犬はカツオを食べても大丈夫?安全な与え方や適量、アレルギーなどの注意点まで解説

犬はカツオを食べても大丈夫?安全な与え方や適量、アレルギーなどの注意点まで解説

犬にカツオを与えても大丈夫?この記事では、カツオの栄養素、安全な与え方(加熱必須・生はNG)、適量、アレルギーや骨などの注意点まで、獣医師が詳しく解説します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

犬にカツオを与えても大丈夫

差し出される食器を見つめて待っている犬

犬は基本的にカツオを食べても問題ありません。カツオは栄養価が高く、適量を守れば犬の健康維持に役立つ食材です。

ただし、安全のため「必ず加熱したもの」を「少量ずつ」与えることが大切です。また、生のカツオには寄生虫(アニサキス)やヒスタミンによる食中毒リスクがあるため、生食は避ける必要があります。

さらに、カツオには微量ながら水銀などの重金属が含まれるため、過剰摂取は控えましょう。特に持病がある犬やアレルギー体質の犬には、必ず事前にかかりつけの獣医師への相談が必要です。

カツオに含まれる栄養素と犬への影響

並べて置かれた2尾のカツオ

カツオは栄養価が高く、犬に適量を与えることで健康面でのメリットが期待できます。ここでは代表的な栄養素とその働きを詳しく解説します。各栄養素の特徴を知り、愛犬の食生活に役立てましょう。

タンパク質

カツオには筋肉や皮膚、被毛の材料となる良質なタンパク質が豊富に含まれています。タンパク質は犬の体を構成する重要な要素であり、筋力維持や皮膚トラブル予防、被毛の艶や健康維持に役立ちます。

DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)

カツオに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、犬の皮膚や被毛を健康に保つほか、関節の炎症を抑える働きがあります。

また脳や神経の機能を維持する効果も期待できます。ただし熱に弱いため、栄養素を損なわないよう短時間で調理することがポイントです。

タウリン

タウリンはカツオの血合い部分に多く含まれるアミノ酸です。犬は体内でタウリンを合成できるため必須ではありませんが、食事で補うことで心臓の機能維持や視力低下の予防に役立つとされています。

ビタミンB群

カツオに豊富に含まれるビタミンB6やB12などのビタミンB群は、犬のエネルギー代謝を助け、疲労回復や健康維持に役立ちます。また神経機能の正常な働きをサポートするため、日常的な活動力の維持にも効果的です。

犬に与えてもいいカツオの量

空の食器の前で伏せて食べ物を待っている犬

カツオは栄養価の高い食材ですが、与えすぎるとカロリー過多や栄養バランスの偏りにつながります。

あくまで「おやつ」や「トッピング」として、1日の総摂取カロリーの約10%以内に収めることが基本です。特に初めて与える場合はごく少量から始め、体調の変化がないか慎重に観察してください。

下記は加熱したカツオを与える際のおおよその目安量です。刺身1切れに相当する重量を参考にしていますが、実際に与える際は必ず加熱したものを使用してください。

犬の体重 1日の目安量 カロリー換算の目安
5kg(小型犬) 10〜15g程度 約13〜20kcal
10kg(中型犬) 20〜30g程度 約26〜39kcal
20kg(中型〜大型犬) 40〜60g程度 約52〜78kcal

子犬やシニア犬、消化機能が弱い犬には、体重1kgあたり2g以下のごく少量から試すのが安心です。また、持病がある犬や食事療法中の犬は、与える前に獣医師へ相談してください。

犬へのカツオの安全な与え方

加熱したカツオの切り身

犬にカツオを与える際には、食材の安全性を確保するための適切な調理方法と下処理が重要です。

寄生虫や食中毒のリスクを防ぐため、生(刺身・たたき)では与えず、必ず中心まで火を通してください。調理法としては、茹でる、蒸す、焼く方法が適しています。

茹でると余分な脂分や塩分が落ち、犬にとって消化しやすくなります。また、調理の際は短時間の加熱で仕上げると栄養素の損失を最小限に抑えられます。

下処理として、骨は喉や消化器官を傷つける危険があるため、大小に関わらず完全に取り除きましょう。皮についても硬く消化しにくいため、取り除くことをおすすめします。

調味料や味付けは犬にとって不要かつ有害となる場合があるため、必ず味付けなしで素材そのものを与えてください。

初めてカツオを与える場合はごく少量から始め、食後数時間は体調の変化(嘔吐や下痢、かゆみ等)がないかをよく観察しましょう。

犬にカツオを与える際の注意点

飼い主家族になでられながら診察を受ける犬

カツオは犬にとって有益な食材ですが、安全に与えるためには押さえるべき重要なポイントがあります。特に健康面でのリスクや体質に関する注意事項をよく理解し、犬の体調を慎重に観察しながら与えてください。

アレルギーを起こす可能性

犬も人間と同じように、カツオを食べてアレルギー反応を起こすことがあります。

初めて与えた後は、嘔吐、下痢、皮膚のかゆみや赤み、目の充血などが起こらないか数時間は注意深く観察してください。異常が見られた場合は、すぐに与えるのを中止し、動物病院を受診しましょう。

鮮度が悪いカツオは中毒の危険あり

カツオは鮮度が落ちるとヒスタミンという物質が生成されます。ヒスタミンは加熱しても分解されないため、中毒を防ぐには鮮度の良いものを使用することが必須です。

鮮度が低下したものは決して犬に与えないようにしましょう。

生食は寄生虫リスクがある

生のカツオには、犬に深刻な胃腸障害を起こすアニサキスなどの寄生虫が存在する可能性があります。

中心部まで十分に加熱(70℃以上)することが最も安全です。冷凍処理(-20℃で24時間以上)でも寄生虫は死滅しますが、家庭用冷凍庫は温度が十分に下がらない場合が多いため、基本的には加熱調理を推奨します。

加工品は犬に不向きな成分が多い

人間用のカツオの缶詰には塩分や油分が含まれるため、犬には与えないでください。また鰹節も塩分やミネラルが多く含まれ、特に尿石症(結石)のリスクがある犬には注意が必要です。

与える場合は犬専用に作られた無塩・無添加の製品を選びましょう。

持病のある犬は与えないほうが安全

カツオにはリンやカリウムといったミネラルが含まれるため、腎臓病や心臓病、肝臓病、高脂血症、膵炎など、特定の病気を持つ犬には健康リスクとなる可能性があります。

これらの疾患がある場合や疑われる場合は、与える前に必ず獣医師に相談してください。

まとめ

食器からフードを食べている犬

カツオは犬にとってタンパク質やDHA・EPAなど、健康維持に役立つ栄養素が豊富な食材です。ただし、寄生虫やヒスタミン中毒のリスクを避けるため、鮮度が良く必ず加熱調理したものを与えましょう。

また、水銀など重金属の蓄積を避けるため、頻繁に与えすぎないことも大切です。骨や皮は消化不良や怪我の原因となるため必ず取り除き、味付けはせずに与えます。

アレルギーの可能性や持病のある犬では、事前に獣医師への相談が必要です。与える量は1日の摂取カロリーの10%以下を目安とし、愛犬の体調を観察しながら安全に取り入れてください。

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