犬にマヨネーズを食べさせてはいけない!
色々な食材や調理工程にも使えるマヨネーズ。卵、油、お酢といったシンプルな調味料で作られているマヨネーズは糖質が低く、糖質の高いドレッシングをかけるよりもダイエットなどに良いと言われています。
また、味も濃厚なので人によっては「マヨラー」なんて言われる程マヨネーズが好きな人もいますが、犬の場合は賛否両論あるものの基本的にはNGです。
犬がマヨネーズを食べると、脂質による脂質異常症や肥満、使われている卵によるアレルギー、そして必須脂肪酸の過剰摂取によるビタミンE欠乏症などを引き起こすことがあります。
ここからは、マヨネーズを犬に与えてはいけない理由や、食べたり舐めたりすると起こりうるリスクなどをご紹介します。
犬にマヨネーズを与えてはいけない理由
犬にマヨネーズがNGな理由を詳しくご紹介します。
一般的なマヨネーズは、「卵黄型」と「全卵型」の2種類に分かれています。基本的にマヨネーズは、「卵黄」または「全卵」を使用し、他に食用植物油、酢、または柑橘果汁、食塩、砂糖、アミノ酸調味料などが使われています。これは、日本農林規格(JAS)でのマヨネーズ規格としても定義されているものです。
しかし、中でも食用植物油脂の割合は65%以上であるものが前提とされているため、カロリーハーフのマヨネーズは、厳密に言うと「マヨネーズタイプ」という括りになるのです。
上記の決まりでも分かるように、マヨネーズとして区分されるもののほとんどは「油」でつくられています。犬が大量に摂取すると、肥満リスクや卵アレルギーの危険性を高める結果に繋がるので、与えるのはNGと言えるでしょう。
ここから先はマヨネーズによるそれぞれのリスクについてご紹介します。
卵アレルギーを引き起こす可能性がある
まず一つ目にマヨネーズのリスクとしてご紹介するのは、卵アレルギーの危険性についてです。
分量はメーカーによって異なりますが、マヨネーズには卵が使われています。マヨネーズ大手のキューピー株式会社では3.6個分の卵が使われているため、マヨネーズが多く使われているポテトサラダは要注意です。
ポテトサラダには玉ねぎ、塩、胡椒など犬に与えるのがNGな食材や調味料も含まれています。卵アレルギーだけでは済まない可能性が十分に考えられるので、ポテトサラダを作る際には、決して目を離さないように気をつけてあげてください。
また、万が一誤って犬がマヨネーズの入った料理を食べてしまい、卵に対するアレルギー反応を示してしまった場合には、アナフィラキシーショックや痒み、下痢や嘔吐などの危険性が出てしまう可能性が考えられるので、出来るだけ早く獣医師さんに診察してもらうように心掛けてあげてください。
脱毛や食欲不振の原因になる
マヨネーズの原料となる卵に含まれるビオチンは、脱毛や食欲不振の原因となります。
ビオチンは、自然の食物の中に広く存在しているビタミンの一種で、エネルギーの貯蔵やアミノ酸の代謝、タンパク質合成などに必要とされているものです。
しかし、卵白に含まれるアビジンがビオチンに結合するとビオチンの効果を阻害し、顔面や目の周りの脱毛、食欲不振の症状を引き起こす可能性があります。
基本的に、マヨネーズに使われている卵は生卵がほとんどです。野菜スティックやサラダの付け合わせとしてマヨネーズを使用する際は、犬が舐められない高いところで食べるように注意しましょう。
用植物油脂は肥満の原因になる
先程もお伝えしましたが、マヨネーズの65%は主に食用植物油脂が使われています。そのため、一般的な全卵使用のマヨネーズ大さじ1(約15g)のカロリーは約110kcal、卵黄使用のマヨネーズ大さじ1(約15g)のカロリーは約100kcalと高カロリーです。
犬にマヨネーズを与えると、脂質異常症や肥満の原因になります。マヨネーズそのものだけでなく、エビマヨやオーロラソースなどマヨネーズを使う料理や調味料などにも気をつけてください。
ビタミンE欠乏症になる可能性がある
マヨネーズに含まれる食用植物油脂は、オメガ脂肪酸を多く含んでいます。オメガ脂肪酸は健康維持に必須な脂肪酸であり、適量であれば問題ありません。
しかし、過剰摂取するとビタミンE欠乏症を引き起こすと、筋肉や皮膚、肝機、生殖などにダメージを受けます。特に肝機能が低下すると、吐き気や嘔吐といった症状が現れ、進行すると肝不全になってしまう可能性も。
マヨネーズだけでなく、オメガ脂肪酸を多く含む油は犬に効果的と言われるものであっても、適正量に注意しましょう。
犬がマヨネーズを舐めると危険な量
ここからは、具体的に犬がマヨネーズを誤飲したときの危険な量はどれくらいなのかをご紹介します。
犬は超小型犬〜大型犬まで存在し、種類により大きさが異なるためマヨネーズを誤飲したときの危険な量に差があります。
サイズ別に危険な量を以下にまとめました。
- 超小型犬(~4kg未満)…小さじ1(杯約5g)
- 小型犬(4~10kg以下)…大さじ1(約15g)
- 中型犬(10kg以上~25kg以下)…大さじ1(約15g)
- 大型犬(25kg以上~)…大さじ1(約15g)
上記のリストを見ると、超小型犬は小さじ1杯、他は大さじ1程度のマヨネーズを与えると危険だと分かります。
前述した通り、マヨネーズ大さじ1杯で100kcalと少量であっても高カロリーです。そのため、もしも超小型犬が小さじ1のマヨネーズを摂取したとしたら、約33kcalを摂取することになります。
例えば、一般的に超小型犬(1~3kg)が一日に必要だとされている摂取カロリーは約120~260kcalです。マヨネーズを小さじ1与えることでドッグフードの量を減らす必要がありますが、栄養価の欠乏、肥満などの危険性があるため現実的ではありません。
他の犬も同様で危険な量に達していなければ大丈夫と考えず、万が一犬がマヨネーズを誤飲してしまった場合は症状の有無にかかわらず獣医師さんに診てもらってください。
犬がマヨネーズを食べたときの症状
犬にとってのマヨネーズの危険性をご紹介してきました。実際に犬がマヨネーズを食べた時、具体的にはどのような症状が現れるのでしょうか?
基本的には大量にマヨネーズを摂取しない限り、命に関わるほど危険という訳ではありません。しかし、量に限らず超小型犬や小型犬は症状が現れる危険性が、中型犬や大型犬よりも高いので、その点を考慮しながら確認していきましょう。
嘔吐や下痢が起きる
マヨネーズを食べて現れる症状のひとつとして、嘔吐や下痢が挙げられます。
嘔吐や下痢はなにかを誤飲してしまった場合に出やすい症状でもあり、胃粘膜や腸のぜん動運動の機能を著しく傷つけることにも繋がりかねません。
料理でマヨネーズを使う際は、犬の手が届くところに置かないようにするなど十分気をつけましょう。
卵アレルギーによる痒みなど
次にマヨネーズを食べた時に考えられる症状のひとつは、卵アレルギーによる痒みや鼻炎、アナフィラキシーショックの可能性です。
卵白に含まれるオボアルブミンというタンパク源が、卵の全タンパク質の60%~65%を占めていてアレルギー反応を引き起こす原因となっています。
食物アレルギーは時として命に関わる大変危険な症状ですので、十分に気をつけてください。
ビタミンE欠乏症による全身トラブル
最後にマヨネーズを犬が食べた時に考えられる症状には、ビタミンE欠乏症が考えられます。これは上記でも少し触れましたが、ビタミンEは高い抗酸化作用があり犬の健康をサポートする成分です。
しかし、マヨネーズに使われている食用植物油脂を摂りすぎるとオメガ脂肪酸の過剰摂取により、ビタミンE欠乏症が生じてしまう可能性が考えられます。
繁殖機能障害や筋肉障害、肝機能障害などの症状を引き起こす可能性があるので、十分注意してください。
犬がマヨネーズを食べてしまったときの対処方法
もしも犬がマヨネーズを食べた際にはまず冷静に動物病院へ連絡しましょう。
ただし、ご自身が外出中で犬がどれくらいマヨネーズを食べたか分からない場合は、その旨を獣医師さんにしっかりと伝えてください。
また、嘔吐や下痢などの症状が現れている場合、長引くと体力を奪うだけでなく脱水症状を引き起こす可能性もあるので危険です。
嘔吐や下痢の回数や愛犬の状態を可能な限り記録しておくと、動物病院で獣医師さんにわんちゃんの状況を伝えられます。
犬に薬を飲ませるためマヨネーズを使ってもいいの?
最後に、マヨネーズを投薬補助として与える場合のリスクについてご紹介します。
結果から言えば、少量であっても投薬補助としては不向きです。
犬には元々薬を飲むという概念がないため、フィラリアの駆虫薬や病気の治療薬などの苦味や薬の独特な匂いそのものに抵抗を示す子も多いでしょう。しかし、マヨネーズを投薬補助として使うのは基本的にオススメしません。
マヨネーズは大さじ1程度でも100kcal以上と高カロリーです。少量のヨーグルトや犬用のチーズ、投薬専用のおやつを使う方が良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?調味料の中でも人気のマヨネーズですが、犬にとっては危険量の範囲内でも体に大変危険な状況をもたらしてしまう場合があります。
犬はマヨネーズを好む傾向があるとも言われているため、手の届くところに置いておくと食べてしまうことも。マヨネーズの過剰摂取は肥満やビタミンE欠乏症などの原因になります。
万が一犬がマヨネーズを食べた際は、症状が出る出ないにかかわらず出来るだけ早く動物病院で診察してもらってください。