犬がホワイトチョコを食べても大丈夫?
犬にとってチョコレートが危険な食べ物であることは、ご存知の飼い主さんは多いと思います。
チョコレートという食べ物の中で、ホワイトチョコは犬にとって危険な食べ物なのか?と疑問に思ったことはありませんか?
チョコレートといっても、ホワイトチョコは普通のチョコレートとは原料が違います。ホワイトチョコには、犬に危険な中毒症状を引き起こすような成分は含まれていませんが、それ以外の健康被害を引き起こす可能性がある食品です。
今回は、犬がホワイトチョコを食べることの危険性や、摂取量などについてお伝えしていきたいと思います。
チョコレート中毒のリスクは低い
ホワイトチョコという名前がついていますが、チョコレートとは成分が違うというのはどういうことでしょうか?
チョコレートの主原料はカカオマスです。一方、ホワイトチョコはカカオバターから作られます。
一般的にチョコレートは、カカオ豆を焙煎し、粉砕して固めたものです。カカオバターは、カカオカリーの液体部分からカカオマスを抜いたのがカカオバターです。
カカオマスはチョコレート特有の苦みのある成分で、ホワイトチョコはそのカカオマスを取り除き、ココアバターに砂糖と粉乳を加えたものなんですね。
ホワイトチョコにはカカオマスがほとんど含まれていないため、万が一犬が食べても中毒を起こす可能性が低いのです。
体質や持病によって体調不良になるリスクがある
ホワイトチョコレートには、犬が中毒症状を引き起こす成分は入っていませんが、脂肪分や糖分が多量に含まれているため、体質によっては下痢や病気を引き起こすリスクが伴います。
ホワイトチョコは高脂肪なので、過去に膵炎を起こした犬や慢性膵炎の犬では、再発や体調の急変が起こる可能性もあります。また、糖分も多いため、糖尿病の犬の血糖値を管理している場合、一時的に血糖値が上がることで、病状が悪化する可能性があります。
なお、健康な犬でも体質によっては危険な場合がありますので、ホワイトチョコを誤って食べてしまった場合は注意が必要です。
ホワイトチョコにはカフェインが含まれていない
カカオマスには、犬に中毒を起こす可能性のあるテオブロミンやカフェインも含まれていないため、それらの影響はほとんどないでしょう。
ただし、これらの成分が全く含まれていないわけではないので、食べる量や個々の反応に注意が必要です。
ポリフェノールの効果も期待できない
チョコレートに期待できる効果のひとつに、ポリフェノールによるがん予防がありますが、ホワイトチョコにはポリフェノールがほとんど含まれていないため、健康効果は期待できません。
高カロリーなので肥満になる可能性がある
ホワイトチョコの原材料は、油脂成分であるココアバターと砂糖、粉乳とシンプルですが、油分を多く含むため、非常に高カロリーな食品と言えます。
犬にとって中毒を起こしにくい食品ではありますが、カロリーが高いので積極的に与えない方が良いでしょう。
犬にとって危険なホワイトチョコの摂取量
犬の中毒の原因のひとつであるテオブロミンがホワイトチョコに含まれていないといっても、全く含まれていないわけではありません。ホワイトチョコレートにどのくらい含まれているのか調べてみました。
3種類のココア製品で比較すると、以下の順でテオブロミン含有量が少なくなっています。
ダークチョコレート>ミルクチョコレート>ホワイトチョコレート
犬がチョコレート中毒を引き起こす量の目安
カカオ製品ごとに中毒を起こす可能性のある摂取量を算出しました。製品ごとにテオブロミンの含有量が異なるため、「何g食べると中毒になる」ということは断言できません。あくまでも目安としてご覧ください。
危険なテオブロミンの量は、体重1kgに対して約100mgです。(個体差や体調によってはもっと少ない量でも危険です)
〈ダークチョコレートの場合〉
5kgの犬であれば、約20gで中毒症状がでる危険性があります。(例:100gあたり500mgのテオブロミンが含有されているチョコレート)
〈ミルクチョコレートの場合〉
5kgの犬であれば、約100gで中毒症状がでる危険性があります。(例:100gあたり4mgのテオブロミンが含有されているチョコレート)
〈ホワイトチョコレートの場合〉
5kgの犬であれば、約12500gで中毒症状がでる危険性があります。(例:100gあたり4mgのテオブロミンが含有されているチョコレート)
単純に計算すると上記のような結果になりますが、この結果から、ホワイトチョコで中毒を起こす可能性がいかに低いかがおわかりいただけたかと思います。
常識的に考えて12500gもホワイトチョコレートを食べるとは考えにくいですよね。逆にダークチョコレートは少量で中毒の危険があります。
常識的に考えて、12500gのホワイトチョコレートを食べることは考えにくいですよね。逆にダークチョコレートは少量でも中毒の危険があります。
少量でも急性膵炎や消化不良を起こすことがある
中毒症状が出ないからと言って、ホワイトチョコを大量に食べても大丈夫というわけではありません。犬がホワイトチョコを食べてしまったら、急性膵炎の症状に注意する必要があります。
急性膵炎は、高脂質な食品を摂取した場合にも起こると言われています。起こる症状の量には個人差があり、少量でも消化不良を起こし、膵炎の症状が出ることがあります。
飼い主さんのホワイトチョコを犬が誤って食べてしまうなどの事故が起きないよう、管理することが大切です。
犬がホワイトチョコを食べた時の致死量
前述のチョコレートを摂取して中毒を起こす場合と同様、致死量は個体差があり、一概には言えません。
しかし、急性膵炎は激しい腹痛を伴い、重症化すると複数の機能障害を引き起こし、命にかかわることもあります。その点では、少量でも致死量になる可能性があります。
犬がホワイトチョコを食べた時の注意すべき症状
これまでの摂取量や致死量の項目でも述べたように、犬がホワイトチョコを食べた場合に体調を崩す可能性がある量は、その犬によって異なります。
中毒以外の症状が出ることもありますので、誤ってホワイトチョコを食べてしまった場合は、注意深く観察する必要があります。
主な症状は以下の通りです。
- 下痢
- 嘔吐
- よだれ
- 激しい腹痛(背中を丸めているなど)
- 食欲がない
- 元気がない
- 黄疸
- 発熱
その他にも気になる症状があれば、すぐに動物病院へ連絡をしましょう。また、チョコレートを誤食した際に注意が必要なことは他にもあります。
- 包装用アルミホイルを一緒に飲み込んだ
- ホワイトチョコにナッツやドライフルーツが含まれていた
- 外箱をかじって一緒に食べた
ホワイトチョコそのものに問題が起きなくても、一緒に食べてしまった包装関係の物で腸閉塞を起こしてしまったり、含まれる食品でアレルギーや中毒を起こしたりする可能性もありますので、食品の管理は徹底して行いましょう。
犬がホワイトチョコを食べた時の対処法
犬が誤ってホワイトチョコを食べてしまった場合の対処法ですが、犬の状態をよく観察して対応しましょう。
チョコレート中毒の症状は24時間以内に出ると言われていますが、ホワイトチョコの場合は中毒の可能性は低いものの、その他の体調不良の症状がすぐに出るとは限りません。
下痢や嘔吐がひどい場合はすぐに診察を受ける
犬が消化不良や急性膵炎になった場合、下痢や嘔吐を繰り返すことがあります。続くようであれば、必ず病院に相談しましょう。
食べたものを無理やり吐かせるのは危険
塩水やオキシドールなどを与えて、犬が食べたものを無理やり吐かせることは大変危険です。
動物病院では、誤飲直後であれば、経験豊富な獣医師が犬の全身状態をよく観察して判断することで、安全に処置することができます。飼い主さんが自宅で犬を吐かせる行為は、ホワイトチョコを誤って食べてしまうことよりも危険です。
便に異常がないかを確認する
誤飲後1週間は犬の便をよく観察し、血液や便に変化がないかどうかを確認します。異変を感じたら、便のサンプルを病院へ持っていくことをおすすめします。
犬が膵炎になった場合、血便が出る可能性があります。また、他の原因でたまたま血便が出ることもあり、原因究明のために便の検査が必要になりますので、便を採取して病院へ持参してください。
いつ、どのぐらい食べたかをメモする
犬がホワイトチョコをいつ、どのくらいを食べたのか、またいつもと変わったことがあればそれも時間の経過と症状などをしっかりメモに残しておきましょう。
もし獣医師に相談した際に、そのメモがあればスムーズに診察が受けられます。
まとめ
- ホワイトチョコレートは中毒を起こす可能性は低い
- 中毒以外の消化不良や急性膵炎に注意する
- 誤飲した場合、包装に使用されているアルミホイルに注意する
- 誤飲した場合、しばらくは経過観察が必要
(症状がある場合は、直ちに医師の診察を受けること)
いかがでしたでしょうか。ホワイトチョコもチョコレート全般と同様に、犬にとって危険なものだということがお分かりいただけたかと思います。
最近では、ドライフルーツなどが大量に入ったホワイトチョコも人気です。チョコに入っている食品も犬にとって体調不良を引き起こす食品かもしれません。
これらの食品を食べてもメリットがないことに加え、健康被害のリスクを考えると、犬が誤って食べてしまわないように十分注意する必要があります。
犬は飼い主さんのバッグなどにイタズラするのが大好きですよね。カバンの中に入れていたホワイトチョコを食べられた! ということがないように、十分注意しましょう。