【獣医師監修】犬に生肉を与えても大丈夫?メリット・デメリットと安全な種類、適量・正しい与え方を解説

【獣医師監修】犬に生肉を与えても大丈夫?メリット・デメリットと安全な種類、適量・正しい与え方を解説

犬に生肉を与えても大丈夫?メリット・デメリットをはじめ、安全な種類や適量の目安、正しい与え方をわかりやすく解説。食中毒や寄生虫のリスク、家庭での衛生管理のポイントまでまとめて紹介します。

犬は生肉を食べても大丈夫?

生肉の塊を見て口元を舌で舐めている犬

結論から言うと、犬が生肉を食べられる場合はあるものの、食中毒や寄生虫、家庭内での二次感染といったリスクをゼロにはできないため、日常的に生のまま与えることは一般的にはおすすめできません。

犬はもともと肉を消化できる体のつくりで、人より胃酸が強いとされます。ただし、それは病原菌に「必ず勝てる」という意味ではありません。体調や年齢、免疫力によっては、少量でも嘔吐や下痢などの消化器症状を起こすことがあります。

また、生肉の問題は犬だけにとどまりません。調理台や食器、手指に付いた菌が広がることで、同居家族が体調を崩す可能性もあります。

特に小さな子どもや高齢者、持病がある方がいる家庭では注意が必要です。

生肉を与えるかどうか迷う場合は、まずは加熱した肉を少量から試し、体質に合うかを確認するのが安心です。すでに持病がある犬や、子犬・老犬は自己判断で進めず、事前に獣医師へ相談してください。

犬に生肉を与えるメリット

生肉入りフードを選んで食べようとしている犬

生肉を取り入れると、犬の食欲や食事の満足感にプラスに働くことがあります。

ただし、感じ方には個体差があり、体質や体調によって合わない場合もあるため、メリットだけで判断しないことが大切です。

嗜好性の向上と食いつきの改善

生肉は香りや風味が強く、犬が好みやすい傾向があります。いつもの食事に変化をつけたいときや、食いつきが落ちているときに、食欲のきっかけになることがあります。

食事による水分摂取の補助

生肉は水分を多く含むため、ドライフード中心の食生活に比べて、食事から摂れる水分量が増えやすい点が挙げられます。普段の食事の水分感を高めたい場合に、選択肢として検討されることがあります。

食材の把握がしやすい

生肉は単一の食材として扱いやすく、何を食べているかを把握しやすい点がメリットです。複数の原材料が入った食事よりも、食材の種類を整理しやすいと感じる飼い主もいます。

食感や噛みごたえによる満足感

生肉ならではの食感が刺激になり、食事の満足感につながることがあります。食べる楽しみを増やしたい場合に、食感の違いがプラスに働くケースがあります。

犬に与えてもいい生肉の種類

馬刺しが並んでいる光景

生肉を選ぶ際は、「必ず安全」と言い切れるものはありませんが、比較的取り扱いやすいとされる種類があります。

いずれも品質管理が徹底されたものを選ぶことが前提であり、体質や体調によっては合わない場合もあるため慎重に判断しましょう。

牛肉

赤身中心の牛肉は入手しやすく、犬用として流通している商品も多い種類です。脂身が多い部位は体への負担が大きくなりやすいため、選ぶ場合は脂肪分の少ない部位が向いています。

馬肉

馬肉は犬用の生肉として販売されていることが多く、比較的あっさりした肉質が特徴です。高たんぱくで脂肪分が控えめな傾向があり、体重管理を意識している犬の選択肢として挙げられることがあります。

ラム肉

ラム肉は、ほかの肉類とは異なるたんぱく質源として扱われることがあります。独特の風味があり、好みが分かれることもあるため、与える場合は少量から様子を見ることが大切です。

うさぎ肉

うさぎ肉は流通量こそ多くありませんが、犬用として取り扱われることがある肉の一つです。比較的淡白な肉質で、ほかの一般的な肉類とは異なる選択肢として検討される場合があります。

カンガルー肉

カンガルー肉も犬用食材として流通していることがあり、脂肪分が少ない傾向があります。入手先が限られるため、購入時は品質管理や保存状態を確認することが重要です。

犬に与えてもいい生肉の量

生肉が入った食器を遠くから見つめる犬

生肉を与える場合は、主食に置き換えるのではなく、あくまでトッピングとして少量から始めるのが基本です。

ここでは、脂肪分が比較的少ない牛の赤身肉を例に、初めて与える際の目安量を紹介します。体格や活動量、体質によって適量は変わるため、あくまで参考値として考えてください。

犬の体重 1回の目安量g
~3kg(超小型犬) 5~10g(小さじ1~2杯程度)
4~7kg(小型犬) 10~20g(大さじ1杯弱~1杯程度)
8~15kg(中型犬) 20~40g(大さじ2~3杯程度)
16~25kg(中~大型犬) 40~60g(ひとつかみ程度)
26kg以上(大型犬) 60g以上(体格に応じて調整)

上記はあくまで「初回~様子見段階」の量です。便の状態や食欲、体重の変化を見ながら、少しずつ調整してください。

子犬や老犬、持病のある犬は、さらに控えめな量から始め、事前に獣医師へ相談することが安心です。

犬に生肉を与える際の注意点

食器の隣で悲しげな表情をしながら伏せる犬

生肉を与える場合は、体への影響だけでなく、家庭内の衛生面や栄養バランスまで含めて考える必要があります。ここでは、特に押さえておきたいポイントを整理します。

食中毒のリスクがある

生肉にはサルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌が付着している可能性があります。感染すると、嘔吐や下痢、血便、発熱、元気消失などの症状が見られることがあります。

体力の低い子犬や老犬では重症化することもあるため、体調の変化には注意が必要です。

症状がなくても便から菌が出ることがある

犬自身に目立った症状がなくても、体内に取り込んだ菌を便中に排出する場合があります。

その結果、床やトイレ周辺を介して家族に感染が広がる可能性もあるため、排泄物の処理や周囲の清掃は丁寧に行いましょう。

家庭内で二次感染が起こることがある

生肉を扱った手や調理器具、食器から菌が広がることがあります。使用後は速やかに洗浄し、必要に応じて熱湯や消毒剤で処理したうえで、十分にすすぎ乾燥させてください。

小さな子どもや高齢者、持病のある方がいる家庭では特に慎重な管理が求められます。

骨は喉詰まり・消化管トラブルの原因に

骨付きの生肉は、喉に詰まらせたり、消化管を傷つけたりするおそれがあります。また、硬い骨を強く噛むことで歯が欠けることもあります。

骨の扱いには十分注意し、少しでも不安がある場合は避けるのが無難です。

栄養バランスが崩れるおそれがある

生肉だけに偏った食事は、カルシウムやビタミンなどが不足したり、特定の栄養素が過剰になったりする可能性があります。

持病のある犬や、成長期・高齢期の犬では特に影響を受けやすいため、長期的に続ける場合は獣医師へ相談することが安心です。

生の豚肉・鶏肉は与えない

生の豚肉や鶏肉は、寄生虫や細菌が付着している可能性があり、体調を崩す原因になることがあります。

与える場合は十分に加熱することが基本です。味付けされた肉や加工品も、塩分や香辛料が含まれるため避けましょう。

体調が不安定な日は控える

下痢や食欲不振があるとき、持病があるときなどに生肉を与えると、症状が悪化する場合があります。少しでも不安があるときは無理をせず、体調が安定してから判断することが大切です。

犬の食事に生肉を取り入れる方法

飼い主が差し出す生肉が入った食器を見上げる犬

生肉を取り入れる場合は、、いきなり主食として与えるのではなく段階を踏んで様子を見ることが大切です。体調や便の状態を確認しながら、無理のない範囲で進めましょう。

まずは、いつもの食事に少量をトッピングする形から始めます。数日間は便の硬さや回数、食欲、元気の有無を観察し、変化がないかを確認してください。

問題がなければ、頻度を増やすかどうかを検討しますが、急に量を増やすのは避けましょう。

解凍は冷蔵庫内で行い、常温で長時間放置しないようにします。解凍後はできるだけ早く使い切り、再冷凍は控えてください。使用したまな板や包丁、食器はその都度洗浄し、十分に乾燥させます。

体調が不安定な日や、ワクチン接種直後などは無理に与えず、通常の食事に戻す判断も必要です。長期的に取り入れたい場合や持病がある場合は、食事全体のバランスについて獣医師に相談すると安心です。

生のまま与えることに不安がある場合は、軽く加熱してから与える方法もあります。安全性を優先しながら、愛犬の体調に合わせて柔軟に選択してください。

まとめ

テーブル上の生肉が乗ったお皿と飼い主に抱っこされている犬

犬は生肉を食べられる場合もありますが、食中毒や寄生虫、家庭内での二次感染などのリスクをゼロにはできません。与えるなら、品質管理が明確な肉を選び、少量のトッピングから始めて便や体調の変化を確認しましょう。

解凍は冷蔵で行い、器具や食器は洗浄・消毒後に十分乾燥させるなど衛生管理も欠かせません。生の豚肉や鶏肉、味付け肉は避け、体調が不安定な日は無理をしないことが大切です。

不安がある場合は加熱を基本にし、持病がある犬は事前に獣医師へ相談してください。

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