も多くの子どもを産んだ犬はナポリタンマスティフの「ティア」という母犬で、なんとその数は24匹!これはギネス記録に認定されているものです。
ティアはイギリス・ケンブリッジのブリーダーの飼い犬で出産時2歳でした。飼い主はブリーダーということで犬の出産にも慣れていましたが、ティアのお腹が比較的大きいことから「10匹程度」と予想していたそうです。しかし動物病院で帝王切開が施された結果、お腹の中にいたのは24匹。オスが15匹、メスが9匹でうち1匹は死産となってしまったそうですが、出産は24匹という記録になり2005年からは最多記録としてギネス認定されています。
<まとめ>犬の一卵性双生児について
犬は一度にたくさんの子どもを産む動物ですが、一卵性双生児の存在が確認されたのがほんの数年前でたった一例のみということは驚きでもありますよね!そっくりに感じるかわいらしい子犬たちも、それぞれ異なる遺伝子を持ち“双子”や“三つ子”ではなく、同時期に産まれた“きょうだい”ということになるのです。
私たちにとって最も身近な動物とも言える犬ですが、まだまだ知らないことや解明されていないことがたくさんあるようです。今後も犬に関する新たな発見やニュースに注目していきたいですね。