成犬に子犬用のドッグフードを与えちゃダメ?

成犬に子犬用のドッグフードを与えちゃダメ?

ドッグフード売り場にいくとさまざまなメーカーや種類のフードが並んでいますね。みていくと「成犬用」「幼犬用(パピー用)」などの記載があります。大人になった犬に、幼犬用のドッグフードを与えてもいいのでしょうか。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の成長速度について

大小並んだ犬

可愛い子犬ちゃんをおうちに迎えた後、あっという間に成長し成犬の体格になっていたということはありませんか?
犬の成長スピードは犬種やサイズによって異なりますが、それでも人に比べれば急スピードで大きくなります。小型犬の場合は生後1年で体重が20倍に変化しますし、大型犬については生後1年半で体重が約70~100倍に増加します。
このような急激な成長期には身体づくりをするために、とてもたくさんの栄養が必要になります。特に生後2か月までの機関は骨や筋肉の発達のために欠かせないタンパク質、カルシウム、リン、マグネシウムなどをバランス良くしっかりと摂取しなければいけません。
子犬用のフードはこういった栄養素の要求量を満たすだけの高栄養食が望ましいですね。

犬の必須栄養素の摂取基準をご存知ですか?

子犬とドッグフード

犬も人も食事で栄養を摂取する必要がある動物ですが、その必要な栄養素のうち特に重要なものを5大栄養素と言います。タンパク質、脂質、炭水化物、無機質(ミネラル)、ビタミンです。これに水を加えたものを6大栄養素と言います。
この栄養素は生きていくうえで必要不可欠なものなので、バランス良く摂取することがとても大切です。また、ライフステージによって必要量の割合が変わってきます。犬のライフステージごとの必要量については、米国飼料検査官協会(AAFCO)が世界標準の栄養基準を発表しており、日本でもこの基準を満たすフードがほとんどとなっています。
このAAFCOの栄養基準では、子犬用と成犬用で2種類の基準を設定しており、その違いはタンパク質、脂質、ミネラルの割合で示されています。

  • タンパク質…子犬用:22%以上,成犬用:18%以上
  • 脂質…子犬用:8%以上,成犬用:5%以上
  • カルシウム…子犬用:1.0~2.5%,成犬用:0.6~2.5%
  • リン…子犬用:0.8~1.6%,成犬用:0.5~1.6%

このように、パピーフードと成犬用のフードでは、それぞれの栄養素の含有割合が異なっているのです。タンパク質や脂質が、パピーフードの方がやや多めに入っているんですね。
しかし体が著しく大きくなる成長期に与える量にしては、成犬とそんなに大きな差がないのでは?と思いませんか。%だけで考えるとそれほど大きな差がないように思いますが、100g当たりで考えるとその差は大きくなります。例えば脂質ですが、100gのドッグフード中に子犬用は8gですが、成犬用は5gです。体が小さいので、ヒトの感覚では大した差でなくても実際は大きな差になります。

幼犬と成犬の給餌量の違いについて

並んでご飯を食べる犬

ドッグフードを与える回数はご家庭によって1回だったり2回だったりとさまざまだと思います。成犬の場合はその体重によって1日の量がフードに記載されているため、その量を与える回数で割った分を与えることになります。
1例ですが、10kg未満の小型犬の場合1日の給餌量は220g程度です。これは体重の2%の量となります。では子犬の場合はどうでしょう。パピーフードの給餌量表を見ると生後3ヶ月から6ヶ月において、体重の4%程度を与えるように書いてあります。成犬に比べると、とてもたくさん食べる必要があるんですね。もちろんそんな量を1回で食べきれるわけではないため、子犬のうちは1日量を3~4回に分けて与えます。
よくパピーフードは高栄養、高カロリーと言われていますが、このように体重あたりで食べる量が成犬より多いため、結果的に高タンパク食となり、高カロリーを摂取しているということなのです。

成犬に子犬用フードを与えちゃダメ?

赤い皿を見つめる犬

結論から言えば、子犬用フードを成犬に与えることはお勧めできません。
まず、子犬用のほうが嗜好性が高いため成犬用を食べなくなる可能性があります。それ以上に、脂肪分が多くカロリー的に高くなるので、太ってしまいます。また、ミネラル分などの要求量が子犬と成犬では異なるために長期にわたって与えることは絶対に勧められません。
時々、少量与える程度ならば大きな問題はありません。他に疾患があり脂質を制限されている場合はあげないでください。原材料のタンパク源にアレルギーがをもっている場合もあるため、成分表示は良く確認しましょう。
子犬の時に好んで食べていた味を成犬になったからといって変えてしまうのはかわいそう、と言った場合は「全年齢対応フード」をはじめから利用するという手もあります。
いずれにせよ、成分表をよく読んで適切な給餌量を心がけてください。

関連記事:子犬のおすすめドッグフードについて

まとめ

ご飯が入ったお皿と犬

売り場にいくとたくさん並んでいて、迷ってしまったり、いつものだからいいかと適当に買ってしまったりするフードですが、これを機会にパッケージの裏側にも注目してくださいね。一般にパピーフードの方がおいしい匂いがするのか嗜好性が高くなるようですので、食べさせ過ぎにはどうぞご注意を。

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