犬がドッグフードを食べない理由
愛犬がいつも食べているドッグフードに口をつけなくなると、飼い主としては「どこか具合が悪いのだろうか」と心配になるものです。
犬が食事をしない背景には、単純な気まぐれから病気のサインまで、様々な原因が考えられます。まずは慌てずに、なぜ食べてくれないのか、その理由を探ることが大切です。
病気や体調不良の可能性
犬がフードを食べない最も注意すべき理由は、病気や体調不良です。特に、いつもは食欲旺盛な犬が急に食べなくなった場合は注意が必要です。
口の中に傷や歯周病などのトラブルがあって食べられない、消化器系の不調で食欲がない、あるいは何らかの病気が隠れている可能性があります。元気がない、下痢や嘔吐をしている、水を飲む量や尿の量に変化があるなど、食欲不振以外の症状も見られる場合は、速やかに動物病院を受診しましょう。
ストレスによる食欲不振
犬は非常に繊細な動物であり、環境の変化によってストレスを感じ、食欲が落ちてしまうことがあります。例えば、引っ越し、家族構成の変化、長時間の留守番、近隣の工事の騒音などがストレスの原因になり得ます。
愛犬の生活環境に何か変化がなかったか、最近の様子を注意深く観察し、不安を取り除いてあげることが食欲回復の第一歩となる場合があります。
「食べなければもっと美味しいものが出てくる」という学習
食事の途中でフードを残した際に、心配しておやつや人間の食べ物を与えてしまうと、犬は「フードを食べなければ、もっと美味しいものがもらえる」と学習してしまうことがあります。
これは「選り好み(わがまま)」とも言われますが、犬にとっては賢い学習行動の一つです。一度このパターンを学習すると、ドッグフードを意図的に食べなくなることがあります。
フード自体に問題がある場合
ドッグフードそのものに原因があるケースも考えられます。例えば、フードが古くなって風味が落ちてしまっている、保存状態が悪く酸化してしまっている場合などです。犬の嗅覚は非常に優れているため、人間には分からないようなわずかな質の劣化も敏感に感じ取ります。
また、単純にそのフードの味や粒の硬さ、大きさが愛犬の好みに合わないという可能性もあります。
加齢による変化
犬も年齢を重ねると、人間と同じように様々な身体的変化が現れます。運動量の低下に伴い基礎代謝が落ちて食欲が自然に減少するほか、嗅覚や味覚が衰えてフードの香りや味を感じにくくなることもあります。
また、歯が弱くなったり、顎の力が低下したりして、硬いドライフードが食べにくくなることも、老犬が食事を嫌がる一因です。
犬がドッグフードを食べない時の対処法
愛犬がフードを食べない時、その対処法はライフステージによって異なります。子犬、成犬、老犬、それぞれの時期に特有の原因と、それに合わせた適切な対応が求められます。
子犬が食べない時の対処法
子犬がフードを食べない場合、まず考えられるのは環境の変化によるストレスです。新しい家に来たばかりで緊張している、一人での留守番に慣れていないなどが原因で食欲が落ちることがあります。
また、生後4か月から半年頃には乳歯から永久歯への生え変わりがあり、口の中に違和感や痛みがあって食べたがらないことも少なくありません。この時期は、フードをお湯でふやかして柔らかくしてあげると食べやすくなります。
遊びに夢中で食事に集中できない「遊び食べ」をすることもあるため、食事の時間をきちんと決めて、食べない場合は一度食器を片付けるというしつけも大切です。
成犬が食べない時の対処法
成犬期の食欲不振は、原因が多岐にわたります。まずは病気の可能性を念頭に置き、排泄物の状態などを確認しておきましょう。また日頃の行動を観察して元気があるか・無いかなど、犬の体調を毎日確認するように習慣づけましょう。
体調に問題がなさそうな場合は、精神的なストレスや、フードへの「飽き」や「わがまま」が原因かもしれません。
生活環境に変化がないか見直したり、散歩や遊びの時間を増やして気分転換をさせたりすることも有効です。
フードそのものが原因の場合は、後述するようなフードへの工夫などを試してみましょう。
ただし、おやつやトッピングで対応する場合は、与えすぎに注意しましょう。
おやつやトッピングを与えすぎると、ドッグフードを食べなくなるケースも多いため、食事の基本はあくまでドッグフードであることを念頭に置くことが重要です。
老犬が食べない時の対処法
老犬(シニア犬)になると、加齢に伴う様々な理由で食欲が低下します。嗅覚が衰えてフードの匂いを感じにくくなるため、フードを少し温めて香りを立たせてあげると食欲が刺激されることがあります。
また、歯周病や歯のぐらつき、飲み込む力の低下(嚥下困難)によって食べにくくなっている可能性も高いです。
ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードやペースト状のフードに切り替えたりするなど、食べやすい形態に変えてあげましょう。
消化機能も低下しているため、一度にたくさんの量を与えるのではなく、少量ずつを数回に分けて与えるのも良い方法です。
犬がドッグフードを食べない時のフードへの工夫
愛犬の食欲不振が病気によるものではない場合、ドッグフードの与え方を少し工夫するだけで、喜んで食べてくれることがあります。手軽に試せる方法から、フードの根本的な見直しまで、いくつかのアイデアをご紹介します。
フードを温める
ドッグフード、特にドライフードは、人肌程度に温めることで香りが立ち、犬の食欲を強く刺激します。犬は食事の際、味覚よりも嗅覚を頼りにしているため、香りを引き立てることは非常に効果的です。
電子レンジで数秒温めるか、湯煎で温めるのが簡単な方法です。ただし、温めすぎると火傷の原因になるため、必ず飼い主が手で触って温度を確認してから与えるようにしてください。
フードをふやかす
ドライフードをお湯でふやかすのも有効な方法です。水分を含んで柔らかくなるため、歯が弱い子犬や老犬、口内にトラブルがある犬でも食べやすくなります。また、水分補給にも繋がるというメリットもあります。
フードがひたひたになるくらいのぬるま湯を加え、10分ほど置いて芯がなくなるまでふやかします。すると、ドライフードの硬い食感が苦手な柴犬やチワワなどの小型犬にも喜ばれることがあります。
ただし、ふやかしたドライフードは腐敗しやすいため、もしも犬が食べ残した分があれば、30分以内に片付けてください。
フードを変えてみる
人間にも食べ物の好みがあるように、犬にもフードの好みがあります。今与えているフードの味や原材料、粒の大きさなどが、単に愛犬の好みに合っていないのかもしれません。
主原料がチキンから魚へ、粒の大きさが大粒から小粒へ変わるだけで、食いつきが劇的に改善されるケースも珍しくありません。
フードを切り替える際は、今までのフードに新しいフードを少量混ぜることから始め、1週間から10日ほどかけて徐々に割合を増やしていくと、胃腸への負担を減らすことができます。
手作りごはんを試す
様々な工夫をしても改善しない場合、手作りごはんを試すという選択肢もあります。飼い主が愛情を込めて調理したごはんは嗜好性が非常に高く、食欲が落ちている犬でも食べてくれる可能性が高いです。
しかし、犬に必要な栄養素をバランス良く配合して毎日作り続けるのは専門的な知識が必要で、非常に難しいという側面も理解しておく必要があります。まずはいつものドッグフードへのトッピングとして少量から始めたり、手作り食に対応している獣医師に相談したりすることをおすすめします。
犬がドッグフードを食べない時のトッピングの商品 おすすめ3選
いつものドッグフードに飽きてしまった様子の愛犬には、風味や食感を変える「トッピング」を試すことで、食欲を改善できる場合があります。ウェットフードやふりかけなどを少量加えるだけで、マンネリ化していた食事が特別なご馳走に変わります。
ただし、トッピングの与えすぎは栄養バランスの偏りや肥満の原因になるため、主食である総合栄養食のドッグフードの量の調整を忘れずに行いましょう。ここでは、おすすめのトッピング商品を3つご紹介します。
ペッツルート 無添加とりけずり ふわふわ花
普段のフードに手軽に変化をつけたい場合に最適なのが、ふりかけタイプのトッピングです。この商品は、低脂肪な鶏胸肉だけを原材料に、特殊な製法で花びらのように薄く削り出したものです。
添加物を使用しておらず、素材そのものの豊かな香りが犬の食欲をそそります。ふわふわとした軽い食感で、いつものドライフードに振りかけるだけで食いつきが格段に変わることがあります。
ママクック フリーズドライのササミ
フリーズドライ製法は、素材の栄養や風味を損なわずに長期保存を可能にする技術です。この商品は、新鮮な国産鶏ササミをそのままフリーズドライにしたもので、犬が本能的に好む肉のうまみが凝縮されています。
そのままおやつとして与えるのはもちろん、手で細かく崩してふりかけのように使ったり、ぬるま湯で戻して生肉に近い食感で与えたりと、様々な使い方ができるのが魅力です。
デビフペット カロリーエースプラス 犬用流動食
食欲が落ちて栄養状態が心配な時や、噛む力が弱くなった老犬には、栄養補助を目的としたトッピングが有効です。この商品は、消化吸収に優れた流動食タイプの総合栄養食で、少量で効率よくカロリーと栄養を補給できます。
フードに混ぜて与えることで嗜好性を高めるだけでなく、病中病後や夏バテで体力が落ちている時の栄養サポートとしても役立ちます。そのまま与えることもできるため、緊急時の備えとしても便利です。
犬がドッグフードを食べない時のおすすめフード
フードの与え方を工夫しても改善が見られない場合は、フード自体を嗜好性の高いものに見直すのも一つの解決策です。ここでは、食いつきの良さで定評のあるドッグフードを3つご紹介します。
ビオリオーブ ディッシュ・シリーズ アソート3個セット
「ビオリオーブ」は、主食としてのウェットフードとしても非常に優秀です。高品質なオーガニック食材を使用し、素材本来の味と香りを活かしたレシピは、グルメなトイプードルやチワワなどにも好まれやすいでしょう。
ウェットフードは水分含有量が多く、食事をしながら自然に水分補給ができるため、水をあまり飲まない犬にもおすすめです。
ヤムヤムヤム ドッグフード ふんわりソース仕立て マグロ 60g
この「ヤムヤムヤム」のソース仕立ても、総合栄養食の基準を満たしているため主食として利用できます。
特に、ドライフードの硬さが苦手な犬や、歯が弱くなった老犬におすすめです。ソース状なので舌ですくいやすく、消化にも優しいのが特徴です。マグロの豊かな風味は、食欲が低下している犬の関心を引くのに役立ちます。
ココグルメ(100g×16パック,バラエティ)
「ココグルメ」は、食材の形が残るほど新鮮な素材感と、調理したての香りが特徴のフレッシュフードです。ドライフードを全く受け付けなくなってしまった犬でも、この手作り感あふれるごはんなら食べてくれるという声が多く聞かれます。
獣医師監修のもと、犬の健康に必要な栄養素がしっかり詰まった総合栄養食であり、冷凍の個包装で使い勝手も良いため、手作り食に挑戦したいけれど栄養バランスや手間が心配という飼い主にとって、理想的な選択肢と言えるでしょう。
まとめ
愛犬がドッグフードを食べなくなる理由は、病気、ストレス、わがまま、加齢など様々です。食欲不振に加えて、ぐったりしている、嘔吐や下痢があるなどの普段と違う様子が見られる場合は、迷わず動物病院を受診してください。
体調に問題がないようであれば、フードを温めたり、ふやかしたり、トッピングを加えたりといった工夫を試してみましょう。また、子犬、成犬、老犬というライフステージに合わせた食事の見直しも大切です。
何よりも重要なのは、飼い主が焦らずに愛犬の状態をよく観察し、その子に合った食事のスタイルを見つけてあげることです。この記事で紹介した方法を参考に、愛犬が再び喜んで食事をしてくれるよう、試行錯誤してみてください。