犬のご飯の量は適当に決めてはいけない!
犬に適切な量のご飯を与えないとどんな影響が出るのでしょうか。犬の食事量は年齢や犬種、大きさ、餌の種類、さまざまな条件によって異なります。
犬は食事の種類や量、食べる時間が自分で選べるわけではないので、飼い主さんがしっかり管理していないと愛犬の健康を損なう可能性がでてきてしまいます。
そうならないように、食事量が原因で及ぼす可能性がある愛犬への影響を知っておきましょう。
犬の体格に影響する
犬の食事量が適切ではないと、愛犬の体格に影響していきます。
食事量が多すぎると愛犬は肥満になってしまい、関節が悪くなったり、さまざまな病気の原因になったり、寿命を縮めてしまうケガの元になってしまいます。
逆に食事量が少なく痩せすぎてしまうと、免疫低下を招いて感染症などにかかりやすくなってしまいます。
消化不良になる
犬の食事量が適正より多い場合、愛犬の食いつきがよくても消化しきれない可能性があるため、嘔吐を引き起こしてしまいます。
逆に食事量が少ないと空腹になりすぎてしまい、黄色い胃液を吐いてしまったり、一度吐き出したごはんをまた食べてしまったりするといった行動をとります。
低血糖になる
犬の食事量が少なく空腹になってしまうと、低血糖を起こす可能性があります。
もし低血糖になっている場合の症状は、元気消失、嘔吐、震えやけいれんです。低血糖の疑いがありそのような症状がでている場合は、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
成長に影響する
犬が成長段階で食事量が適切ではない場合、成長に大きな影響を及ぼします。
犬の成長期は大きさによって異なりますが、食事量が多すぎると体が段階より早く急成長したり、骨の形成や関節にも大きな問題を抱えたりすることになります。
無駄吠えやおねだりが起こる
犬の食事量が少なかった場合、愛犬は食事ではない時間から空腹になり夜中に飼い主にごご飯をねだったり、もらうために吠えたりとアピール行動をとる時があります。
今までが多すぎたからといって、いきなり極端に食事を減らしてしまっても、犬がストレスを感じてしまうのもやはり問題行動をとる原因になります。
犬に必要なご飯の量を知る方法
犬にとって「散歩」と「食事」というのは、栄養をとる・消化をしていく、という行動だけではなく、生きていく上での喜びにつながる行動でもあります。
食事が適切な量ではないと、さまざまな健康の害があるだけでなく、愛犬の喜びが奪われてしまうかも知れません。逆に、食事量が犬の適正であれば、健康を守れるだけでなく、愛犬の喜びや幸せにつながります。
愛犬の健やかな健康と幸せのために適切な食事量を知っていきましょう。
一日の必要量を計算する
愛犬の一日の食事必要量は計算式で導くことが可能です。肥満や空腹を避けるためにも飼い主さんが愛犬に必要なカロリーを計算してみましょう。
「え?そんな難しそうで面倒なことやらないとわからないの?」と疑問に思う人も多いかとは思いますが、毎日計算するわけではないですし、ある程度の個体差も計算に組み込めて給餌量の良い目安になります。
順を追って説明していきます。
①.用語の説明
計算式に使う用語の説明になります。意味も全て理解するとなると複雑になってしまいますので、下記の用語が出てくるという認識だけで大丈夫です。
- DER:犬が1日に必要なカロリー量
- RER:犬が適切な環境で1日中安静にしていた場合、必要になるエネルギー量
- 係数:犬の状態に合わせて調整する数値
②.RERを求める計算式
RERは簡単にいうと、人間でいう基礎代謝です。計算式は合計3つありますが、まずはRERを計算していきます。
【例:体重5kg,5才,去勢済の犬】
70(固定値)×5kg(愛犬の体重kg)÷0.75(固定値)=262.5(RER値)
5kgの愛犬は安静時に、262.5kcal必要だということがわかりました。
③.係数表から係数を求める
計算するためにはまず「係数」表から愛犬の係数を出します。
【例:体重5kg,5才, 去勢済の犬】
<子犬の場合>
生後4か月以内 → 3.0
生後4か月~12か月 → 2.0
<成犬・シニアの場合>
去勢・避妊していない → 1.6
去勢・避妊した → 1.4
妊娠・授乳中 → 2.0
減量中 → 1.0
例の場合ですと係数は「1.4」になります。
④.DERを求める計算式
RERと係数がわかったところで1日あたりのカロリー要求量(DER)を計算します。
【例:体重5kg,5才,去勢済の犬】
262.5(RER)×1.4(係数)=367.5kcal(DER値)
5kgの愛犬は1日に367.5kcal必要なことがわかりました。
5. ドッグフードの給餌量の計算式
1日に必要なカロリーが計算できたところで、現在愛犬に与えているドッグフードの給餌量を計算してみましょう。ドッグフードのパッケージやホームページでカロリーを確認してください。
【例:体重5kg,5才, 去勢済の犬, A社のフードカロリー347kcal】
367.5kcal(DER)÷347kcal(A社カロリー)×100(固定値)=105.9g(1日のドッグフードの量)
例にあげている5kgの愛犬はA社フードを105(切捨)1日で与えればよいとわかりました。
このように計算する行程が多くて、複雑ですが1日のドッグフード量が数字でわかりやすく導きだすことが出来ます。
あげているご飯のパッケージの表示を参照する
たいていのドッグフードの場合、そのパッケージに1日に与える量などの給餌方法が年齢、月齢、体重に応じて記載されています。
ただし、パッケージに記載されているのは現在の体重からフード量ではなく「理想の体重」です。現在の体重に合わせて給餌してしまうと、肥満になってしまうかも知れません。
また、フードの種類によってカロリーは違いますのでフードを変える際には必ずパッケージを参照するようにしましょう。
尚、フードのパッケージ記載のフード量はあくまで目安でありますので絶対ではありません。一頭一頭に嗜好や体質もありますので微調整は必要になります。
食欲を確認する
パッケージや計算式に基づいて、1日の給餌量を数回に分けて愛犬にあげているけど、少し残してしまう場合や明らかに空腹を感じている場合はその原因を探していきましょう。
病気の可能性やご飯の種類にもよるかも知れませんが、原因はご飯の量の可能性もあります。どの基準で給餌量を決めているにしても皆が同じ個体ではなく、同じ体重で同条件のフードを与えても太っていく犬もいれば痩せてしまう犬もいます。
食欲はご飯の量が適切かの判断の基準の1つになります。
便を確認する
犬の便というのは色々な健康状態を確認することが出来ます。
例えば、便が柔らかかったら食事が多すぎて消化不良を起こしてしまっているかも知れません。その時は少し食事量を減らしてまた便をチェックしてみてください。
固さが正常に戻ったら、原因は食事量の可能性が高いので、食事を減らしたまま愛犬の様子や便を確認し続けましょう。
逆に便が固い時は、食事量が少ない可能性があります。ただ飲水が少ない可能性もあるので1日の飲水量を確認しましょう。
飲水量が通常の場合はフード量である可能性があるのでフードを少し増やして便を確認しましょう。
定期的な体重チェックをする
体重の変化も食事量を見極める大事なポイントです。
計算式やパッケージ表示の食事量をあげてみて、体重が減ったり増えたりする場合は、ご飯の量を加減すると良いかも知れません。また、体重を定期的にチェックしてみて、不自然な増え方減り方をしている場合は迷わず動物病院を受診しましょう。
日頃から愛犬の体調や状態を確認することで未然に防ぐことが出来る病気やケガもあります。
まとめ
食事は犬にとって生きる喜びの大事な1つです。愛犬に合った基準の数字を算出したら日頃している管理の情報を元に愛犬の状態にあった食事量を与えましょう。
基準はあくまで基準ですので、愛犬のことは飼い主さんが一番知っています。愛犬に適切なご飯の量を与えて、飼い主さんと共に過ごす大切な時間の健康と幸せを守っていきましょう。