犬が水を飲まない原因6つ!健康への影響や水の飲ませ方とは 

犬が水を飲まない原因6つ!健康への影響や水の飲ませ方とは 

犬が、何故か急に水を飲まなくなって慌てたことはありませんか?水は、動物にとって、必要不可欠な大切なものです。今回は、犬が水を飲まなくなった原因や対処方について解説します。

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犬が水を飲まないけど問題ないの?

犬が水を飲まないけど問題ないの?

人間の体内にある水分は体重の約55~60%ですが、犬の場合、成犬で体重の約70%、子犬で体重の約80%が水分で構成されているといわれています。

体内の水分は、健康を維持するために必要な栄養素や酵素などを体中に運ぶ役割を担っていますので、不足すると細胞が弱まり、内臓や脳の機能の低下、骨が弱まる、老化、など、体に様々な悪影響を及ぼすことになります。

これらの詳しい内容は知らなくても、水分が体にとって非常に大切で、必要不可欠であることは広く一般に知られています。

そのため、愛犬が水を飲まなくなったり飲む量が極端に少なくなると、飼い主さんが、犬の体調不良や何らかの病気を疑い慌ててしまうのは、当然のことだといえるでしょう。では、犬は健康維持のために、1日にどの程度の水分を摂る必要があるのでしょうか?

犬が1日に必要とする水分量には個体差がある

一般的に、健康な犬が1日に摂取しなければならない水分の量は「体重1kgあたり約50~60ml」だといわれています。たとえば、体重5kgの犬では、1日に250~300mlの水分を摂る必要があるということです。

しかし、犬により生活の状況は様々です。運動量の多い犬もいれば、動き回るのがあまり好きでない犬もいますし、手作りご飯やウエットタイプのフードを食べている犬もいれば、ドライフードが主食の犬もいます。

「体重1kgあたり約50~60ml」というのはあくまでも目安で、1日に摂る必要がある水分の量は、普段の生活の状況を見ながら、それぞれの犬に合わせて適切に判断することが大切です。

「飲めない」「飲むべき」犬には対策が必要

ひとくちに犬が水を飲まないといっても「飲まない」のか「飲めない」のかで、対処の方法は大きく違ってきます。

水分は、口から水を飲んで摂っているだけではなく、食事にも含まれていますので、犬が食事をしっかり摂っており、普段通り元気にしているのであれば、あまり心配することはありません。

しかし、水を飲まず食事も摂らない、そのうえ元気が無いような場合は、水分を摂らせるための対策を講じる必要がありますし、場合によっては、動物病院で診察を受けなければいけないこともあります。

犬も体内の水分量が不足すると脱水症状を起こしていまい、ひどい場合には、意識障害や多臓器不全(腎機能の低下など)などを起こす可能性があるからです。

犬が水を飲まない原因

犬が水を飲まない原因

日頃から、1日のおおよその水分の摂取量が把握できていると、犬の体調異常にいち早く気付ける可能性が高くなります。

犬の水分の摂取量がいつもより少ないと感じられた時は、まずその原因を探る必要がありますが、原因がひとつだけではなく複数である場合もあり注意が必要です。次に、犬が水を飲まない原因には、どのようなものがあるのかを見ていきましょう。

体内に十分な水があり喉が渇いていない

犬のドライフードには約10%、ウエットフードには約70~80%の水分が含まれていますので、しっかりと食事が摂れていれば、体内の水分量を保つことができ、水を飲む回数や量が減少する場合があります。

普段から、ウエットフードを主食としている犬は、気温が低い時期にはほとんど水を飲まないともいわれています。

犬の健康状態に異常が無く、食事や排泄の状況も普段と変わらない場合は、喉が渇いておらず、ただ単に水を飲みたくないだけなので、心配する必要はありません。

健康な成犬の場合は、暑い時期でなければ、2~3日は様子を見ていてもよいでしょう。しかし、老犬や子犬の場合は、危険が伴うことも考えられますので、早めに動物病院で診察を受けておく方が安心です。

気温の変化

人間と同様、犬も気温が高く暑い時は多量の水を飲みますし、気温が低くなると飲む量は減ります。気温が低い時にあまり水を飲まないのは、気温が低下することで代謝が落ち、水分の必要量が減少していることが原因です。

また、舌を出してハァハァと呼吸することも減るので、体内の水分が唾液により体外に放出されることが無くなり、暑い時に比べて水を必要としなくなります。

夏の暑い時期から冬の寒い時期への気温の変化で水を飲まなくなった場合は、この気温の低下が原因になっていると考えられます。

暑い時期には、夏バテや熱中症などで体内の水分が不足しているにもかかわらず、体調不良や吐き気などの不快感があり水を飲まなくなることがありますので、この場合は注意が必要です。

水が新鮮な状態ではない

犬が水を飲まない原因が、用意されている水自体にある場合もあります。犬は、与えられた水の状態をその優れた嗅覚で嗅ぎ分けて判断します。

特に匂いに敏感な子は、新鮮でないと判断した水は飲まないことがありますし、他の犬が飲んだ後の水は飲まない、という神経質な子もたびたび見かけることがあります。

犬に与える水は、時々チェックし、常に清潔で新しいものを用意しておくようにしましょう。

飲水場所や水用の器が犬の好みではない

使っている器によって、犬が水を飲まない場合もあります。

たとえば「小さくて飲みづらい」「深すぎて飲みづらい」など器の形や大きさが犬に合っていない場合や「陶器の器なら飲むけれど、金属製の器だと飲まない」など、人間が気付かないような細かいところが気になって水を飲まないことがあるのです。

「鼻先で器を動かす」「器を隠すような仕草をする」犬がそのような様子を見せる時は、その器を気に入っていないのかもしれません。

また、水を飲む場所が、落ち着いて水を飲めないような環境である場合にも、犬が水を飲まないことがあるようです。

水飲み場が、普段の犬の行動範囲内からあまりにも遠く離れていたり、トイレの近くにあったりする場合がそれです。食事や飲水をする場所の近くにトイレがあるのを嫌がる犬は意外に多いようです。

病気や老衰により飲めない状態にある

体調不良や体に痛みがあり、水が飲めなくなっていることがあります。夏の暑い時期に、夏バテや熱中症で吐き気、不快感がある時や、肝臓や腎臓など内臓の病気が進行し衰弱してしまうと、水を飲むことができなくなります。

また、歯周病や口の内外に腫瘍ができているような場合も、口が開けにくく水が飲めませんし、椎間板ヘルニアや頸椎の亜脱臼などで腰や首が痛くなると、水を飲む姿勢をとるのが辛い、水を飲む場所まで移動できない、などの理由で、水を飲むことができなくなってしまいます。

水分の必要量は筋肉の量に関係しています。筋肉が減少し代謝が落ちてきた老犬は、成犬や子犬に比べて必要な水分の量が少なくなる上、老化により喉の渇きにも気付きにくくるため、進んで水を飲まなくなる傾向があります。

また、寝ている時間が長くなり水を飲む機会が減ってしまうと、体内の水分量も減少しますので、老犬は脱水症状に注意する必要があります。

老犬や病気で歩行が困難な時は、自分で水を飲みに行けないこともありますので、このような場合は、人間が気付いて介助してあげる必要があります。

ストレス

犬も環境や生活リズムの変化などによって、不安になり、ストレスを感じることがあります。このストレスにより、水だけでなく食事まで摂らなくなってしまうこともあります。

犬にとって安心して過ごせない時間が長く続けば、大きく体調を崩す原因になりかねません。このような場合は、犬にとっての不安材料を探り、できる限り早い時期に改善したり、取り除いてあげる必要があります。

犬が水を飲まない時の注意すべき症状

犬が水を飲まない時の注意すべき症状

犬が水を飲まず体内の水分量が不足すると、栄養素や酸素、酵素を全身に運ぶ機能が低下し、体調不良を招く原因となります。また、排尿の回数も減少しますので、体内の毒素を排出するのに支障をきたす事にもなります。

それらによって、犬の体にどのようなことが起こってくるのでしょうか?

犬の飲水量が減ると起こりやすい病気や症状

水を飲む量が減ることで、以下のような病気や症状が起こる可能性が高くなります。

  • 尿路結石症
  • 急性腎臓病
  • 熱中症
  • 便秘 

尿路結石症とは、体内の水分量の不足により排尿回数が減ることで、尿の濃度が濃くなり結石ができる病気で、血尿、頻尿、排尿困難などの症状があり、悪化すると尿毒症になる可能性があります。

尿毒症は、数日で生命に危険が及び余命宣告を受けることもある大変危険な病気です。その他にも、水分不足による脱水や排尿回数の減少は、急性腎臓病、熱中症、さらには、夏バテや便秘の原因になる可能性もあります。

これらの危険な病気を予防するためにも、水分をしっかり摂ることは大変重要です。

犬の脱水レベルによっては動物病院での治療が必要

犬の体内の水分量が不足していると、大変危険であることが分かりました。では、体内にどれくらい水分があるのか、どのようにして判断すればよいのでしょうか?

まず、犬がぐったりしていないか、鼻や口の中が乾いていないか、目が乾き目やにが出ていないかなど、犬の様子を外見から観察してみます。

鼻の乾燥具合は、季節、年齢、体調により変わってくるため、それだけで判断するのは難しいので、口や目の乾き具合もしっかり確認します。

次に、犬の皮膚をつまんでみて皮膚の戻り具合を見る「ツルゴール反応」という方法で、体内の水分量をチェックしてみます。脱水している時は、犬の皮膚がいつもより硬く感じられます。

やせ過ぎや太り過ぎの犬の場合には少し判断が難しいかもしれませんが、首から背中あたりの皮膚を親指と人差し指でつまみ上げ、離してからつまむ前の状態に2~3秒ほどで戻らない場合は、脱水がかなり進んでいるといえます。

過度の脱水が起こっていると、衰弱して動けなくなりぐったりしてきます。水だけでなく食事も摂れずにぐったりとしている時は、非常に危険な状態であると見てほぼ間違いありません。

脱水が進むと、心臓への負担が大きくなりショック症状や多臓器不全を起こし、生死に関わる場合がありますので、できるだけはやく動物病院で診察を受けなければなりません。

動物病院では、何日間くらい水を飲んでいないかなど、犬の状態をできるだけ的確に伝える必要があります。

犬が水を飲まない時の対処法

犬が水を飲まない時の対処法

犬が水を飲まなくなる原因は様々ですので、水を飲ませるための対処法も、それぞれの原因に即して考える必要があります。次に、考えられる幾つかの対処法を挙げてみますので、ひとつひとつ試してみましょう。

犬の1日の飲水量を測って日頃から比較しておく

犬が、日頃どれくらい水を飲んでいるのか、およその量を把握しておくと、犬の健康管理に役立ちます。1日に摂取した水の量を測るには、ペットボトルを利用すると便利です。

あらかじめペットボトルに入れた水の量を測っておきます。犬に飲ませる水はこのペットボトルの水を使用し、1日の終わりに器に残った水とペットボトルに残った水の量を測れば、犬がその日に飲んだ量が分かります。

それを数日間続けて平均値をとりますが、夏場と冬場では、水を飲む量にかなりの違いがありますので、その点には注意が必要です。

犬の食事に含まれる水分量を増やす

犬に水を飲ませるのが難しい時には、食事から水分を取らせるのが一番簡単な方法です。

普段、ドライフードを食べている場合は、ぬるま湯でふやかす、犬用の牛乳やヤギミルクをかける、肉や野菜のスープを混ぜる、缶詰のウエットフードをトッピングする、などを試してみましょう。

もっと多量に水を与えたい場合は、完全にウエットフードに切り替えるという方法もあります。

この時、注意しなければならないことは、肉や野菜のスープには味付けをしないこと、また、ドッグフード以外のものをトッピングする場合は、犬がその食材に対してアレルギーが無いかどうかを確認しておくことです。

水気を多く含む食事は、ドライフードに比べて傷みやすいのが難点です。与えてから、少し様子を見て食べないようでしたら、いずれ食べるだろうとそのまま放置せず、片付けてしまいましょう。

夏場には、スイカやキュウリなどの水分豊富な野菜やフルーツを与えるのもおすすめですが、与え過ぎや下痢には注意が必要です。

食事の水分を多めにすると、歯石が付きやすくなるという点も注意しなければなりません。歯石を予防するために、忘れないで歯磨きをしてあげることが大切です。

普段からウエットフードを食べている犬が水を飲まなくなった場合は、シリンジ(スポイト)などで少しずつ水を口に入れてあげましょう。

シリンジを使用する場合には、上を向かせ過ぎると誤飲する恐れがあるので、顔を少しだけ上向きにし、口の角から少しずつ飲ませるようにしますが、あまり嫌がるようでしたら、無理強いしてはいけません。

ネット上には、水分を多く含んだ犬用手作りご飯のレシピがたくさん紹介されています。この機会に、手作りごはんに挑戦してみるのもよいかもしれません。

飲水場所を増設・変更して好みの器を見つける

病気やケガ、老犬など、歩くのが困難な子のためには、水が飲める場所を複数設け、水が飲みやすい環境を作ってあげるとよいでしょう。

水飲み場が増えると、その分飲み水の管理は大変ですが、自動給水器を利用するなどの工夫をして、すべての場所で、いつでも清潔で新しい水が飲めるようにしておく事が大切です。

犬や猫は流れる水が大好きだといわれますので、市販されている循環機能付きのペット用給水器を利用してみるのもよいかもしれません。常に水が循環していることで、犬の注意をひきやすいのではないでしょうか。

また、水を飲むための器にも気を配りましょう。同じ形や大きさのものばかりでなく、様々な種類のものを用意しておくと、犬の体格や水を飲む時の姿勢に合う器や、犬の好みの触感に合う器が分かってくると思われます。

全く同じ条件の二つの器を並べておいても、何故か、片方の器の水ばかり飲むこともありますので、どうすれば犬が一番喜ぶのかをよく観察して見極めましょう。

水の種類を変えてみる

夏の暑い時期には、用意された水が温んでしまい、犬が飲むのを嫌がる場合があります。そのような時には、氷をひとかけら入れてあげると、水の温度が下がり飲みやすくなります。

反対に、冬の寒い時期には、常温よりほんの少し温いくらいの水が好まれることもあります。水の温度だけでなく、種類も変えてみると、その中から愛犬の好みの水が見つかるかもしれません。

人間用のミネラルウオーターを犬に飲ませることに関しては、専門家の中でも賛否両論あるようですが、どうしても良い水を飲ませたいという場合には、国産の天然水(軟水)を利用するとよいでしょう。

ペットスエットゼリーを利用してみる

ペットスエットゼリーは、脱水時に使える経口ゼリーで、犬用のポカリスエットをゼリー状にしたものです。

犬の体液に近い電解質組成で、犬の健康に配慮した国産品です。犬の好きなミルク味ですので、緊急の時などに利用してみるとよいかもしれません。

まとめ

容器を掲げている犬

動物にとって、健康を維持するために水分をしっかり摂取することは、とても大切なことです。それは、犬でも変りありません。

犬が水を飲まなくなってから慌てないために、日頃からよく犬を観察し、1日に水をどれくらい飲んでいるのか、把握しておきましょう。それによって、犬の体調の異変をすばやく察知することができます。

そのうえで、愛犬が水を飲まなくなったり、飲んでいる量が少なくなったと感じた場合は、すみやかに原因を探り、前述した対処法を試してみましょう。

さらに、原因が体調不良や痛みにある場合は、できるだけはやく動物病院で診察を受ける必要があることを覚えておきましょう。

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