犬はオートミールを食べても大丈夫!
オートミールは犬にとって非常に栄養価の高い食べ物です。
オートミールとは、えん麦(オーツ)を脱穀して食べやすくしたシリアル状の食べ物です。欧米では朝食としてメジャーな食べ物で、お粥のように煮込んだり、コーンフレークのように牛乳をかけたりして食べられています。
えん麦は非常に栄養価が高い食べ物として知られており、発芽玄米と比べて、ミネラルは3倍以上、ビタミンは2倍以上含んでいます。もちろん、犬にとっても栄養満点です。ただし、オートミールを犬に与える際には注意すべき点もあります。
犬に与えても良いオートミールの量
犬に与えてもよいオートミールの量の目安は、体重1㎏につき10g程度といわれています。しかし、愛犬の体質によるところが多く、一概にはいえません。与えるときは愛犬の体調を見ながら少しずつ量を増やしましょう。
犬がオートミールを食べても良い頻度
オートミールを与える頻度は1週間に2,3回程度にしましょう。これも愛犬の反応や体調変化を見ながら調整してください。
オートミールにはタンパク質も豊富に含まれますが、犬はあくまで雑食寄りの肉食。メインの食材として与えるのはおすすめできません。おやつや栄養補助食として少しずつ与え、愛犬にあった量を見定めるようにしましょう。
犬にオートミールを与える方法
オートミールは、愛犬のご飯に混ぜて与えても、おやつとして与えてもいいでしょう。
人間は生でも美味しく食べますが、胃腸の弱い犬は消化しにくいでしょう。加熱したり何かに混ぜて与えると、胃腸に負担がかかりません。
たとえば、以下のようなレシピがあります。
- ヨーグルトやバナナなどと混ぜて与える
- 野菜と煮込んで与える
- 小麦粉や米粉と混ぜてクッキーのように焼いて与える
愛犬が喜ぶ方法で与えてあげましょう。
犬にオートミールを与えるメリット
愛犬にオートミールを与えるメリットは、えん麦に含まれる高い栄養価を摂取できることでしょう。食物繊維やビタミン・カルシウム、鉄分や亜鉛が豊富に含まれたオートミールは、人にとっても犬にとっても魅力的な食べ物です。
以下で、愛犬がオートミールから得られる栄養効果について解説します。
食物繊維が豊富である
食物繊維には下記のように犬にとってたくさんの栄養効果が期待できます。
- 整腸作用
- 血糖値の上昇を抑える効果
- 血中コレステロール濃度を低下させる
食物繊維は消化酵素では消化されず、大腸で腸内細菌によって発酵・分解されます。その後大腸に吸収されて腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を助けてくれるため、便秘解消に効果的です。
また、食事と一緒にオートミールを食べると、水溶性食物繊維が消化吸収を穏やかに、食後の血糖値や中性脂肪の上昇を抑える効果も期待できます。
このような効果から、以下のような症状や傾向のある犬には積極的に与えるといいでしょう。
- お腹が弱い犬
- 太り気味でダイエットが必要な犬
- 糖尿病やその予備軍の犬
カルシウムが豊富である
カルシウムは、オートミール100gあたり47mg含まれています。カルシウムは体にとって非常に重要な栄養素で、以下のようにさまざまな役割を果たしています。
- 骨や歯を構成する
- 細胞分裂を助け、細胞の構成成分となる
- 筋肉の収縮を助ける
- 酵素やホルモンを生成する
- 尿結石を引き起こすシュウ酸を減らすのに役に立つ
- 神経伝達物質として情報伝達を助ける
カルシウムはまた体内で吸収されにくい物質で、腸管からの吸収効率は約50%です。かといってたくさん摂ればいいというわけでもありません。血中カルシウム濃度が過剰になると、脱水症状や倦怠感(けんたいかん)などの全身症状がみられる可能性があります。
カルシウムは以下のような犬に特に必要な栄養素です。
- 成長期の犬
- 高齢期の犬
- 慢性腎臓病の犬
カルシウムは欠乏にも過剰にも注意が必要な栄養素です。特に持病のある犬は動物病院と相談しながら摂るようにしましょう。
鉄分が豊富である
鉄はタンパク質と結びついてヘモグロビンとなり、肺で酵素と結びついて全身に巡ります。鉄分が不足すると赤血球の酸素運搬能力が低下し、重度になると貧血を引き起こしてしまいます。
特に高齢で免疫力の弱った犬には積極的に与えたい栄養素です。ここまででオートミールの栄養価の高さを知り、すぐにでも愛犬に与えたいと思ったでしょうか。しかし、もちろんメリットばかりではありません。
次の章では、オートミールを与えるデメリットについて解説します。
犬にオートミールを与えるデメリット
犬にオートミールを与えるデメリットには、飼い主サイドと犬サイド、両方にとってのデメリットがあります。
- 飼い主の手間がかかる
- カロリーが高くて犬が太りやすくなる
- 消化に負担がかかる
- 老犬にとって注意が必要な栄養素が含まれる
飼い主側の手間など気にしない、という方も多いでしょう。しかし、オートミールを日常的に与え続けることは、犬にもよいことばかりではありません。オートミールを犬に与えるデメリットを以下で詳しく確認してみましょう。
手間がかかる
飼い主側のデメリットとして、与えるのに手間がかかることがあげられます。オートミールは消化をよくするために煮て柔らかくしたり、ヨーグルトやバナナに混ぜて与えたりしなければなりません。胃腸の弱い犬の場合、与え方によっては消化に負担がかかり、下痢を引き起こすことがあります。
カロリーが高い
オートミールのカロリーは、100グラムあたり350キロカロリーです。これは体重4~5㎏の小型犬の1日の摂取カロリーに匹敵します。当然与えすぎると太る可能性があります。ダイエット中の犬は積極的に摂ることを控えた方がいいでしょう。
リンが多い
リンは腎臓に負担をかけるため、老犬や腎臓病を患う犬に与えるには注意が必要です。
リンは過剰摂取になると、腎臓から余計な量が排泄されます。しかし、加齢や病気により腎臓機能が低下すると、リンが体内に蓄積されてしまうからです。リンが蓄積されると骨の代謝異常や血管の石灰化を引き起こす「高リン血症」になりやすくなります。
ただし、オートミール100グラムに含まれるリンは370ミリグラムです。健康な犬にとっては気にするほどの量ではありません。
犬にオートミールを与えるときの注意
以上のように、オートミールを与えることは飼い主や犬にとってデメリットもあります。しかし、それを上回るだけの栄養効果が期待できるため、注意しながら与えてあげたいでしょう。
いくつかの注意点を守れば、オートミールは愛犬にとって非常によいおやつやご飯のお供となるでしょう。犬にオートミールを与えるときの注意点は以下のとおりです。
与えすぎない
オートミールを与えすぎると、太るだけでなく下痢になったり体調を崩したりします。また、あなたの愛犬がオートミールに含まれる材料にアレルギーをもっている場合もあります。オートミールを与える際には日を空けて、犬の体調に注意しながら少しずつ与えましょう。
インスタントオーツは与えない
「インスタントオーツ」は、犬に与えるべきではありません。インスタントオーツは、オールドオーツを加工したオートミールで、既に砂糖や塩で味付けされているものがあるからです。
人間にとってほどよく加工されたインスタントオーツは調理も簡単で食べやすいため人気があります。しかし、犬にとっては糖分・塩分の過剰摂取となるため与えるべきではありません。
煮込んで柔らかくする
オートミールは乾燥した穀類なので、そのままでは犬の消化器官に負担がかかります。生のままだと消化不良を起こし、下痢になることもあるでしょう。
まずはクオークオーツよりも柔らかくなりやすいクイックオーツから始めるのがおすすめです。柔らかく煮込んだりヨーグルトやバナナなどに浸して柔らかくしてから与えるなど、愛犬が食べやすいように手を加えてあげましょう。
無添加のオートミールを選ぶ
オートミールは、味や匂い付けのために添加物が混入されていない、プレーンなものを選びましょう。オートミールの中には砂糖やフレーバー付きのものもありますが、これは犬の体にはよくありません。中には干しぶどうなど、犬が食べてはいけないものが含まれている場合もあります。
人間用に加工されたものは与えない
人間用に加工されたオートミールには味付けがされているものがあるため、犬に与えるのはやめましょう。市販のオートミールクッキーや蒸しパンは人が食べやすいよう砂糖などでしっかり味付けがされています。
クッキーや蒸しパンで与えたいのなら、犬用にアレンジされたレシピを見ながら手作りで与えてあげましょう。
まとめ
オートミールは犬にとって栄養満点の食べ物です。栄養効果には以下のものがあります。
- 食物繊維が便秘解消し、血糖値や血中コレステロール値を下げる
- 鉄分は貧血を予防する
- カルシウムが骨や歯を丈夫にする
その他豊富なビタミン類・ミネラル類が、愛犬を健康に導いてくれるでしょう。与えるときは野菜と一緒に煮込んだり、バナナやヨーグルトに混ぜて柔らかくすると食べやすくなります。
ただし、始めからたくさんの量を与えたり、人間用に加工されたものを与えたりすると、消化不良を起こすなど体調に異変をきたしてしまう可能性があります。体調を見ながら少しずつ増やし、愛犬に適した量を見極めましょう。
飼い主も一緒に食べられるのもオートミールの魅力です。一緒に食べて、愛犬とともに健康的な体を目指しましょう。