犬同士の意思疎通①ボディランゲージ
犬同士の意思疎通として最も大きなものはやはりボディランゲージでしょう。人間のような言葉という表現を持たない代わりに、犬同士ではその体の動かし方で多くのものを読み取り合い意思疎通をはかります。初対面の犬同士が正面から目を合わせて近づく場合は「けんかを売っている状態」であったり、前足は伏せてお尻をあげて尻尾を振っている時は「一緒に遊ぼう!」のお誘いであったり、犬同士で伝わるボディランゲージは多彩です。また、目や耳、口、尻尾の動きや位置の違いでもその意思を読み取ることができるため、犬同士の間では私たち人間が思っている以上に「会話」がなされているのだと思います。
犬同士の意思疎通②におい
犬同士が会った時、お尻のにおいを嗅ぎ合っていることはよく見る光景です。においを嗅ぎ合うことであいさつをしているというのはよく知られていることだと思いますが、これは本当のことです。ではなぜ「お尻」のにおいであいさつをするのか?それは肛門腺にフェロモンを分泌するアポクリン細胞というものが集中しているからです。これによって発せられるフェロモンから、性別や健康状態、精神状態などを読み取ることができるとされており、ただのあいさつだけでなくお尻のにおいをかぐことでお互いの近況報告をし合っているような状態になるのです。
また、おしっこなどの排泄物からもそれに似た情報を読み取ることができると考えられています。道や公園で地面のにおいを嗅いで歩くことがあると思いますが、そうすることでその場に来た他の犬の情報を嗅ぎ取り情報を集めているとも考えられているのです。そのため散歩中に地面のにおいを嗅ぐことは「地域新聞を読んでいるようなもの」と表現されることもあるのです。
犬同士の意思疎通③吠え声
犬はその吠え声を使って意思疎通をはかることがあります。人間の言葉のような細かいニュアンスを伝えることはできませんが、声の高低や長さなど吠え方の変化で「喜びの吠え」「歓迎の吠え」「危険信号としての吠え」「不安の吠え」「興奮の吠え」などさまざまな意思を表現しているのです。
犬が吠えているとそのうるささなどからどうしてもやめさせようとする飼い主が多いと思います。しかし、その吠えには犬なりの意味があり犬同士での意思疎通のひとつかもしれません。「無駄吠え」という言葉がありますが、基本的には犬にとって「無駄な吠え」というものはなく、必ず意味があるのです。その意味を理解し、その上で出来る限り短い時間で吠えやませるようにするなど愛犬の気持ちに寄り添ったしつけができるといいと思います。
犬同士のコミュニケーションは犬のペースに任せて
犬同士で意思疎通をはかる場合でも、私たち人間と同じようにそれぞれのペースがあります。初対面からいきなり近づいて会話ができる人もいれば、何度か自然に会っているうちに言葉をかわすようになる人もいます。そうした距離の取り方は犬でも同じ。そのため、犬同士だからといって「ほら!お友達よ!仲良くしなさい!」と急に近づけたり、無理に遊ばせようとしたりすることはやめてあげましょう。犬にも犬なりのペースがあるので、初対面の犬と会った時などは犬が自分の意思で近づいたり逃げたりすることができるようにリードをやや緩めて様子を見守るようにしてください。
犬同士であれば、その存在を確認すれば離れた場所からでも何らかの意思疎通をはかっている場合が多く、それ以上近づくかどうかを自分なりに決めている場合もあります。それを無視して無理やり近づけたりくっつけられたりすると、飼い主に対して不信感を持ってしまうことも…。犬同士の意思疎通、コミュニケーションはできるだけ犬に任せるということを鉄則にしておくといいでしょう。