犬がタピオカを食べても大丈夫?アレルギーや窒息などのリスクについて

犬がタピオカを食べても大丈夫?アレルギーや窒息などのリスクについて

もちもちした食感がたまらないと、定着した感のあるタピオカドリンクですが、犬に食べさせても大丈夫なのでしょうか?新しいものを初めて愛犬に与える時は、常にアレルギーが出ないか気を付けなくてはいけませんよね。でも、タピオカって気を付けるのはアレルギーだけではないのです。実はタピオカはヘルシーそうに見えて、意外と高カロリー食品なのです。

犬がタピオカを食べても大丈夫?

タピオカと三角の札をもった犬

基本的にタピオカ自体はほとんど炭水化物(糖質)で危険な成分は含まれていないので、犬が食べても大丈夫です。

では、犬が食べても問題ない食品だから、タピオカをおやつとして犬に与えてもよいのか?と言うと、これはまた別なお話。犬にタピオカは与えない方が良いでしょう。

そもそもタピオカとは

そもそもタピオカとは何かといえば、原料はキャッサバというイモです。

全世界において主食にするイモ類ではじゃがいもに次いで第2位の生産量となっており、ブラジルでは主食のひとつとして欠かせない食材で、他の南米諸国ではユカと呼ばれています。

のちにポルトガル人によりアフリカ諸国へと栽培が広がり、現在世界の熱帯地帯で栽培されています。

乾燥地や酸性土壌、栄養の少ない土壌など栽培条件の厳しい痩せた土地でも育つため、近年は食料問題やバイオ燃料として地球温暖化問題の解決につながるとして期待されている作物です。

タピオカ粉はでん粉

タピオカ粉はでん粉

このように大変有用な作物であるキャッサバですが、残念なことには生食できません。

このキャッサバの外皮には毒物のシアン化合物が含まれているため、外皮を剥き毒抜きをする必要があります。外皮を剥いたキャッサバをすりおろしたのち、水に晒し取り出したでん粉が「タピオカ粉」と呼ばれるものです。

日本へはこの毒抜き処理を済ませたタピオカ以外の輸入は許可されていないので、安全面に関しては問題ありません。

タピオカパールは炭水化物の塊

「タピオカ粉」は水を加えると、非常に糊化しやすいという特徴を持っています。

この「タピオカ粉」を糊化したものを、遠心分離機にかけ粒状にしたものを乾燥させたのが「タピオカパール」となります。私たちがミルクティーなどで食べているのは、この「タピオカパール」を2時間近くゆで戻したものです。

タピオカ粉はグルテンを含まず、タンパク質もほとんどありません。そのため、小麦粉などのグルテン・アレルギーの代用としても使用されています。

また非常に粘性が強いので、食品の増糊剤としてもちもちした食感維持のために使われることがあります。冷凍用うどんや白い鯛焼きなどにも使われているそうです。

犬にタピオカを与えないほうがいい理由

医者が人差し指を上げている

食品として与えても成分的には問題ないタピオカですが、では犬にタピオカをあげない方がよいのはなぜでしょう?

その理由は、高カロリーによる肥満、アレルギーの可能性、窒息の危険性など、いくつかあります。それでは詳しく見てみましょう。

高カロリーなので肥満につながる

実は「タピオカパール」は乾燥状態だと、100gあたりのカロリーは355kcalと高カロリーですが、ゆでたタピオカパール自体は水分を多く含むので、栄養価としては100gあたり炭水化物15.4g、61kcaです。

乾燥した100gとゆでた100gでは当然嵩が違いますから、こうしてみるとタピオカティーはカロリーがさほど高くない、ヘルシーではないかと思ってしまいがちですが、通常私たちがタピオカを食べる場合、甘くして食べますよね。

なぜならタピオカ自体には味も色もなく、あの独特のもちもちした食感を楽しむために、甘いミルクティーやアイスクリームなどのトッピングとして食べるので当然カロリーが高くなります。

中にはシロップで甘く煮てあるタピオカもありますよね。当然ながら摂り過ぎは人間でも肥満に繋がります。ダイエット中の犬や、すでに肥満の問題を抱えている犬にはあげないことです。

アレルギー症状を引き起こす可能性がある

「タピオカ粉」自体にはグルテンを含まないので、グルテンフリーとしてドッグフードにも使用されていますが、人間が食べる「タピオカパール」には、グルテン以外にも意外なアレルゲンの落とし穴があります。

それはタピオカティーでよく見かける黒いタピオカパール、この着色された黒いタピオカパールの色付けに、キャラメルで色付けするより黒色がくっきり出るという事で、イカ墨が使われていることがあるからです。

イカは甲殻類アレルギーを引き起こし、時にはアナフィラキシーショックで命の危険にもつながることがあります。甲殻類アレルギーを持つ犬には、絶対に与えてはいけません。

窒息の危険性がある

もちもち食感のタピオカは噛みにくく、人間でもうまく噛んだり飲み込んだりできない小さい子供の場合、喉に詰まらせ窒息しそうになることがあります。

犬は習性として噛まずに飲み込むことが多いので、やはり粒の大きなタピオカは窒息の危険性があります。

また、あまりに大量のタピオカを摂取した人が、腸閉塞を引き起こしたという事例があります。犬は人より器官が小さいので、特に小型犬の場合注意が必要です。

うっかり大量に食べてしまった場合、充分に様子を観察する必要があります。犬は甘いものが好きなので、一度味を覚えてしまうと、盗み食いの危険性も増えてしまいます。最初から与えない方が無難です。

タピオカティーで使われている牛乳が消化不良につながる

タピオカティーとして人気のミルクティーですが、犬は牛乳に含まれている乳糖を分解する消化酵素「ラクターゼ」が少なく、うまく小腸で消化分解できないため、犬が牛乳を飲むと下痢や消化不良を引きおこすことがあります。

また稀ではありますが、牛乳アレルギーの犬もいます。タピオカミルクティーは犬にとって、こうしたいくつかのアレルゲンを含む食品なのです。

もしタピオカを食べて、犬が口元や目元などのかゆみを気にしたり、下痢を起こしたりした場合は、すぐに動物病院に連れていきましょう。

その際には、いつ、何を、どのくらい食べたかという事を、きちんと伝える必要があります。パッケージされた商品には成分表示が書かれているので、確認することが大事です。

タピオカパール代用品「こんにゃくタピオカ」にも問題がある

実は日本ではタピオカパールの代用品として、市販のタピオカにはこんにゃくが使われていることが多いのです。

タピオカパールはゆでた状態で長時間保存すると、膨張してぶよぶよになってしまい、あのもちもち感が失われてしまいます。

そのため、もちもち感を出すために工場で生産され、パックされた状態のタピオカドリンクやデザートのトッピングには、代用こんにゃくタピオカが使用されています。

こんにゃく製造過程において使用される苛性ソーダや水酸化カルシウムが原因だと思われますが、こんにゃくは意外とアレルギーが出る食品なので、注意が必要です。

ドッグフードにタピオカが使われているって本当?

ドッグフード

犬には与えない方がよいタピオカパールですが、加工されていないでん粉としてのタピオカ粉は、水を加えると糊化しやすい特性を活かして、ドッグフードの形状をまとめる役割をしています。

また、グルテンやタンパク質をほとんど含まないため、小麦粉などの穀物の代用として、グルテンフリーのドッグフードレシピに使用されています。

ロイヤルカナンのセレクトプロテイン(ダック&タピオカ)は、食物アレルギーの原因になりにくく消化性の高いたんぱく源であるダックと、炭水化物タピオカを使用した、食物アレルギーを持つ犬のための療養食として特別に調製されたフードです。

食物アレルギーによる皮膚疾患や、消化不良など消化器の問題を抱える犬におすすめです。療養食なので獣医師のアドバイスに従って与えるようにしましょう。

まとめ

私たちにとっては甘くてもちもちした食感がおいしいタピオカですが、栄養素としてはほとんどが炭水化物、つまり糖質の多い高カロリー食品です。

商品によってはイカ墨やこんにゃくなど、アレルギーを引き起こす要素も含むので、犬には与えない方が良いでしょう。特に小型犬の場合は飲み込み不足による窒息の恐れもあるので、あげない方が安心です。

もし与える場合は、少量を与え、必ず様子を観察しましょう。そして、かゆみや腫れなどのアレルギー反応が出たり、消化不良による下痢などをおこしたりした場合は、速やかに動物病院に連れていきましょう。

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