犬にコーラを飲ませるのは危険!
コーラやサイダー、ジュースなどの炭酸飲料は糖分や添加物が多く入っています。犬にとって体に良くない飲み物なのは明らかです。そして、コーラには犬が中毒症状を引き起こす成分が多く入っています。
もし人間よりも体の小さい犬が誤飲してしまったら、強い中毒症状が出て死にいたる場合もあります。コーラに含まれるどのような成分が犬に危険を脅かすのでしょうか?
犬にコーラを飲ませてはいけない理由
人間にはとっても美味しく、ピザやハンバーガーには欠かせないコーラですが、犬にとっても中毒性のある飲み物です。
その理由には、コーラの原料のコーラナッツに中毒性のあるカフェイン、デオブロミン、糖分が含まれているからです。それでは、それぞれの成分にどのような危険があるのでしょうか。詳しく解説していきます。
カフェイン中毒の危険性
もし犬がコーラをたくさん飲んでしまったら、コーラに含まれるカフェインの作用で、数時間もたたずに犬の中枢神経が刺激され、興奮しやすくなり、落ち着きが無くなります。
さらにひどくなると、不整脈、下痢、嘔吐を引き起こし、更には尿失禁、痙攣、呼吸困難、高血圧、脱水症状、筋肉硬直などを経て死にいたる場合もあります。
カフェインはコーラ以外にもコーヒー、紅茶、緑茶、栄養ドリンク、ココア、チョコレート、ガムなどにも含まれています。普段、私たちが愛飲するものばかりなので誤飲させないように気をつけなければいけません。
では、犬がどのくらいの量のカフェインを摂取したら危険なのでしょうか?
〈カフェインの致死量〉- 犬の体重1kgあたり:100~200mg
- 犬の体重3~5kgあたり:300~1000mg
- 犬の体重5~10kgあたり:500~2000mg
- コーラ:10~13mg
- インスタントコーヒー:60mg
- ドリップコーヒー:135mg
- エスプレッソコーヒー:140mg
- 紅茶:30mg
- 栄養ドリンク:30~50mg
- エナジードリンク:100mg
体重1kg前後の子犬にとっては、コーヒー1杯分でもカフェインが120mg以上あるので危険です。しかし、これらの数値はあくまでも目安です。
犬の個々の性質や体調によって少量でも致死量にいたることがあります。このほかに、高カカオチョコレートにも100mgあたり70~120mg、ミルクチョコレートで25~35mgのカフェインが含まれています。
テオブロミンの危険性
コーラの原料であるコーラナッツに含まれる、デオブロミンという成分にも犬を中毒にさせる危険があります。
デオブロミンはカフェインととても良く似た成分構造をしていますが、作用がカフェインよりもゆっくりすすみます。血管を拡張させ血流アップさせ、体温の上昇で冷えの改善、そして脳内物質のセロトニンに働きかけて、リラックス効果があります。
人間はデオブロミンを体内で分解することができるのですが、犬にはそれが難しいです。犬はデオブロミンの分解速度がとても遅いため、たくさん摂取すると体内のデオブロミンの残留時間が長くなり、カフェインと同じような中毒症状を起こしてしまいます。
デオブロミンはコーラにも含まれますが、チョコレートにも含まれます。犬にチョコレートが危険と言われる理由はそのためです。
ではどのくらいの量のデオブロミンが犬に危険があるのでしょうか?下記の数値はあくまでも概算であり目安です。
コーラやチョコレート製品にはデオブロミンの含有量までは詳しく記載されていません。そして、チョコレートには高カカオやミルク、ホワイトなど種類によって成分量が異なるため正しいデオブロミンの量を知るのは困難になります。それを踏まえた上で以下を参考にしてください。
〈デオブロミンの致死量〉- 体重1kgあたり:100~200mg
- 体重3~5kgあたり:300~1000mg
- 体重5~10kgあたり:500~2000mg
〈コーラに含まれるデオブロミン含有量〉
コーラに含まれるデオブロミン含有量は各メーカーでも記載がないので不明です。コーラナッツを使用していないコーラもあります。しかし、デオブロミンが含まれている可能性はあるので、犬にコーラをのませるのは危険なのでやめましょう。
- 高カカオのダークチョコレート:5~20mg前後
- ミルクチョコレート:2g前後
- ホワイトチョコレート:~0.05mg
- ココアパウダー:5~20mg
よくみなさんが食べるミルクチョコレート1枚(約55~60g)に換算すると110~120mgのデオブロミンが含まれているので、トイプードルやチワワなど個体の小さい犬が誤食してしまうとチョコレート中毒を引き起こしとても危険です。
デオブロミン1kgあたり20mgでも体に異常をきたすことがあり、酷い場合てんかんのような発作が起こり死にいたる場合もあります。猫に関しては、これらの数値より少なくても危険です。
糖分による肥満や中毒の危険性
コーラに限らず、ジュースやサイダーには砂糖が多く使われているので、犬が日常的に摂取していると血糖値が上がり、肥満や糖尿病になる恐れがあります。
野生の犬は本来、砂糖を使用した食べ物は取りません。ですが、コーラのように甘くて美味しい飲み物を誤飲してしまうと、味のおいしさに、もっと、もっと、と欲しがる可能性があります。
これが日常化してしまうと、砂糖を大量にとらずにはいられない、砂糖依存症になる危険があります。
コーラを飲むと虫歯になりやすい
犬にコーラやジュースを飲ませる事で、虫歯のリスクもあがります。糖分の多い炭酸飲料は人間だけでなく、犬にとっても悪影響な事が多いのは明らかです。
甘やかした飼い主が、毎日コーラを愛犬に飲ませたことが原因で、犬が虫歯で12本も抜歯に追い込まれた事例もあります。犬の虫歯はひどくなると歯槽膿漏や歯肉炎を引き起こし、歯茎から菌が入り込み、顎の骨を溶かすこともあります。
老犬になると、抜歯で麻酔をかけることも難しくなるので、虫歯にならないように普段から糖分のあるものは飲ませないようにしましょう。
炭酸飲料の炭酸ガスも危険です
コーラやサイダーの炭酸飲料には気体の二酸化炭素が溶かしこんであります。
犬に炭酸飲料を大量に飲ませてしまうと、お腹に炭酸ガスが溜まってしまい苦しくなってしまいます。人間と違って、4足歩行の犬は気道が横を向いているので、うまくゲップが出せません。満腹感もあるので、餌を食べてくれなくなる事もあります。
犬がコーラを飲んだときの対処法
少量のコーラを舐めてしまった程度なら、体に影響が出ない事が多いですが、うっかり飲んでしまった場合はどのように対処すれば良いのでしょうか?
犬を冷静に観察する
犬の体の変化を冷静に観察してください。飲んでから数時間もたたずに初期症状が出ることが多いです。震えや、興奮、よだれ、下痢、嘔吐、ふらつきなどないか良く観察しましょう。
飲んだ量を把握する
どのくらいの量のコーラを飲んでしまったのか、飲んでから何分経っているかなど病院に詳しく伝えられるようにしておきましょう。
動物病院へ
犬がコーラを誤飲した場合、飼い主さんができることは限られています。飲ませたコーラをむりやり吐かせるのは危険なので、獣医師の指示に必ず従ってください。急に容体が変化してからでは遅いので必ず病院で診てもらい、対処してもらいましょう。
まとめ
犬にコーラをのませてはいけない危険な理由をいくつか述べてきました。カフェインやデオブロミン、加えて糖分など犬にとっては危険な成分がたくさんあります。
普段から私たちが飲むコーヒーや紅茶にもカフェインがあるので、犬が誤飲しないように、いつもテーブルは片づけて安全な環境にしておくことが大切ですね。
ゴミ箱をあさる癖のあるワンちゃんはコーヒーの豆カスにも注意です。