犬ははんぺんを食べていい!
ふわふわの食感が特徴的なはんぺんは、寒い時期に食べるおでんの定番具材の一つとして有名です。
美味しそうにおでんのはんぺんを頬張っていたら、愛犬に欲しがられてしまった。はんぺんを犬に与えてよいものなのか分からず、困った飼い主さんはいませんか?
はんぺんとは、魚肉のすり身に山芋などを混ぜて、湯に浮かせて熱し固めた食材です。また主原料である魚肉には、スケソウダラやヨシキリザメを使用しています。
そのため、基本的には犬がはんぺんを食べても問題はありません。むしろ、必要な栄養素を摂ることができます。
犬がはんぺんを食べることで期待できる効果
犬がはんぺんを食べた場合には、以下のような栄養と効果を得ることが期待できます。ただし、以下の効果は人間が食べた場合を想定しています。そのため、犬が食べた場合では多少効果に差があります。
体を動かす主なエネルギー源である「炭水化物」
はんぺんは、主成分である水分を除き、一番多い成分が炭水化物です。炭水化物は体内で吸収され、体を動かす主なエネルギー源として利用されます。
筋肉や皮膚、骨の形成に関わる「たんぱく質」
はんぺんは、たんぱく質も豊富に含む食品です。たんぱく質は、筋肉や臓器、皮膚、骨、毛といったさまざまな器官を構成するために必要な栄養素になります。
体内の水分量・血圧をコントロールする「ナトリウム」
はんぺんに含まれるナトリウムは、ミネラル成分の一つです。ナトリウムはカリウム等とともに、体内の水分バランスのコントール、血液成分や血圧を一定に保つよう調整する働きがあります。
骨の強化維持に効果的な「リン」
はんぺんに含まれる成分のリンは体内でカルシウムとともに、骨の強化維持に重要な成分です。
貧血予防に効果的な「鉄分」
はんぺんは、貧血予防に効果がある鉄分も含んでいます。鉄分は全身に酸素を運ぶ役割の赤血球の主成分であるヘモグロビンを作るために、必ず必要な栄養素です。
犬にはんぺんを与えるときの注意点
犬にはんぺんを与える場合には、与えすぎないこと、添加物に注意する必要があります。
与えすぎに注意する
はんぺんをワンちゃんが過剰に摂取した場合には、以下のようなことを引き起こす可能性があります。愛犬へはんぺんを与える場合には適量にしましょう。
過剰な塩分摂取が健康トラブルになってしまう
はんぺん1枚(100g)には塩分が1.5g含まれています。これは、成犬の一日に必要な塩分量の0.05g/kgと比べても多いことがお分かり頂けると思います。
より具体的にいうと、体重5kg程度の小型犬では塩分が一日に0. 25gが適量です。犬が食べられる、はんぺんの量に換算すると「角をごく少量ひとつかみした程度の1.7g」です。
犬が塩分を過剰に摂取した場合には、体内の塩分濃度を薄めようとして、水分を多く摂取するようになります。
すると、体内の水分量に比例して血液量も増え、体中に血液を循環させるポンプの役割である心臓に負荷がかかり、心臓病を引き起こす可能性が高まります。
さらに、心臓病を発症した場合には血液をろ過する機能を持つ腎臓にも負荷がかかり、腎臓病を併発する可能性があります。
炭水化物の過剰摂取は肥満になりやすい
はんぺんは、主成分である水分を除き、一番多い成分が炭水化物です。その量は、はんぺん1枚(100g)あたり、炭水化物が11.4g含まれています。
一般的に、体重5kg程度の小型犬に必要な一日の摂取カロリーは429kcalです。炭水化物で換算すると、一日で約100gの炭水化物が摂取可能といえます。
仮に小型犬がおやつとして、3枚のはんぺんを食べただけでも、一日分の摂取カロリーの約3割を摂取したことになります。
その他にも主食であるドッグフードを食べた場合には、一日の摂取カロリーを大幅に超え、栄養も偏ることで、愛犬は肥満になりやすいです。
食品添加物でアレルギーを起こす可能性がある
はんぺんには、犬の体に悪い影響がある、以下のような食品添加物が含まれています。
〈はんぺんに含まれる食品添加物〉- 加工でんぷん(はんぺんを混ぜる固める)
- リン酸塩(はんぺんの形成食感をよくする)
- 化学調味料(はんぺんの味を整える)
- 増粘多糖類(はんぺんの粘り気とろみをつける)
愛犬の体質や体調によっては、これらの食品添加物によりアレルギー症状を起こす可能性もあるため、注意が必要になります。
犬にはんぺんを与えるときのポイント
ワンちゃんにはんぺんを与える際の注意点をご紹介した後は、実際に愛犬へはんぺんを与えるときのポイントについて解説します。
無添加のものを選ぶ
はんぺんには、犬の体に悪影響な食品添加物が含まれています。そのため、お店で購入したはんぺんを与える場合には「無添加のはんぺん」を選ぶようにしましょう。
塩抜きをする
1枚100gのはんぺんには、ワンちゃんにとっては過剰な塩分が含まれています。そのまま愛犬へ与えるのではなく、「塩抜き」してから与えましょう。
〈塩抜きの方法〉以下の塩抜きで、はんぺんの塩分を70%程度減らすことができます。
- はんぺんを細かく切る
- 鍋にはんぺんの倍の量の水を沸騰させる
- 沸騰したお湯に、はんぺんを投入し、すぐに火を止める
- そのまま1分待つ
- 1分経過したら、ざるにはんぺんをあげる
- 水ではんぺんを締める
- 水気を取り除けば、完成!
加熱したらよく冷ます
愛犬へはんぺんを与える際には、人間と同様に加熱してから与えることが多いと思います。おでんのはんぺんを思い浮かべると、加熱したはんぺんはとても熱いです。
そのまま愛犬へ与えてしまった場合には、口の中をやけどしてしまう可能性があります。犬が口内をやけどした場合には、食事が十分に摂れず、体が弱ってしまう危険性があります。
加熱したはんぺんを愛犬へ与える場合には、必ずよく冷ましてから与えてください。
食べやすいサイズにカットする
お店で販売しているはんぺんは1枚が100g程度で、縦横それぞれ10cm程度のものが多いです。その大きさのはんぺんをそのまま愛犬へ与えた場合、ワンちゃんによっては喉に詰まらせてしまう可能性があります。
そのため、必ず飼い主さんが親指と人差し指で摘まんだ程度の一口サイズに、食べやすくカットして与えるようにしましょう。
一日の摂取量を守る
犬が一日に摂取可能なはんぺんの量は「犬の摂取カロリーの20%」といわれています。より具体的に挙げると、以下のようになります。必ず愛犬の体格に合わせた一日の摂取量を守って、はんぺんを与えるようにしましょう。
超小型犬:体重5kg以下
超小型犬の一日に摂取可能なはんぺんの量(塩抜き後)は、1枚100gのはんぺんで約1/2枚です。
小型犬:体重10kg以下
小型犬の一日に摂取可能なはんぺんの量(塩抜き後)は、1枚100gのはんぺんで約2枚です。
中型犬:体重20kg以下
中型犬の一日に摂取可能なはんぺんの量(塩抜き後)は、1枚100gのはんぺんで約3枚です。
大型犬:30kg以下
大型犬の一日に摂取可能なはんぺんの量(塩抜き後)は、1枚100gのはんぺんで約4枚です。
まとめ
今回は犬がはんぺんを食べても大丈夫であることから、与える場合の注意点やポイントまでをご紹介しました。
ワンちゃんにはんぺんを与えることは、基本的には健康上に問題はありません。むしろ、必要な栄養素を摂取することができます。愛犬にはんぺんを与える際には、ぜひ今回紹介した注意点やポイントに気を付けてあげましょう。