犬は納豆を食べても大丈夫です!
人間の体に良いといわれる納豆ですが、犬の健康に役立つ栄養素もたくさん含まれている上に、犬にとって危険な成分は含まれていません。
それにより、大豆にアレルギーがない健康な犬なら納豆を食べさせても大丈夫です。では、犬は何歳くらいから納豆を食べられるのでしょうか?
個体差はありますが一般的に、小型犬は生後1年くらいまでの間は早く成長し成犬になります。中型犬や大型犬は、小型犬に比べて成長が緩やかなので、生後2~3年で成犬になるといわれています。超大型犬では、5歳まで体が成長していたという場合もあるようです。
そのため、一概に「○歳から納豆を食べてもよい」とはいえません。
子犬といわれる間は、まだ消化器官が十分に発達していないので、成犬用のフードに切り替わる時期まで、食べさせるのは控えた方が安心です。
犬が納豆を食べることで期待できる効果
人間には様々な健康効果がある納豆ですが、犬にとっての明確な健康効果の研究成果が発表されているわけではありません。ここでは、犬にも期待出来る納豆の健康効果について考えてみました。
ネバネバ成分でデトックス
納豆のネバネバの主成分ポリグルタミン酸という物質は、老廃物を排泄する効果があります。また、ミネラル類の吸収を促進する効果や高い保湿の効果もあります。
タンパク質が吸収されやすい
納豆は全体の17%が質の良い植物性タンパク質です。タンパク質は、肝臓の負担を軽減し、筋肉や臓器、皮膚などを作ります。
植物性タンパク質は、動物性タンパク質より体に吸収されにくいといわれますが、納豆は発酵食品なので犬でも比較的消化しやすいと考えられています。
善玉菌増加で腸の働きをよくする
納豆菌は胃酸に強く、腸までしっかり届き善玉菌のエサとなるほか、悪玉菌を減らして腸内環境を良くしてくれる働きがあります。
また、納豆には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく豊富に含まれており、食後の血糖値の上昇を緩やかにする、便通の改善、腸への刺激などの効果が期待できます。
ナットウキナーゼが血液をサラサラにする
ナットウキナーゼは納豆にしか含まれない酵素で、主な働きは血栓(血液中にできる血の塊)を溶かすことです。
さらに、血流改善作用、血圧降下作用、血小板凝集抑制作用などにより、心臓や脳の血管に血栓ができる心筋梗塞や脳梗塞などの病気の予防ができると期待されます。
犬が1日に食べてもいい納豆の量
人間には毎日食べることが推奨される納豆でも、犬に毎日食べさせるのはおすすめできません。犬は納豆独特の匂いが大好きで、ついつい食べ過ぎて太る可能性があります。
納豆には、100gあたり200キロカロリーの熱量と豊富な栄養素が含まれています。栄養価の高い納豆ですが、おやつやご飯のトッピングとして利用するなど、あくまでも主食の補助として食べさせることが望ましいでしょう。
犬に食べさせてもよい納豆の量は正確には決まっていませんが、一日の必要カロリーの約10%といわれています。
- 超小型犬(体重4kg未満):小さじ1杯(約5g)
- 小型犬(体重10kg以下):大さじ1杯(約16g)
- 中型犬(体重25kg未満):1/2パック(約27g)
- 大型犬(体重25kg以上):1パック(27g~45g)
上記の量は1日に食べさせてもよいだいたいの目安ですが、犬の体格や運動量などにより調整しましょう。体質によっては、この量でも多過ぎることがあるので注意が必要です。
犬におすすめの納豆の与え方
納豆をフードと混ぜて納豆ご飯にしたり、手作りご飯の上にトッピングしたりと、飼い主さんにより納豆の食べさせ方は様々です。
次に効率よく健康効果を取り入れるために、納豆の与え方のちょっとしたコツをご紹介します。
細かく刻むかひきわり納豆を選ぶと消化性がアップする
納豆を粒のまま丸飲みしても喉に詰まる可能性はほとんどないと思われますが、絶対に無いとは言い切れません。
細かく砕いて食べさせるか、最初から粒が小さく砕かれているひきわり納豆を利用すると、丸飲みしてしまうことが多い犬にも安心して食べさせることができますし、粒のままの状態より消化しやすく、消化不良を防ぐことができます。
納豆のネバネバが苦手な犬にはフリーズドライがおすすめ
ネバネバの食感が気にならない納豆の与え方として、フリーズドライされた納豆を試してみてはいかがでしょうか。そのまま食べさせてもいいですし、一手間かけてふりかけにしてしまうと使い道がぐんと広がります。
フリーズドライの納豆を利用する時に注意しなければならないのは、人間用の商品を食べさせてはいけないという点です。人間用の商品には、塩や醤油、添加物が含まれています。
必ず犬用に販売されている商品を食べさせるようにしましょう。
納豆の成分を最大限に活用するなら加熱せずに与える
納豆菌自体は非常に熱に強く、加熱しても問題ありません。しかし、ナットウキナーゼなど熱に弱い成分が含まれていますので、加熱するとせっかくの健康効果がかなり落ちてしまいます。
納豆の良さを生かすには、加熱せず冷蔵や常温で生のまま食べさせることが望ましいといえます。
サプリメントを利用する
食の細い犬や偏食気味の犬には、サプリメントを利用するというのも一つの方法です。その場合も、必ず犬用のサプリメントを与えるようにしましょう。
犬に納豆を与える時の注意点
犬に納豆を食べさせる場合には、注意しなければいけない点がいくつかあります。健康上、重大な問題を引き起こすこともありますので、必ず確認しましょう。
大豆にアレルギー症状が出る犬には与えない
当然のことですが、大豆にアレルギーのある犬には、絶対に食べさせてはいけません。また、大豆にアレルギーが無くても、アレルギー体質であると分かっている犬に、初めて納豆を食べさせる場合も要注意です。
大豆にアレルギーがあるかどうかを見極めるには、まずごく少量食べさせて様子を見ます。そして、アレルギー症状(下痢、嘔吐、痒み)が見られなかった場合は、次の日に少し量を増やして食べさせ、また次の日に少し量を増やして…と徐々に食べさせる量を増やしていきます。
大豆にアレルギーがあるかどうかは、動物病院で検査を受けて調べることができます。動物病院では、大豆アレルギーだけでなく、その他の様々なアレルギーの有無を調べることができます。
納豆のパックに付属するタレやからしなどは混ぜない
タレに含まれる塩分、保存料や添加物は、体調を崩す原因になりますし、薬味にはネギなど犬にとって危険な材料が入っていることがあるので、絶対に食べさせないようにしましょう。
病気を抱える犬に与える場合は獣医師の指示を仰ぐ
健康によいといわれる納豆ですが、体調によっては逆効果になることもあるので注意が必要です。
たとえば、腎臓病や心臓病を患っている犬は、納豆に多く含まれるカリウムを排出するために腎臓に負担がかかり過ぎたり、うまく排出できなかったりと、悪影響があります。
また、ストルバイト(結石)のある犬は、その予防や緩和のためにマグネシウムやリンの摂取制限が必要です。そのため、マグネシウムの多い大豆製品である納豆も控えるべきです。
大豆製品に多く含まれる大豆サポニンは、甲状腺ホルモンの分泌を妨げるので、甲状腺機能低下症の人は食べ過ぎないようにした方がよいとされています。
反対に、てんかんの症状がある場合は、脳圧を下げる作用があるので納豆を食べるとよいといわれています。
このように、体調によっては悪い影響を及ぼすこともありますので、持病がある場合は、食べさせる前に動物病院で獣医師に相談する事が大切です。
情報に振り回されない
納豆に関する情報に「納豆と麹を混ぜたもので歯石が取れる」「胆泥症が納豆で改善する」など色々ありますが、これらの情報は、確実なデータが不足していることも多く、頭から信用してしまうのは大変危険です。
どのような情報でも、自分自身で調べる、専門家の意見を聞くなどして、それらが本当に信頼できるのか、慎重に判断する必要があります。
まとめ
納豆は犬にとっても、健康効果の高い栄養素がたくさん含まれた食品です。しかし、すべての犬にとってよい効果をもたらすというわけではありません。
その時々の犬の体調や、アレルギーの有無、持病があるかどうかなど、犬の健康状態をチェックした上で、犬の好みに合うかどうかといったことも考えながら、食べさせる量や食べさせ方を常に調整することが必要です。
いくら体によい食べ物でも、体調に合わなかったり、食べさせ過ぎたりしては、かえって健康を損なうことにもなりかねませんし、ときには重大な問題を引き起こすこともあるのです。
愛犬に納豆を食べさせる時は、注意するべきことをよく確認し、食べさせ方を工夫しながら健康に役立てましょう。