犬に大豆を与えても大丈夫!
大豆はそのまま食べるだけでなく、豆腐や納豆、豆乳などの原材料でもあるので日本人の食卓に欠かせない食材です。健康に良いので、意識して毎日食べているという方も少なくないでしょう。
体に良い食べ物は愛犬にも与えたくなりますよね。大豆を犬が食べても大丈夫なのでしょうか。
大豆はアレルギーの可能性はありますが、体質に合えば中毒症状を引き起こすような心配はないので、犬も食べられます。
ただし安全のために、適切な量を守って正しい与え方をする必要があるので、犬にとっての体重ごとの適量や与える時の注意点をしっかり確認しておきましょう。
犬が大豆を食べることで期待できる効果
大豆は、通称「畑の肉」と呼ばれるほど栄養素が豊富な食材です。タンパク質など、健康な体作りに欠かせない栄養を摂取できるのにヘルシーで太りにくいという特徴があります。
大豆を食べることで、どのような効果が期待できるのかを解説します。
ダイエットしながら健康な体を維持できる
大豆に含まれるタンパク質は植物性タンパク質です。お肉などの動物性タンパク質は本来、肉食動物である犬の体に適していますが、どうしてもカロリーや脂質を多く摂取することになってしまいます。
大豆の植物性タンパク質は、カロリーやコレステロールが低く、タンパク質を摂取しながら中性脂肪やコレステロールを減らしてくれるという効果が期待できます。
タンパク質は、筋肉や骨、皮膚など体の基礎部分を作るのに欠かせない栄養素です。不足すると、十分に体が成長できなかったり体力が低下したりという問題が生じます。
肥満を気にしてダイエットをすると、どうしても栄養バランスが偏ってタンパク質が不足してしまうことが多いです。
大豆はダイエット中でも、安心して食べられる良質なタンパク質源として頼もしい食材なので、愛犬に健康な体を維持しつつ痩せてほしい時におすすめです。
食物繊維が豊富で便秘解消効果がある
大豆は、野菜よりも多く食物繊維が含まれています。食物繊維が豊富な食べ物を摂取すると、腸内環境が改善され便秘解消につながります。
愛犬のお通じの調子が悪い場合には、大豆を食べることで、スッキリするかもしれないという期待が持てます。ただし、食物繊維は過剰に摂取すると、整腸作用が強すぎてお腹を壊してしまう可能性もあるので注意してください。
カルシウムが骨や歯を強くする
大豆はカルシウムも豊富です。カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素で、十分に摂取すると強い骨と歯を作ることができます。
高齢になると犬も骨や歯がもろくなり、骨折しやすくなったり食べ物を上手に噛めなくなったりします。愛犬にはいつまでもケガもなく元気に動き回り、美味しくごはんを食べてほしいので、カルシウムは積極的に摂取しましょう。
カルシウムが豊富なものといえば、牛乳が真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。実は、大豆を原材料に作った豆乳は、牛乳と同じくらいのカルシウムを摂取できる飲み物です。
乳製品にアレルギーがあるなどの理由で、牛乳が飲めない犬でも、豆乳なら飲むことができます。カルシウム摂取の強い味方である牛乳の代用品として、豆乳を飲んだり大豆を食べたりするのもおすすめです。
カリウムが高血圧を予防してくれる
大豆に含まれるカリウムは、体内のナトリウム(塩分)を排出するという役目を担っています。塩分の過剰摂取で、血液中のナトリウム濃度が上がってしまうと、高血圧につながり心臓に負担がかかってしまいます。
ナトリウムとカリウムをバランスよく摂取できていると、過剰なナトリウムが体の外にきちんと排出されるので高血圧の予防になります。血圧の高さが心配な犬にはカリウムの摂取を心がけましょう。
カリウムはその他にも神経の機能を正常にしたり、心臓や筋肉の働きを調整したりする作用があるので、体の機能を正常に保つために重要な栄養素です。
大豆イソフラボンの効果で若々しくキレイな皮膚や被毛を維持できる
女性に人気の大豆イソフラボンという栄養素があります。アンチエイジング効果が高く、美容に良い成分なので積極的に摂取している方が多くいます。
犬にとっても、大豆イソフラボンは良い効果が期待できます。皮膚をハリがある若々しい状態に保ってくれますし、毛並みが良くなりツヤのあるキレイな被毛が育ちます。
犬に大豆を食べさせてもいい量の目安
健康や美容に良い大豆ですが、食べれば食べるほどいいというわけではありません。むしろ食べ過ぎは、消化不良や健康上の問題を引き起こすリスクが高まるので気をつけましょう。
犬に好きなだけ食べさせるのではなく、飼い主さんが愛犬の体格に合った適量をしっかり把握して量を管理してあげることが大切です。
大豆1粒を約1.5cmの水煮としたうえで、犬が1日に食べてもいい適量の目安は以下の通りです。
- 体重1kg :3粒
- 体重3kg :7粒
- 体重5kg :10粒
- 体重10kg:17粒
- 体重15kg:23粒
- 体重20kg :30粒
- 体重30kg :40粒
- 体重40kg :50粒
大きめの大豆の場合は、数を減らして調節してください。
また、体重に見合った量の大豆を食べても、胃腸が弱い犬は消化不良を起こする場合もあります。大豆を食べ慣れないうちは、少なめに与えて様子を見るようにしましょう。
犬に大豆を与える時の注意点
犬に大豆を食べさせる時には、与え方にも注意が必要です。生の大豆を丸ごと与えると、犬の体に負担になったり健康上の問題を引き起こしたりする場合もあります。
愛犬が安全に美味しく大豆を食べられるように、気をつけたいポイントを解説します。
「生の大豆」や「豆そのままの形」で与えない
生の大豆には、トリプシンインヒビターという有毒成分が含まれています。トリプシンインヒビターは、膵臓から分泌されるトリプシンという消化酵素の働きを阻害してしまうので、消化不良を引き起こしてしまいます。
またトリプシンインヒビターは、膵臓障害を引き起こすリスクもあるので、犬には摂取させてはならない成分です。
トリプシンインヒビターは加熱することで破壊できるので、大豆は必ず加熱調理したものを与えるようにしましょう。生で与えなければ、トリプシンインヒビターに関しては心配しなくて大丈夫です。
加熱することで大豆による消化の負担も減らせるので、お腹に優しい食べ物になります。豆そのままの形で与えてはいけない理由は、上手く消化しきれず胃腸に負担になってしまうからです。
さらに小型犬など食道が細い犬は、大豆を喉に詰まらせる危険性もあります。安全のために大豆は、細かく刻んだり砕いたり茹でた後ですり潰してペースト状にしたり、粉末状になっている大豆粉やきなこを与えたりといった工夫が必要です。
また犬は、食べ物を噛まずに飲み込んでしまうことがよくあるので、大豆の栄養を吸収しないまま便と一緒に排出されてしまうともったいないです。大豆はせっかく栄養が豊富な食べ物なので、しっかり吸収される食べ方をしましょう。
消化器官が未発達な子犬は特に注意が必要です。子犬は慣れないものを少し食べただけでも消化不良を起こしてしまうことが多いです。与える大豆はごく少量に留め、ペースト状にして消化の負担を和らげてあげるとよいでしょう。
大豆アレルギーを発症しないかよく観察する
犬が大豆アレルギーを発症することは珍しくないので、初めて食べる時には体調をよく観察してアレルギー症状が出ないかチェックしてください。
万が一のために最初はごく少量を与えてみて様子を見ましょう。
アレルギーを発症すると、嘔吐する、下痢をする、体をかゆがる、湿疹が出る、目や耳が赤くなるなどの異常が現れます。少しでも疑わしい症状が見られたら、大豆をそれ以上与えるのはやめましょう。
症状が重たい場合は動物病院に相談してください。
食物アレルギーは初めて食べた時に何の異常も出なくても、続けて何度か食べているうちにアレルギーを発症してしまう場合もあります。下痢をしていないか、皮膚に異常はないか、など愛犬の体調チェックは毎日行うとよいでしょう。
大豆以外の豆類でアレルギーを発症した犬は、大豆でもアレルギー症状を引き起こす可能性が高いです。心当たりがある場合は、安全のために大豆を食べさせるのは控えてください。
過剰摂取で甲状腺機能低下症のリスクが高まる
大豆に含まれる「ゴイトロゲン」と「大豆イソフラボン」という2種の成分は、甲状腺の機能を低下させてしまう恐れがあります。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなる病気です。
甲状腺ホルモンは代謝に大きく関わっているので、分泌量が減ると代謝にトラブルが発生し体全体が正常に機能しなくなってしまいます。
具体的には、元気がなくなったり寒がるようになったり、太りやすくなったり、皮膚や被毛にも異常が現れたりするというのが主な症状です。
しかし、大豆の適量を守って食べていれば、大豆の影響で甲状腺機能低下症になるという可能性はほとんどありません。たくさん与えすぎたり、大豆の他にもゴイトロゲンを多く含む食材を過剰に食べさせたりしなければ問題ないので安心してください。
節分の豆まきに注意
豆を使う行事として節分があります。毎年大豆をまくのが恒例というご家庭もあるでしょう。まいた大豆に、愛犬が興味を持って、勝手に食べてしまうと危険です。
豆まきに使う大豆は、炒ってあるので最も消化に悪い状態です。さらに、そのままの形で食べてしまうことになるので、消化への負担は大きく、丸呑みしてしまうと喉に詰まるリスクもあります。
また地域によっては、大豆の代わりに落花生をまくこともあります。落花生は脂分が多く犬が食べると、お腹を壊してしまう可能性が高いので、こちらもまいた後に犬が食べてしまわないように気をつけなくてはなりません。
愛犬が落ちている豆を食べてしまわないように、豆まき中は犬から目を離さないようにするか、飼い主さんが抱っこしていてあげてください。もしくは片付けが終わるまでケージの中に入って待っていてもらいましょう。
大豆製品の活用がおすすめ
豆腐、納豆、豆乳など様々な大豆を使った加工品が作られています。これらの大豆製品を犬が食べても大丈夫なので、手軽に愛犬に大豆を与えるために活用しましょう。
豆腐や豆乳は冷たい食べ物なのでお腹を冷やしてしまう可能性があります。犬に与える時には、冷蔵庫から出してしばらくおいておき、常温に戻してからにしましょう。
まずは、試しにスプーン1杯程度からあげてみてください。豆乳は、砂糖や塩分などの余計なものが加えられていない、無調整豆乳を選ぶのが健康的です。
納豆は、タレや薬味を使うのはやめましょう。健康のために納豆を食べさせたくても、ネバネバしているのであげづらく、口元が汚れてしまうのが難点です。
そういう場合には、犬用の乾燥させた納豆が販売されているのでおすすめです。
豆乳ヨーグルトや大豆ヨーグルトは、ヘルシーなので人気商品です。ヨーグルトは腸内環境を整えてくれるので、お腹の調子が悪い犬に食べてほしいもののひとつです。
乳製品アレルギーがあっても、豆乳ヨーグルトや大豆ヨーグルトなら食べることができます。豆腐や豆乳と同様に、冷えすぎていない状態で与えましょう。
できるだけ大豆そのものを食べさせたいけれど、自宅で毎回調理するのが大変だという場合は、大豆の水煮がおすすめです。大豆の水煮は加熱してあるので、触ってみて十分に火が通って柔らかくなっていればそのまま与えることができます。
時には火の通りが十分でなく、まだ固さが残っている場合もあるので、消化不良を起こさないように固い豆は取り除きましょう。
大豆の水煮で犬に与えてはいけないものは、味付けされているものや犬に有害な他の食材が加えられているものです。アレルギーの危険性がある食材が混ざっていないか注意してください。
大豆には黒大豆という種類があります。一般的に黒豆と呼ばれるもので、色が黒いだけで含まれる栄養素は、普通の大豆と同じなので犬に与えて大丈夫です。
黒豆の煮つけを作る際には、愛犬用に味付けする前の黒豆をとっておいて、食べさせてあげると喜ばれます。
また、枝豆も大豆の仲間です。枝豆とは大豆が未成熟な状態のまま収穫されたものなので、大豆同様に犬が食べることができます。塩茹ですると美味しいですが、塩分の過剰摂取は健康に害を及ぼすので、愛犬の健康のために塩は入れずに茹でましょう。
動物のお肉が食べられない方や健康を意識している方が美味しくお肉を食べられるように、大豆を使用して作った大豆ミートが販売されています。
大豆ミートは大豆が原材料の代替肉ですが、普通のお肉と同じように料理に使って食べることができます。お肉より低カロリーで低脂肪なので、お肉が大好きだけれどダイエット中で我慢しているという犬に、ぜひ食べさせてあげましょう。
粉末状の大豆粉やきなこは、ドッグフードのトッピングにすると手軽に大豆の栄養素を摂取できます。きなこは、砂糖を加えていないものを選ぶようにしてください。
大豆製品を上手に活用して、飽きずに美味しく愛犬に大豆を摂取させましょう。
まとめ
大豆は犬が食べても大丈夫な食べ物です。ダイエットしながら、十分にタンパク質を摂取できたり腸内環境が改善したり骨や歯が強くなったり、と健康への様々な効果が期待できます。
食べ過ぎると消化不良を起こしてしまうので、適量を守るようにしましょう。子犬や大豆を食べ慣れない犬は、まずは少なめに与えて体調を確認してください。アレルギーがないかどうかにも気をつけましょう。
大豆を犬に与える時には、必ず加熱したものにしましょう。生の大豆には、犬に有害な成分が含まれていて危険です。また刻んだり砕いたりペーストにしたりすることで消化器官への負担も少なくなり、喉詰まり対策にもなります。
大豆製品には豆腐や納豆、豆乳、大豆ミートなど様々な種類があるので、愛犬が美味しく大豆を摂取できるように活用してみてください。