犬に豆乳をあげても大丈夫?食事への取り入れ方と注意点

犬に豆乳をあげても大丈夫?食事への取り入れ方と注意点

栄養価が高く美容にもよい飲み物として豆乳が人気です。愛犬の健康のために豆乳をあげても大丈夫なのでしょうか。豆乳を飲むことで期待できる効果や、食事への取り入れ方、注意点をご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬が豆乳を飲んでも大丈夫!

犬が豆乳を飲んでも大丈夫!

大豆アレルギーのない犬になら、豆乳は与えていい飲み物です。

豆乳は大豆をすりつぶして水を加え、煮詰めた汁をこしたものです。豆乳を固めると豆腐を作ることができ、汁をこして残ったかすは「おから」になります。

原料が大豆なのでタンパク質や大豆イソフラボンといった栄養素を含んでおり、健康によい飲み物として人気があります。

健康な犬は飲む量に注意すれば豆乳を飲める

豆乳は、アレルギーや指定された療法食しか食べてはいけない場合など、健康上の問題がある場合を除いて、犬が飲んでも大丈夫です。さらに、大豆に含まれる様々な栄養素を摂取できるので、健康維持や増進のために役立てられる飲み物でしょう。

大豆はタンパク質が豊富な食材で、ドッグフードの原料として使われることもあります。

食欲が低下した犬でもドッグフードに豆乳を少量かけて風味を変えてあげると、美味しく食べてくれる場合もあるので豆乳を上手に活用してみましょう。

ただし与える量には注意が必要です。豆乳を一度にたくさん飲むとお腹を壊したり水分バランスを崩したりする可能性があるので、もし愛犬が豆乳が大好きでも与え過ぎないようにしましょう。

犬には無調整豆乳がおすすめ

豆乳は3つの種類に分けられます。

1つ目は「無調整豆乳」です。無調整豆乳は大豆そのままの栄養素を摂取できる最も栄養価の高い豆乳です。ただし、大豆特有の青臭い味もそのままなので、好き嫌いが分かれるというデメリットがあります。

2つ目は「調製豆乳」です。調製豆乳は無調整豆乳の大豆の味が飲みづらいという人でも美味しく飲めるように、砂糖や塩、油分、香料などを加えたものです。タンパク質の含有量は無調整豆乳よりもやや少なくなります。

3つ目は「豆乳飲料」です。豆乳飲料は調製豆乳よりもさらに飲みやすく美味しくするために、果汁やコーヒー、紅茶などを加えて味つけしたものです。豆乳の独特の味が苦手な人でもジュース感覚で飲めるので、気軽に豆乳を生活に取り入れられます。

3種類の中で犬にあげるのにおすすめなのは「無調整豆乳」です。調製豆乳や豆乳飲料に含まれる砂糖や塩は、犬の健康にとって害を及ぼすリスクがあったり不必要なものとなります。

大豆そのものから作られている無調整豆乳なら犬に与えたくない成分は含まれず、さらに栄養素を摂取できるので犬に与えるなら無調整豆乳を選びましょう。

豆乳を使った加工品も犬に与えていい

豆乳を使って作られた豆乳クッキーや豆乳ヨーグルトなどの加工品があります。豆乳以外の材料にアレルギーがなければ、これらを犬に食べさせても大丈夫です。

豆乳クッキーは人間用のものだと砂糖などが使われていてカロリーも高くなってしまうので、犬用に販売されているものや手作りしたものを与えましょう。

豆乳ヨーグルトは乳製品が食べられない人でも食べることができ、大豆イソフラボンを摂取できるのでスーパーなどでも売られている人気商品です。

乳酸菌も一緒に摂取できるので犬の健康にもよい効果が期待できるかもしれません。犬に与える時は砂糖の入っていないプレーンのヨーグルトを選んでください。

犬に豆乳を与えることで期待できる効果

犬に豆乳を与えることで期待できる効果

大豆に含まれる栄養素を美味しく摂取するために、豆腐やおからを食事に取り入れている人は多いでしょう。豆乳を飲むことでも様々な健康へのいい効果も期待できるかもしれません。

大豆の成分は犬の健康にもメリットをもたらす可能性があります。豆乳を与えることでどのような効果が期待できるのかを解説します。

筋肉や骨を作り、丈夫にする

大豆は筋肉や骨、皮膚などを作るのに欠かせないタンパク質を含んでいます。犬の必須アミノ酸が全て含まれているので、良質なタンパク質の摂取源として適している食材です。

無調整豆乳は、調製豆乳や豆乳飲料よりも大豆のタンパク質を多く摂取できるので、補助的なタンパク質摂取源として使うのにおすすめです。

また、豆乳に含まれる大豆イソフラボンには、骨がもろくなるのを防いだり骨を造る効果があることが研究で分かっているそうです。犬においての効果はまだ研究されていませんが、大豆イソフラボンが丈夫な骨を維持するのに役立つかもしれませんね。

《参考サイト》

コレステロール値を下げ、血液をサラサラにする

大豆イソフラボンはポリフェノールの仲間で、抗酸化作用を持つ複数の物質の総称です。抗酸化作用以外にも人間で血液中の悪玉コレステロール値を下げたり、血液をサラサラにする効果があると言われています。

また豆乳は、お肉や牛乳よりも飽和脂肪酸が少ないので、飽和脂肪酸を避けながら健康的にタンパク質を摂取できる食材だといえます。

抗貧血作用

大豆はミネラルも豊富です。ミネラルは体の機能が正常に働くよう調整するために必要な栄養素です。

ミネラルの一種であるモリブデンは、造血を促す働きがあるそうです。また同じくミネラルの一種である銅は、腸での鉄分の吸収を促進します。

豆乳を飲んでモリブデンと銅を摂取できると、貧血が起きにくくなったり貧血の進行を少しでも遅らせられるかもしれませんね。

アンチエイジング効果、美容効果で皮膚や被毛がキレイになる

大豆イソフラボンは人間では、抗酸化作用や若返りホルモンを増やす働きなどによってアンチエイジング効果があると言われています。また、抗酸化作用とエストロゲン様作用によって美容にいいと女性に注目されている栄養素でもあります。

犬が大豆イソフラボンを摂取することで、皮膚の状態がよくなったり毛並みがよくなったりする効果果は現在のところ科学的には示されていませんが、栄養を強化してあげたい老犬や病中病後の犬の食事に取り入れてみるのもよいでしょう。

また大豆イソフラボンは老犬の足腰の衰えを和らげるのにも有効です。いつまでも愛犬の足腰が強ければ、元気に散歩できたり遊べたりしてうれしいですよね。

《参考サイトと文献》

Cerundolo, R., Michel, K. E., Court, M. H., Shrestha, B., Refsal, K. R., Oliver, J. W., Biourge, V., & Shofer, F. S. (2009). Effects of dietary soy isoflavones on health, steroidogenesis, and thyroid gland function in dogs. American journal of veterinary research, 70(3), 353–360.

https://doi.org/10.2460/ajvr.70.3.353

犬の食事に豆乳を取り入れる方法

犬の食事に豆乳を取り入れる方法

人間では豆乳はそのまま飲むのが一般的な摂取方法です。愛犬にも飲み物として与えてもいいのですが、大豆の独特の味を好まない犬もいます。

美味しく飽きずに豆乳を摂取させるには、食事やおやつに取り入れるのがよいでしょう。おすすめの取り入れ方をご紹介しますので参考にしてみてください。

犬用の手作りご飯やおやつに混ぜる

愛犬のために手作りでご飯を作っている飼い主さんは、ご飯の材料として豆乳を使ってみることができます。豆乳スープや豆乳シチュー、豆乳リゾットや豆乳煮込みなど美味しく豆乳を摂取できるレシピが数多くあります。

豆乳を使ったおやつを作ってあげるのも喜ばれるかもしれません。定番の豆乳クッキーはもちろん、夏場は豆乳アイスを食べさせてあげると暑い毎日も元気に乗り越えられそうです。薄めた豆乳や液状おやつやフードに混ぜたものを凍らせることができます。冷たいものを食べ過ぎてお腹を冷やさないように気をつけましょう。

また誕生日やクリスマスなどの特別な日には、愛犬にもケーキを食べさせてあげたくなる方もいるかもしれません。愛犬用のケーキのデコレーションに、豆乳クリームはいかがでしょうか。牛乳から作った生クリームや市販の豆乳入りホイップは脂質が多いので健康によくないでしょうが、ご家庭で豆乳から作れる豆乳クリームならヘルシーです。

豆乳クリームは、大豆アレルギーがなければ牛乳にアレルギーがある犬にも与えられます。

豆乳を薄めていつものドッグフードにかける

手軽に豆乳を摂取させたい場合は、いつも食べているドッグフードに薄めてかけるだけでも大丈夫です。

無調整豆乳は大豆の青臭い味がするので、水を足して薄めてあげることで独特な味が苦手な犬でも飲みやすくなります。豆乳の風味が加わることで食欲が増す犬もいるようなので、愛犬の食欲が低下している時に試してみるのもよいかもしれません。

フードに豆乳や水をかけてあげると、食事と一緒に水分補給もできるので、飲んでくれる水の量が少ない場合や水分とともに栄養も強化したい場合にも役立つかもしれません。

犬用に販売されている豆乳製品や粉末豆乳を使う

犬用の豆乳製品も多く販売されています。豆乳を使用したクッキーやプレッツェルなどのおやつがあります。犬用に作られているものなので食べてくれることが多く、簡単に取り入れやすいでしょう。

市販の粉末豆乳を使って、ご飯やおやつを手作りしてあげることもできます。でも、せっかく手作りした豆乳のおやつを食べてもらえなかった場合は、手間をかけたぶんショックですよね。愛犬が豆乳入りのおやつを好むかどうかを確かめるために、まずは市販の犬用豆乳入りおやつをあげてみるのもよいでしょう。

犬に豆乳を与える時の注意点

犬に豆乳を与える時の注意点

このように、体に良いと言われている豆乳ですが、犬に与える時には注意したい点もいくつかあります。

アレルギーや持病がある犬に与えたり、大量に与えたりすると健康に害を及ぼす可能性があります。また愛犬にはじめて豆乳をあげる前に注意点をしっかり確認してください。

大豆アレルギーが出ないかよく観察する

大豆のタンパク質もアレルギーの原因となる可能性があります。また、アレルギーではなくても体質として豆乳や大豆が合わないこともあるでしょう。

初めて豆乳を与える時はごく少量に留めましょう。何回か豆乳を与えていて、豆乳を与えた後に吐く、下痢をする、皮膚をかゆがる、フケが出るなどの症状がよく見られる場合には、大豆アレルギーがある可能性が考えられます。

少しでもアレルギーが疑わしい症状が見られた時は、それ以上豆乳を与えるのはやめましょう。大豆を使っているフードも多くありますので、豆乳を与えていなくても大豆アレルギー(食物アレルギー)を発症していることもあります。いずれにしろ、特定の物を食べた後にいつも出る症状がある場合や下痢や軟便、皮膚の異常が続く場合は動物病院に相談してください。

腎臓病や尿路結石症の犬には要注意

豆乳は良質なタンパク質を摂取できるというメリットがありますが、タンパク質の摂取を控えたい場合もあります。

腎臓病が進行している犬では、タンパク質の摂取が腎臓の負担になったり尿毒症の原因物質が多く作られることになってしまうので、タンパク質の摂取量を制限する必要があります。同様の理由で、進行した肝臓病の犬もタンパク質の摂取に注意が必要です。

豆乳には植物性タンパク質が含まれているので、腎臓病や肝臓病がある犬では、愛犬の体に余計な負担をかけないために豆乳を与えてよいか、かかりつけの獣医師にまず相談しましょう。

また、豆乳にはストルバイト結石の成分の一つであるマグネシウムが含まれています。この点からも、健康な犬でも毎日飲んだり大量に飲んだりするのは避けた方がよいかもしれません。

すでにストルバイト結石症を経験したことのある犬や治療中(結石を溶解させるための療法食を食べている)の犬などでは、豆乳は控えておくのがよいでしょう。

一度にたくさんの量を与えない

豆乳の90%は水分でできています。一度にたくさん飲むとお腹を壊してしまう可能性があるので気をつけましょう。

冷蔵庫から出したての豆乳は、体を冷やすリスクが高まったり冷たくて犬が好まないことがあるので、犬に与える時には冷蔵庫から出したら、少し時間を置いて常温にしたものを与えるとよいでしょう。

また豆乳は飲み物にしてはカロリーがあるので、大量に飲むとカロリーの過剰摂取につながります。豆乳をフードにかけたりおやつにして摂取したりした日には、他のフードやおやつを少し減らして摂取カロリーを調節してください。

豆乳は健康に役立つ成分が含まれている飲み物ですが、いくらでも与えていいわけではありません。適量を守るのが大切です。

初めて与える際には、犬のサイズにもよりますが、ティースプーン1杯程度を与えて様子を見るとよいでしょう。お腹を壊したり体調を崩したりするようなら、愛犬の体質に豆乳が合っていない可能性があります。

何回か与えて豆乳に慣れてきて、特に問題がなければ少しずつ与える量を増やしましょう。慣れてからも、体重4kg未満の超小型犬なら豆乳の適量は1日に大さじ1杯程度、体重が20kgの犬なら100ml程度なら大丈夫、と一般的に言われています。

愛犬の体の大きさに合わせて量を調整しましょう。一度に与えずに1日のうちで何回かに分けて与えるのがよいでしょう。

子犬や老犬に与える時は少なめまたは薄めにする

子犬は消化器官が未発達な状態ですし、老犬は消化器官も衰えてしまいます。

子犬や老犬にはじめて豆乳を与えると、消化不良を起こす可能性が健康な成犬よりも高い可能性があります。消化不良を起こすと嘔吐したり下痢をしたりします。まずは、ごく少量をまたは倍以上に薄めたものを与えて大丈夫そうか様子を見ましょう。

豆乳は犬用に調整された飲み物ではありませんし、犬にとって必ず摂取しなくてはならないものでもないので、子犬のうちは与えないと決めてしまってもよいでしょう。成犬になって消化器官が十分に発達してからあげるとより安全だと思われます。

老犬で食欲が低下してフードの食いつきが悪い場合には、薄めた豆乳を少しかけてみるのもおすすめです。豆乳を使いたい場合は、量は少なめにすること、水でしっかり薄めること、冷たいまま与えないことの3つを守るとよいでしょう。

まとめ

人間で健康への効果や美容効果で人気のある豆乳は、犬に与えても大丈夫です。砂糖や塩、香料など余計なものが加えられていない無調整豆乳を選んでください。

豆乳を飲むと、原材料である大豆に含まれる数多くの栄養素を摂取できます。まずは、犬の必須アミノ酸を全て含むタンパク質を摂取できることが、犬に豆乳を与えるメリットとして考えられます。

また、人間において血液がサラサラになったり様々な抗酸化作用が期待できると言われており、犬においても同様の効果を期待したくなりますね。

豆乳は手作りごはんやおやつに混ぜたり、いつも食べているフードにかけたりして食事に取り入れることができます。豆乳を使った犬用の製品も販売されているので、手軽に豆乳を取り入れることができます。

ただしアレルギーや持病のある犬、子犬や老犬では注意が必要です。健康な犬でも一度にたくさん与えるとお腹を壊す場合があるので、適量を守り常温で与えましょう。

ぜひ食事やおやつで美味しく豆乳を摂取して、愛犬の健康維持や増進に役立ててください。

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