【獣医師監修】犬はクランベリーを食べても大丈夫?副作用は無い?栄養素と効果、与え方などの注意点まで徹底解説

【獣医師監修】犬はクランベリーを食べても大丈夫?副作用は無い?栄養素と効果、与え方などの注意点まで徹底解説

「犬はクランベリーを食べても大丈夫?」そんな疑問に答えます。クランベリーの栄養や与えるメリット、注意点、体重別の目安量まで詳しく解説。与えていい量や加工品の危険性を知って、愛犬の健康を守りましょう。

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記事の監修

大阪府立大学生命環境科学部獣医学科卒業。その後、約10年に渡り臨床獣医師として動物病院に勤務。予防医療、行動学、老犬の介護問題に興味を持っています。正しい知識と情報を多くの方に伝えたいという思いからWEBライターとして動物関係の記事を執筆しています。

犬はクランベリーを食べても大丈夫?

空の食器の前で食べ物を待っている犬

結論から言えば、犬はクランベリーを適量であれば食べても大丈夫です。

クランベリーは犬にとって毒性のない果物で、正しい与え方と量を守れば健康を支える成分を取り入れられます。少量をおやつやトッピングとして与える程度なら問題ありません。

ただし、すべての犬に安全とは限りません。シュウ酸カルシウム尿石症や腎疾患のある犬、療法食を食べている犬は、クランベリーの成分が尿のpHに影響する可能性があるため、必ず獣医師に相談してから与えましょう。

人間用の加工品(ジュース、砂糖漬け、キシリトール入り製品、レーズン入りミックスなど)は、糖分や油分、人工甘味料が多く含まれ、消化不良や中毒の原因になります。犬には無糖・無添加の生または加熱したクランベリーのみを与えてください。

初めて与えるときはごく少量から始め、嘔吐や下痢、かゆみなどの異常がないか24〜48時間観察します。体調に変化があればすぐに中止し、動物病院を受診しましょう。

クランベリーに含まれる栄養素

木製の器に盛られたクランベリー

クランベリーには、犬の健康維持に役立つ栄養素がバランスよく含まれています。

代表的なのは、強い抗酸化作用を持つポリフェノールの一種「プロアントシアニジン」。これは、細胞の酸化ダメージを防ぐことで体の老化や病気のリスクを抑える働きが期待される成分です。

そのほかにも、免疫力を支えるビタミンCや皮膚・被毛の健康に関わるビタミンE、尿路の健康をサポートするキナ酸(キニック酸)、腸内環境を整える食物繊維などが含まれています。

これらの成分が複合的に作用することで、クランベリーは犬の健康を穏やかに支えてくれる果物といえるでしょう。

犬がクランベリーを食べるメリット

人になでられて幸せそうな表情をしている犬

クランベリーを適量与えることで、いくつかの健康的なメリットが期待できます。ここで紹介する効果は、あくまで補助的なものですが、日常のケアに上手く取り入れれば、愛犬の健康維持に役立つ可能性があります。

尿路の健康維持を補助する

クランベリーに含まれるプロアントシアニジンは、尿路感染症(UTI)の原因菌が膀胱壁に付着するのを防ぐ働きがあるとヒトで報告されています。

犬においても同様の作用が期待されており、尿路や膀胱の健康維持をやさしくサポートする果物として注目されています。

歯垢付着を抑え、口臭ケアを補助する

クランベリーの成分には、歯垢の原因となる細菌が歯の表面に付着するのを抑える働きがあるとされています。そのため、口臭や歯周病の予防にも役立つ可能性があります。

もちろん、歯みがきやデンタルケアが基本ですが、食事からのアプローチとしてクランベリーを少し取り入れるのも良いでしょう。

抗酸化作用でエイジングケアを補助する

ビタミンC・E、プロアントシアニジンといった抗酸化成分は、体内で発生する活性酸素を除去し、細胞の酸化を防ぐ役割があります。これにより、老化の進行をゆるやかにし、若々しい健康状態を維持する手助けとなります。

高齢期を迎える犬にとって、クランベリーは自然なエイジングケア食材のひとつといえるでしょう。

犬に与えてもよいクランベリーの量

人の手から食べ物をもらっている犬

「体によさそうだから、たくさんあげたほうがいいのでは?」と思うかもしれませんが、それは禁物です。どんな健康食材でも、与えすぎは逆効果になることがあります。

犬にクランベリーを与える際は、体重に合わせた適量を守ることが大切です。以下は健康な成犬を想定した上限の目安です。

体重別:生のクランベリーの上限目安(健康な成犬向け/週1〜2回)
犬の体重目安 1日の摂取量の上限目安(生の場合) 代表的な犬種例
超小型犬(〜5kg) 1〜2粒 チワワ、トイ・プードル
小型犬(5〜10kg) 2〜3粒 シーズー、ミニチュア・ダックスフンド
中型犬(10〜25kg) 4〜5粒 ウェルシュ・コーギー、ボーダー・コリー
大型犬(25kg〜) 6〜7粒 ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー

初めて与える際は、生の果実を1粒の半分程度から始めてください。子犬やシニア犬は消化が未熟なため、さらに少量にしましょう。与えるのは週1〜2回、あくまでおやつやトッピングとしてが基本です。

※目安は生のクランベリー1粒=約1.5g(約0.7kcal)を想定。おやつは1日の総摂取カロリーの10%以内に収めましょう。

犬にクランベリーを与える際の注意点

体調が悪そうな様子で診察台の上に伏せる犬

健康によい食材とはいえ、与え方を誤ると体調を崩すことがあります。ここでは、クランベリーを安全に与えるために知っておくべきポイントを整理しました。

加工品は与えない(中毒リスクあり)

人間用に販売されているクランベリー製品には、砂糖や油、人工甘味料(特にキシリトール)などが加えられていることが多く、犬にとっては危険です。中にはレーズンやアルコールを含む製品もあり、少量でも中毒を起こすことがあります。

「人間が食べられる=犬にも安全」とは限りません。クランベリーは必ず無糖・無添加の生または加熱したものだけを選びましょう。

与えすぎは下痢・嘔吐の原因になる

クランベリーは酸味が強く、食物繊維も多く含まれます。与えすぎると胃腸が刺激され、下痢や嘔吐、食欲不振などの症状が出ることがあります。

特に胃腸が弱い犬は注意が必要です。与えるときは必ず少量から始め、体調を見ながら調整してください。

尿路結石のある犬には与えない

クランベリーにはシュウ酸が含まれています。この成分は尿中のカルシウムと結合し、シュウ酸カルシウム結石を悪化させるおそれがあります。

ミニチュア・シュナウザーやヨークシャー・テリアなど、結石ができやすいとされる犬種は特に注意が必要です。体質や既往歴に関わらず、与える前に必ず獣医師に相談しましょう。

初めて与えるときは少量から初めて観察する

初めてクランベリーを与えたときは、皮膚のかゆみ・赤み、顔のむくみ、下痢や嘔吐などの症状がないか慎重に観察しましょう。

これらはアレルギーや消化不良のサインである場合があります。万が一異常が見られたら、すぐに与えるのを中止し、動物病院を受診してください。

まとめ

クランベリーが入ったかごのそばで伏せている子犬

クランベリーは、プロアントシアニジンやビタミンC・E、キナ酸(キニック酸)、食物繊維など、犬の健康をサポートする栄養素を豊富に含む果物です。適量を守れば、尿路ケアや口腔ケア、抗酸化作用によるエイジングケアの補助として役立つでしょう。

ただし、シュウ酸カルシウム尿石の既往や腎疾患がある犬には与えず、持病のある場合は必ず獣医師に確認してください。

人間用の加工品は避け、生の果実を少しずつ試すのがポイントです。

上手に取り入れれば、クランベリーは愛犬の健康をやさしく支えてくれる、頼もしい自然食材になるでしょう。

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