犬はピーマンを食べても大丈夫?与え方や注意点について解説

犬はピーマンを食べても大丈夫?与え方や注意点について解説

栄養満点のピーマンは人間の食生活に欠かせない存在ですが、犬に与えても大丈夫なのでしょうか。ピーマンに含まれる栄養や犬に与える際の注意点などをご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬はピーマンを食べても大丈夫!

犬はピーマンを食べても大丈夫

栄養が豊富で色や味がアクセントにもなるピーマンは、人間にとって身近な野菜の一つです。独特の苦みがあるので、香りを嗅いで犬が食べたがるということは少ないかもしれません。

ですが、人間用に調理されたピーマンは美味しく味付けがされていたり、加熱されて甘みが出ていたりするので、犬が興味をもって近づいてくることもあるのではないでしょうか。目を離したすきに一口食べてしまった、というケースもあるでしょう。

基本的にピーマンは犬が食べても大丈夫な野菜です。中毒を引き起こす危険性はないので、愛犬に料理を盗み食いされても、ピーマンを食べたという意味では心配する必要はありません。

栄養素も豊富なので、愛犬にご飯を手作りしている飼い主さんは、食材としてピーマンを活用するのもおすすめです。体に良いものをドッグフードにトッピングしたいという場合にも、愛犬が好むなら少量与えるのもよいでしょう。

ピーマンは生でも加熱しても食べられる野菜ですが、犬の消化器官への負担や嗜好性を考えると、犬には加熱したものをあげることをおすすめします。

ピーマンの種は消化されずに排泄されることが多いですし、食感を好まない犬が多いかもしれませんので、取り除いてから与える方がよいでしょう。種が黒く熟している場合は、ピーマン自体が熟しただけのこともありますし、腐敗やカビの影響であることもあります。鮮度や状態をよく確認してから調理しましょう。

もし、生のままのピーマンや種を犬が誤食してしまっても、特に大きな問題はありません。犬にピーマンを与える場合には、できるだけ食べやすく消化に良い状態で与えましょう。

ピーマンに含まれる栄養素

犬がピーマンを食べることで期待できる効果

テルペン

ピーマンには、テルペンという苦味や独特の香りの原因となっている成分が含まれています。テルペンには、抗がん作用や抗酸化作用があると言われています。

ビタミン

緑黄色野菜であるピーマンには、βカロテン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンCなどのビタミンが含まれています。

様々なビタミンには、抗酸化作用や体を正常に機能させる働き、免疫力を高める働きなどがあり、健康維持には欠かせません。

クロロフィル

ピーマンには、クロロフィルという色素(葉緑素)が含まれています。クロロフィルは抗酸化作用のある物質で、抗がん作用や血中コレステロールの低下作用などがあると言われています。

クロロフィルには口臭予防効果があるという意見もありますが、効果がないと言う人もいるようです。

ピラジン

ピーマンの香りにかかわる成分であるピラジンには、血液をサラサラにしてくれる効果があると言われています。

ピラジンは、ピーマンの中でも「わた」と種に多く含まれるので、人がピラジンの効果に期待してピーマンを食べるのであれば、わたと種も食べるのが適しています。しかし犬にとっては、「わた」や種はない方が、消化によく食べやすいでしょう。

ビタミンP(フラボノイド)

ピーマンには、ビタミンPと呼ばれる成分が含まれています。ビタミンPはフラボノイドとも呼ばれるポリフェノールの一種で、ピーマンに含まれるフラボノイドには、ヘスペリジンやケルセチンなどがあります。

フラボノイドは、ビタミンCの働きをサポートしたりビタミンCを保護する、ビタミンCの吸収を助けるなどと言われていますが、ビタミンCの腸での吸収を妨げるという研究結果もあるそうで、フラボノイドの作用にはまだまだ分からないことがたくさんあるようです。

犬にピーマンを食べさせる時の上手な与え方

犬にピーマンを食べさせる時の上手な与え方

ピーマンは犬が食べても大丈夫ですが、食べさせる時にはいくつかポイントがあります。愛犬が美味しく食べて、上手に消化吸収できるように与え方に工夫しましょう。

生のピーマンは避けて加熱してから与える

犬が生のピーマンを食べてしまっても大きな問題はありませんが、生のピーマンは消化されにくいので、お腹に負担がかかってしまうことがあります。

特に胃腸の弱い犬が生のピーマンをある程度の量食べてしまうと、消化不良を起こしてしまう可能性があります。できるだけ愛犬のお腹に優しい状態にするために、加熱調理してから与えるとよいでしょう。

消化しやすく苦みを抑えられる切り方

ピーマンは、細かく刻んだものを与えることで消化されやすくなります。外側の薄い皮をむくことも、ピーマンが消化されやすくなる方法の一つです。

また、繊維が走っている方向と同じ縦向きに切ることでピーマンの独特の苦みを感じるのを抑えられるので、味のくせが減って食べやすくなります。

手作りご飯は犬用レシピで作る

愛犬のご飯を手作りするのにピーマンを使いたい、という飼い主さんもいるでしょう。

ピーマンを使った料理というと、ピーマンの肉詰めがありますが、人間用のピーマンの肉詰めには犬が食べてはいけない玉ねぎが含まれていることが多いので注意が必要です。

ネギ類は犬にとって中毒を起こす食材なので、犬の手作りご飯には絶対に入れないようにし、愛犬には犬用のレシピで作った食事を与えましょう。

愛犬のご飯に含まれる脂肪分を抑えたい場合には、使用する肉に脂身の少ない鶏胸肉などを選ぶとよいでしょう。肉詰めを焼く時も、油を必要としない、または油が少なくて済むコーティング加工されたフライパンを使うと脂肪の摂取量を抑えられます。また愛犬の健康のために、薄味または調味料を使わずに料理しましょう。

ピーマンの肉詰め以外でも、人間用のレシピは犬には有害な食材が使われていたり、犬にとっては濃すぎる味付けがされていたりする場合が多いので、愛犬のご飯を手作りする際には犬用のレシピで作りましょう。

適量を守って与える

ピーマンは健康によい栄養素が多く含まれていますが、食べれば食べるほどよいというわけではありません。食べすぎると消化不良を起こして、下痢や嘔吐をしてしまう可能性もあります。

もし愛犬がどんなにピーマンを気に入ったとしても、ドッグフードや様々な食材で作られた手作りご飯を適量食べて、色々な栄養素をきちんと摂取することが望ましいので、ピーマンだけで満腹になってしまうのはよくありません。

体重4kg未満の超小型犬ならピーマンの輪切りで2~3切れ、体重10kg以下の小型犬ならピーマン1/2個くらい、体重25kg未満の中型犬なら1/2~1個、体重25kg以上の大型犬なら1~2個を一日に与えるピーマンの量の目安とすれば、食べ過ぎにはならないでしょう。

愛犬の運動量や食事量によっても適量は変わってくるので、愛犬に合わせて調節してあげてください。

犬にピーマンを与える時の注意点

犬にピーマンを与える時の注意点

どのような食べ物でも、犬に与えるときにはその食べ物がその子の体質に合わないことがないかどうかを確認する必要があります。ピーマンを食べることで愛犬が不調にならないよう、与えるときに注意したい点を解説します。

ピーマンでもアレルギーが起きる?

犬がピーマンにアレルギーを起こした、という報告はないようですが、人ではピーマンが花粉症に関連した口腔アレルギー症候群の原因の一つになると言われています。

慣れない食べ物を犬に与える時には、食物アレルギーや体質に合わないことがないか、注意しましょう。初めての物を食べさせるときは、ごく少量を与えて様子を見て、大丈夫なようであれば、少しずつ量を増やしていきましょう。食べ慣れてきた後でも、嘔吐、下痢、体をかゆがる、フケが出るなどの症状があれば、その食材を与えるのをやめ、症状が出なくなるか様子を見たり、病院を受診したりしましょう。

食物アレルギーを持っている場合、はじめて食べたときではなく続けて何回か食べているうちに症状が出ることや、普段のフードに含まれている材料にアレルギーがある場合は普段から軟便だったり若い頃からいつも皮膚をかゆがるようなこともあります。皮膚の異常や嘔吐や下痢、軟便などは食物アレルギーが原因のこともありますので、それらの異常が続いたりしょっちゅう起こる場合には、「いつものこと。体質だからしょうがない。」と決めつけずに、動物病院に相談しましょう。

嘔吐や下痢などの消化不良による症状に注意する

ピーマンは犬にとっては消化しにくい食べ物です。消化の負担にならないように、加熱調理したり切り方に工夫したり与え過ぎないようにしましょう。

それでも胃腸の弱い犬や消化器官が未発達な子犬は、消化不良で嘔吐や下痢をしてしまう可能性が考えられます。

体質に合わないようなら、無理してピーマンを食べさせる必要はありません。他にも健康によい食べ物はたくさんあるので、愛犬の体質に合うものを選んで栄養を摂取しましょう。

喉に詰まらないように注意する

どのような食べ物でも、犬が喉に詰まらせないように、食べやすくしたり飲み込みやすくして与えることが大切です。ピーマンも細かく刻んで与えるのが、最も喉に詰まりにくい方法でしょう。細かくすることで消化しやすくなり、お腹に優しくなります。

ヘタは硬くて喉や消化器官に詰まりやすい部分なので、必ず取り除くようにしてください。大型犬の場合でも、丸ごとのピーマンを与えずに、きちんと適切な大きさに切ったものを食べさせましょう。

アルカロイドが関節炎を引き起こす?

ピーマンなどのナス科の植物には様々な種類のアルカロイドが含まれます。アルカロイドは植物毒の一種で、食べる量によっては有害な作用をもたらします。

「ナス科植物のアルカロイドは、人で関節炎を引き起こしたり悪化させたりする可能性があるので、犬でもピーマンやトマト、ナスなどのナス科植物を与えるには注意が必要。」という記事をよく見かけます。

しかし、人での話は科学的な根拠に乏しいようですし、犬にトッピングや手作り食の食材としてピーマンを少量与える程度では、健康を害するような量のアルカロイドは含まれないので安心してください。

まとめ

ピーマンは犬が食べても大丈夫な野菜です。栄養も豊富でがん予防や免疫力の向上、血液の流れをサラサラにして血栓ができるのを防いだりする、と言われている成分を含んでいます。

ただし、消化不良を起こしたり体質に合わないこともあるので、与える時には注意が必要です。消化の負担にならないように、そして喉詰まりを防ぐために細かく刻んで、ヘタや種は取り除いて与えましょう。

ピーマンは、加熱することでも消化しやすくなるので、愛犬のために加熱調理して、手作りご飯の材料にするのもよいですね。ピーマンを使った犬用のレシピがあるのでぜひ探してみてください。

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