犬にぶどうを絶対に食べさせてはいけない!
犬が食べてはいけないものとして、玉ねぎやチョコレートに並んでよく目にする「ぶどう」。ぶどうは犬にとって中毒症状を引き起こすこともある、危険な食べ物です。
最悪の場合死に至る可能性もあるため、絶対にぶどうは犬に与えないようにしてください。
実はぶどうがなぜ中毒症状を引き起こすのかは、まだはっきりと解明されていません。そのため、犬がぶどうを食べても大丈夫という内容を目にすることもあります。
しかし、実際に中毒症状が報告されていることから、決して食べさせないようにしてくださいね。
ぶどうは犬が食べてはいけない危険な果物の1つ
甘くて美味しい果物。大好きなわんちゃんも多いですよね!
果物にはビタミンなど犬の体にも良い成分が含まれており、食べられるものも多いですが、中にはぶどうやマスカットのように中毒を引き起こす可能性がある危険なものもあります。
犬がぶどうを食べて中毒を起こすと、下痢や嘔吐、急性腎不全を発症する場合があります。急性腎不全が悪化すると、最悪の場合、命を落とすこともあるほど危険です。
誤食や飼い主さんが見ていない間に食べてしまうことがないように、絶対に気を付けてください。
果物が好きなわんちゃんには、ぶどう以外の食べられる果物を食べさせてあげてくださいね。ただし、糖度が高く肥満につながる恐れもあるため、ほどほどに!
「犬にぶどうは大丈夫」はデマ
今のところ、ぶどうの何が犬の体に中毒症状を引き起こすのか、はっきりとした理由は分かっていませんが、農薬、カビ、ビタミンD類似物質などが原因として疑われています。
明確な理由が確立されていないことから「犬にぶどうは大丈夫」という意見もあるようですが、実際に国内外で死亡例が報告されていることから、安易に犬にぶどうは大丈夫だと思わない方が良いでしょう。
2001年にアメリカの研究者たちがブドウ中毒の報告をしたことから「犬にとってぶどうは危険」と認識されてはじめました。
日本でも2010年に『ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1例』が日本小動物獣医学誌に記載されるなど、犬にぶどうはNGと広がり始めました。
意外にも、分かり始めてまだそれほど月日が経っていないんですね。確かに、昔は「犬にぶどうはダメ」なんて聞かなかったような気がします。
科学や研究の技術が進歩することで、食べても大丈夫だと思っていたものが、犬にとって害を及ぼす可能性があるものに変わることもあります。
そんなのデマだ、と思わずに愛犬のために飼い主の私たちも知識をアップデートしていきたいですね。
犬がぶどうを食べてしまった時に出る症状
ぶどう中毒の原因が分かっていないのと同じように、どのくらい食べたら症状が出るのか、どんな犬に症状が出るのかも分かっていません。
同じ量を食べても症状が出る犬もいれば、無症状の犬もいます。少量食べただけでも、症状が出る可能性があるため、少量であっても犬にぶどうを食べさせることはやめましょう。
また、飼い主さんが食べ残したぶどうの皮だけを食べてしまった場合でも中毒症状が出る可能性があります。ぶどうを食べ終わって皮をそのままにしておいたり、犬が誤食できる可能性のある場所に捨てたりしないように気を付けてください。
症状が出る場合は、ぶどうを食べてから6~12時間以内に次のような症状が現れます。
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲がない
- 元気がなく、ぐったりしている
- 呼吸が荒くなる
- 震え
- 水をたくさん飲む
- 多尿、もしくは排尿がない
- 腎臓の痛みで背中を丸めてじっとしている
ぶどう中毒の症状が出た場合、多くの場合で嘔吐の症状が見られます。その他、下痢や元気がなくなる、水をたくさん飲む、尿がたくさん出る、といった初期症状が現れます。
また、中には体が痒くなったり、湿疹ができるなどのアレルギー症状を起こす犬もいるようです。
症状が重くなると、腎臓が障害を受け、血尿や尿が出なくなり体内の毒素を外に排出できなくなってしまいます。体内に有害物質が溜まり、最悪の場合死に至る可能性もあります。
犬にぶどうを与えてはいけませんが、肝臓や腎臓に疾患があったり、機能が弱っていたりするわんちゃんは特に中毒症状が出やすいため、絶対口にしないよう気を付けましょう
犬がぶどうを食べたときの致死量
致死量についても、はっきりとした量は解明されていません。中毒症状が現れた量として体重1kgあたり、生のぶどうは3g以上。レーズンでは2.8g以上で症状が現れたとの報告があります。
巨峰1粒が約10~20g、レーズン1粒は約0. 6gほどです。体重3kgのわんちゃんだと、巨峰なら1粒、レーズンなら5粒食べると中毒症状が出る可能性があるということですね。
ぶどう中毒からの死亡例もあることから、一粒食べただけでも危険な状態に陥る可能性があると考えておいた方が良いでしょう。また、100%のぶどうジュースを舐めた犬がぶどう中毒を起こした例もあるため、ぶどうの加工品についても注意が必要です。
急性腎不全を発症した場合、以下の症例のように数時間から数日という短期間で症状が悪化していきます。
3歳、オス、体重2.5kgのマルチーズが,種なし小ぶどう約 70gを食べたところ5時間後から嘔吐と乏尿の症状が見られ、2日後に来院したものの、急性腎不全の疑いで4日後には死亡した。
どのくらいの量を食べたら症状が出るのか分からないため、例え食べた量が少しであったとしても、ぶどうやレーズンを食べてしまった場合は、すぐにかかりつけの獣医に相談や診察してもらうようにしましょう。
犬がぶどうを食べた時の対処法
愛犬がぶどうを食べてしまったら、すぐに動物病院に連絡、または受診するようにしてください。
「特に変わったこともなく、平気そうだからそのまま様子を見ようかな…」と思っていると急に症状が悪化することもあります。
食べた量が多い場合は、すぐに動物病院を受診してください。少量であっても、できるだけ早く動物病院に連絡して獣医の指示を受けましょう。
犬がぶどうを食べた場合、私たち飼い主にできる応急処置はないため、病院で処置をしてもらうことになります。しかし、病院に行くまでに次のことをしておくと、治療の役に立つかもしれません。
嘔吐の量や回数を記録する
すでに中毒症状が出ている場合は、「いつから、どれくらいの量を嘔吐しているのか、病院に来るまでに何回吐いたのか」など、今の状況をメモしておきましょう。
嘔吐・下痢の症状がある場合はペットシーツなどに包んで病院へ持っていくと診察に役立つでしょう。
症状がまだ出ていない場合でも、「いつ、何を(巨峰の実、皮、レーズン…)、どれくらい食べたのか、今の様子はどうか」をメモして、診察の際に伝えるようにしましょう。
特に中毒症状が出ている場合は、私たち飼い主もパニック状態になってしまうかもしれません。正確に情報を伝えるためにも、メモをして受診するようにすると良いでしょう。
無理に吐かせず動物病院で処置を受ける
インターネットで「犬 誤食 吐かせる」などと検索すると、塩やオキシドールを飲ませて吐かせる方法が出てきますが、食塩中毒になったり、愛犬の体に大きな負担がかかったりしてしまうため、決して自分で吐かせることはしないでください。
ぶどう中毒の原因は分かっていないため、解毒薬も存在しません。病院では、催吐剤を用いてぶどうを吐かせる処置や胃洗浄、毒素吸着剤の投与など、対症療法を行います。
中毒症状の状態によっては点滴、血液検査などを行うこともあります。検査の結果、腎臓に問題があった場合は入院して治療をする場合もあります。
治療が遅くなると、手遅れになる可能性もあります。かかりつけの動物病院が休日や夜間に休診している場合は、もしもの時に備えてその時間でも診察してくれる動物病院を見つけておくと良いかもしれません。
犬がぶどうを口にしないようにすることが一番の対処法です。
最近では「ぶどうは犬とって危険」と知っている飼い主さんも多いため、ぶどうを犬にあげる方は少なくなっているかもしれませんが、コロンとした小さな粒は犬が誤飲しやすい食べ物です。犬の手に届く場所に置かないようにしましょう。
犬にぶどうの仲間や加工品も与えてはいけない!
ぶどうの仲間であるマスカットやぶどうを使ったパン、ぶどう果汁の入っているお菓子など、種類に関わらず原材料にぶどうを使用している食べ物は全て中毒症状を引き起こす可能性があるためNGです。
次のようなものは愛犬が口にしないように、気を付けてください。
- マスカット
- レーズン(干しブドウ)
- ぶどうの皮
- ぶどうジュース
- レーズンパン
- ぶどうアイス、ぶどうゼリーなどのお菓子
- ワイン
どんな種類のぶどうが特に危険なのかも、はっきりと分かっていません。皮ありぶどう、皮なしぶどう、マスカット、レーズン(干しブドウ)など、どんな種類であってもぶどうの仲間は「犬には危険」と思ってください。
加工品の中でも、濃縮還元のぶどうジュースはぶどうのエキスが凝縮されているため、ぶどうそのものよりも危険だといわれています。また、ワインはぶどうの他にアルコールも含まれているため犬には絶対にあげないでください。
飼い主さんが食べた後の、ぶどうの皮や種にも注意が必要です。犬の手に届く場所に置きっぱなしにしておくと、甘い匂いにつられて犬がうっかり食べてしまう可能性もあります。
ぶどうを食べた後は、すぐに片付けるようにしましょう。ごみ箱の中に捨てた皮や種も犬が食べないように気を付けてくださいね。
また、犬が低血糖になった際に投与するブドウ糖はぶどうから発見されたためブドウ糖と呼ばれていますが、犬の血液中にも含まれています。
子犬の時に餌を食べなかったり、食べる量が少なかったりするとエネルギー源であるブドウ糖(グルコース)が足りなくなり、血糖値が正常な状態より低くなってしまう低血糖症を起こすことがあります。低血糖になると、ぐったりしたり、痙攣をしたり、最悪の場合死に至ることもあります。
その際に、血糖値を上げる応急処置としてブドウ糖を経口投与や注射で投与します。ですから、ブドウ糖はぶどうと名の付くものでも危険なものではありませんので、安心してください。
まとめ
今のところ、ぶどうの何が犬にとって危険な成分なのか分かっていません。しかし、実際に中毒症状が出ている犬が多くいることは事実です。
「うちの子は食べても大丈夫だったから…」と思っても、次に食べてしまったときには急に症状が出ることもあります。犬が食べても大丈夫なフルーツは他にもたくさんあります。
あえて危険といわれている、ぶどうをあげる必要はないですよね。愛犬の健康のためにも、ぶどうを与えることは避けましょう。
また、お子さんがいる家庭ではぶどう味のグミやアイスを食べる機会が多いかもしれません。ついうっかり床に落としてしまったときに、愛犬がパクリと食べてしまった!ということがないように気を付けてあげてください。
甘くて美味しいぶどうですが、犬にとっては危険な食べ物です。愛犬の手に届かないように気を付けながら召し上がってくださいね。