日本の犬の飼育頭数について
日本の犬の飼育頭数は現在減少傾向にあり、その傾向は今後も数年は続くと考えられています。一般社団法人ペットフード協会による「全国犬猫飼育実態調査」や厚生労働省による都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数」などを参考にすると、2008年頃をピークに現在まで緩やかに飼育頭数は下降しているのがわかります。
平成28年度では全国で6,452,279頭の犬が登録されています。ちなみに飼い主の義務とされている狂犬病予防注射の接種率は全国で71.4%、最低接種率の沖縄では約50%となっています。また、畜犬登録そのものをせずに飼育されている犬も少なくないと考えられており、飼育頭数や狂犬病予防接種の普及の実態がつかみきれていないのも実情です。
日本で犬を飼っている人の割合は?
家庭での犬の飼育率についても一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」を参考にすると減少傾向にあります。2004年の調査開始以降、2005年の19.4%をピークに、2017年には12.8%まで減少しています。
犬の飼育率の低下には、ペットの高齢化に伴い中高年世代が飼育を躊躇しがちであるということが考えられています。子育てや仕事に忙しい若い世代の家庭では、犬の世話を行う時間や金銭的余裕がなく、中高年になっても「犬の介護ができるかわからない」「最後までみる自信がない」などという理由から飼育離れが進んでいるようです。年代別の飼育率を見てもすべての年代で5年前に比べて低下していますが、特に50代の飼育率が顕著に低下しています。
一昔前であれば、「子育てがひと段落したから犬を飼う」などというライフスタイルの移行が多く見られましたが、近年では晩婚化や高齢出産が多く50代でも子育て真っ只中という家庭も少なくなく、さらに犬が長寿になり介護などが長引くことなどが飼育率の低下に影響していると考えられます。
また、犬に関するサービスや流行の中心となる東京都は全国でトップの飼育頭数となっていますが、人口に対する飼育率は非常に低く約3.8%程度だとされています。
世界で最も犬の飼育数が多いのはどこ?
世界で犬の飼育頭数が多いとされているのは、アメリカ・ブラジル・中国です。順位が入れ替わることもありますが、この3か国がほぼ犬の飼育頭数トップ3を占めています。
特にアメリカは犬に関する先進国と言われるだけあり、さまざまな仕組みやサービスが発展しています。そういった背景もあり、他の2か国が飼育頭数は多いものの飼育率は低いことに対しアメリカは飼育率も世界で1・2位を争う国となっています。
ちなみに日本の飼育頭数ランキングでは、各団体の調査によって異なりますが9~11位程度とされています。
日本の犬の飼育数を無理に伸ばす必要はない
日本での犬の飼育頭数や飼育率が低下していることは明らかですが、それは決して悪いことではないと思います。
確かにペット業界などからすれば市場が縮小してしまうため危機感のあることだとは思いますが、犬をむやみに飼わずにしっかりと先を見据えるようになったと考えると日本の進歩だとも考えられます。
かつて、日本の犬の殺処分数の多さは世界的に見ても「桁が違うのではないか!?」!?と驚かれる程でした。それだけ簡単に犬が飼育放棄され、殺処分されていた過去があります。
今でもまだまだ多くの犬が人間の勝手で殺処分されていますが、その数は徐々に減少しています。行政や動物保護団体、ドッグトレーナー、ペットショップなど各方面からさまざまなアプローチが行われ、終生飼育を広めて殺処分数を減らすことに尽力している人が増えているのも事実です。
犬の飼育頭数や飼育率の低下からは「犬を飼う」というのがそんなに簡単なことではないということ、しっかりと覚悟を持って飼わなくてはならないことが日本でも少しずつ広がり、浸透してきているのではないかということも考えられるのではないでしょうか。
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50代以上 女性 匿名