犬に揚げ物を食べさせてはダメ!
人がおいしそうに食べている間、犬が横にぴったりとくっついて離れないときってありますよね。根負けして人の食べ物を与えてしまったり、少しなら…と食べさせてしまうことありませんか?
特に揚げ物は調理中にもいい香りが立ちますし、犬が欲しがることも避けられません。しかし、犬が揚げ物を欲しがっても与えてはいけないしっかりとした理由があります。
ただなんとなく「ダメではないか?少しなら大丈夫?」など色々な疑問があると思いますので、ダメな理由や犬が揚げ物を食べた時の対処法などをお伝えしていきます。
犬に揚げ物を食べさせていけない理由
犬に揚げ物を食べさせてはいけない理由としては、ひとことでいえば「病気を引き起こす可能性がある」からです。
きちんと理由を知れば、少しならばいいかという気持ちや、たいしたことはない…という認識は、間違っていると気付くでしょう。
では、犬が揚げ物を食べてはいけない理由を詳しく解説していきます。
下痢や嘔吐を引き起こす
揚げ物を与えると、下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。
普段食べなれていない食べ物を与えると、胃腸に負担がかかります。油分は、嗜好性が高く食欲をそそりますが、犬にとっては消化時に負担がかかります。
また、単純に普段摂取しない油分に気持ち悪くなって嘔吐する場合もあります。人間でも体調によって、揚げ物を受け付けないときがあるのと同じです。
膵臓に負担がかかる
膵臓は消化酵素をたくさん作っています。膵臓で作られた消化酵素は十二指腸に運ばれ、そこで食べたものを消化しています。
油分の多い食べ物を犬が大量に食べると、膵臓は一生懸命消化しようと大量に消化酵素を作ります。急に消化器官が活発に働くので負担がかかってしまうのです。
肥満の原因になる
油分の多いものを食べ続けることによって、カロリーの過剰摂取が肥満の原因になります。
犬はドッグフードで必要カロリーがとれているはずなので、基本的には人間の食べ物は必要ないのです。ただ、おいしそうに食べているものをしつこくねだるからと毎日少しずつでも揚げ物を与えることで、脂肪が蓄積して肥満になる可能性は避けられません。
肥満になると、いろいろな臓器に負担がかかる、足腰に負荷がかかり運動ができなくなる、など体にとって良くないことばかりです。
健康管理に絶対必要な、体重の管理をしっかりしていくことが長生きの秘訣なので、肥満の原因となる油分の多い揚げ物は避けましょう。
アレルギー反応の危険性がある
揚げ物の多くは、食材の周りに小麦粉(薄力粉)を付けるなどして調理するものが多いです。小麦アレルギーの犬は注意してください。
アレルギー診断されている犬だけが注意が必要なわけではありません。何が原因でアレルギー症状が出るかはわからないので、揚げ物に限らず様々な人間の食べ物を与えることは、アレルギーの危険と隣り合わせだと認識しておいてください。
もし揚げ物を食べた後に、以下の症状がある場合は獣医師に相談しましょう。
- 下痢嘔吐などの消化器症状
- 皮膚のかゆみや赤み
- 目の充血やかゆみ
- ショック症状(痙攣など)
塩分のとりすぎ
もちろん犬にも塩分は必要ですが、人間に必要な量ほどの塩分は必要ありません。基本的にドッグフードからの摂取で十分です。
揚げ物の味付けに使用される塩分が、腎臓に負担がかかる場合があります。人間がおいしいと感じる味付けは、日常的に与えた場合は犬にとっては塩分過多になります。
日常的に与えなくても、一時的に非常に塩分の高い食事を与えることによって、中毒症状を起こすことも考えられますので気を付ける必要があります。
揚げ物にする食材が犬にとって良くない可能性がある
揚げ物といっても、さまざまな種類があります。
- 唐揚げ
- 天ぷら
- コロッケ など
これらの揚げ物は、何かの食材を油で揚げているわけです。そもそも、揚げ物の食材自体が犬が食べても大丈夫なものなのか?という判断も必要になるわけです。
例えば、コロッケの中身はどうでしょうか?
原材料になる可能性があるものとして、ジャガイモ・ひき肉・玉ねぎなど、犬が食べてはいけない食材として玉ねぎは有名ですが、細かく練りこんであれば玉ねぎが入っているとは判断がつきにくいです。
から揚げも、味付けにネギやニンニクをたくさん使用している場合があります。イカの天ぷらは、イカ自体が消化に悪い…など、例をあげていくと、きりがないぐらいにたくさんの注意が必要になります。
犬が揚げ物を食べてしまったときの対処法
与えてはいけないとはわかっているけど、犬が欲しがるからと来客や子どもが与えてしまった、落ちた揚げ物を間違って食べてしまった、などの可能性はあります。
気を付けていても避けられないこともあるのが現実。もし揚げ物を犬が食べた場合に、飼い主がすぐにできることや、やるべきことなどをまとめました。
少量で元気な場合は経過を観察
落ちた揚げ物を少しだけかじったなど、少量の場合は経過観察で良い場合があります。
- 下痢嘔吐
- 元気がない
- 食欲がない
- おなかを痛がっている様子がある(背中を丸めているなど)
このような症状があれば、すぐに獣医師に相談してください。
上記のほかにも、なにかいつもと変わった様子がある場合にはすぐに獣医師に相談が必要ですが、特にいつもと変化が見られない場合は、経過観察しても問題ないでしょう。
ただし、経過の観察をする場合には、
- 揚げ物を食べた時間量
- 便の様子
などをしっかりとメモしておき、なにかあったときにすぐ獣医師に説明できる状態にしておくとスムーズに治療を開始できます。
下痢や嘔吐などの症状が見られたら動物病院へ相談する
上記の症状の中で、下痢と嘔吐している場合は特に注意が必要です。
下痢や嘔吐を繰り返すと、体の小さな犬は脱水症状を引き起こします。極度の脱水は命に関わることもありますので、繰り返す場合は早急に受診が必要です。
そして、揚げ物を食べたことで引き起こす可能性がある病気に、急性膵炎という病気があります。先ほど、膵臓は消化酵素を作り、その酵素が十二指腸で消化を行う仕組みを説明しました。
揚げ物を食べる習慣がない犬が食べた場合に、膵臓が消化をしようと突如消化酵素を大量に分泌することによって、膵臓自体が分泌された消化酵素によって炎症を起こす可能性があります。
急激な炎症により、激しい腹痛を伴って下痢嘔吐を引き起こす可能性があります。
前足を伸ばしたまま、お尻を揚げた姿勢や、背中を丸めて元気がない場合は、腹痛を起こしている場合が考えられます。下痢嘔吐と同時に腹痛の症状も観察をして、獣医師に相談をしてください。
また、膵炎には慢性膵炎という病気もあります。高脂肪の食事を与え続けることによって、膵臓が慢性的に炎症を起こすことで膵臓が硬くなり、いずれ体調不良を起こします。
慢性膵炎は、気付かないうちに症状が悪化していく病気です。普段から揚げ物を食べさせてしまっている飼い主さんは注意が必要です。
飼い主が吐かせるのはNG!
犬が揚げ物を食べたからと言って、慌ててインターネットで調べて吐かせようとする飼い主さんがいるようですが、大変危険です。
塩とオキシドールを使用して吐かせる方法を書いている記事がありますが、獣医師が行う方法であり、一般の人が行うのは危険な行為です。
誤嚥(ごえん)といって、気管などに間違ってオキシドールが流れて呼吸ができなくなる場合もあります。揚げ物を食べてしまって不安なときでも、慌てずにまずは犬の様子を観察することが大切です。
まとめ
犬が揚げ物を食べてはいけない理由としては
- 揚げ物の油分は様々な症状を引き起こす可能性がある
- 塩分の過剰摂取になる
- 揚げ物に使用されている食材が犬にとって良くない可能性がある
対処法としては
- 危険な症状かどうかしっかり観察すること
- 何か変わったことがあればしっかり獣医師に相談すること
犬にとって人間の食べ物は危険がいっぱいですね。
揚げ物は人間にとっても魅力的ですが、嗅覚が優れている犬にとっても食欲をそそられる食べ物なのです。味が濃い食べ物は犬も美味しいと感じるので、一度与えてしまうとおねだりも激しくなる傾向にあります。
そのため、人間が揚げ物を調理する際や食事をする時は、犬をゲージに入れて落ち着かせる方法で犬が余計な食べ物を食べる危険を回避していけるといいと思います。