犬に練乳を与えてはいけない理由
練乳は犬にとって害があるため与えるのは控えることをおすすめします。
日本で一般的に知られている練乳は加糖練乳と言い、牛乳と砂糖を濃縮したものです。加糖練乳は「コンデンスミルク」、無糖練乳は「エバミルク」と呼ばれています。
ここでは、主に加糖練乳(コンデンスミルク)と犬の関係をご紹介します。
犬に練乳を与えてはいけない理由は以下の3つです。
- 糖分が多く含まれている
- 犬は乳糖を分解できない
- 子犬やシニア犬は特に注意
糖分が多く含まれている
練乳には糖分が多く含まれているため、犬に毎日与えたり一度に大量に食べたりすると、大きな病気を引き起こす可能性があります。
練乳のカロリーは100gあたり331Kcal(大さじ5杯分)。10㎏の犬の場合、1日約600Kcalが必要ですので、練乳大さじ5杯分でも1日の半分以上のカロリーを消費することになります。
(※犬種や骨格によって1日あたりの消費カロリーは異なります)
また、犬は人間と比べて1日に摂取できる糖分量が少なく、過剰摂取は肥満や糖尿病の原因になります。ほとんどの場合、糖分は普段の食事で補えるので、あえて糖分を摂取する必要はありません。
特に肥満は、高血圧や心臓病、脳梗塞など命に関わる病気を誘発するので注意が必要です。練乳は糖分が多く含まれている食品ですので、わんちゃんに悪影響を及ぼす可能性が高いため、あまりおすすめできません。
犬は乳糖を分解できない
犬は乳糖不耐症といって、牛乳に含まれている乳糖を分解できない動物です。
乳糖を体の中で分解するには、消化酵素(ラクラーゼ)が必要です。子犬の頃は、お母さんのミルクを飲んでも消化酵素が活動しているため上手く分解できますが、成長するにつれて消化酵素が減少します。そのため一部の乳製品は、犬の体に害を与えるといわれています。
もちろん練乳にも牛乳が含まれているので、乳糖を分解できずに嘔吐や下痢などの症状を引き起こします。骨格や年齢によって摂取できる乳糖の量は異なりますが、乳製品を与えるときは十分注意しましょう。
なお、塩分や糖分に気を付ければ、与えても良い乳製品もあります。
子犬やシニア犬は特に注意
特に子犬やシニア犬には練乳を与えないようにしてください。
子犬は、乳糖(牛乳に含まれている)を分解する消化酵素の働きが活発ですが、まだ消化器官が成熟していないので分解できない場合があります。乳糖を分解できないと、嘔吐や下痢などの症状が出る可能性があります。
体力の少ない子犬が下痢をすると脱水症状になり、衰弱しやすくなってしまうので注意が必要です。また、シニア犬は内臓機能が低下している可能性があります。そのため、乳糖を上手く分解できない場合があるので子犬と同じく注意しましょう。
子犬やシニア犬は重症化するリスクが高いため、練乳以外の乳製品を与えるときも細心の注意を払ってください。
少量の練乳なら犬に粉薬を与えるときに役立つ
苦みのある粉薬を与えるとき、少量の練乳を使用することもできます。
(※実際に服薬のため練乳を使用する場合は、事前にかかりつけの獣医師に必ずご確認ください)
- 犬は甘みを感じることができる
- 苦い薬も一緒に飲み込んでくれる
- 健康面ではメリットが多い
犬は人間より味覚を感じることができない動物ですが、甘みは最も感じることができるといわれています。
薬が苦手な場合、甘みがある練乳が活躍します。薬を溶いた練乳を、あごや歯茎に塗り付けることで、苦い薬もスムーズに舐め取ってくれます。
しかし、一般的な練乳は製造時に乳糖(犬が分解できない成分)の除去処理がほとんどされていないため、乳糖を全て分解するのは困難です。そのため、下痢や嘔吐などになりやすく、服薬に使用する場合は必ず獣医師に相談してください。
健康上あまりおすすめできませんが、使用するときは薬が溶ける程度のほんの数量にしましょう。
犬が練乳を大量に食べてしまった時の対処法
犬が練乳を大量に食べてしまったとき、残念ながら私たちにできることはあまりないので、すぐに動物病院に連れていくことをおすすめします。
もしも、練乳が含まれる練乳パン、練乳アイスなどを食べてしまった場合、最低限どのような対処が必要なのか3つご紹介します。
飲み込んでしまったか確認する
まず、飲み込んでしまったのか口を開けて確認しましょう。
まだ口に残っているようでしたら、犬用のお菓子やおもちゃなど好きな物と交換してもらいます。嫌がるわんちゃんの口に無理やり触ると噛まれてケガをする可能性があるので気を付けましょう。
口の中に入れた時点で飲み込んだ可能性があるので、速やかに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
無理に吐かせない
練乳を食べてしまったからといって、慌てて吐かせるのはおすすめできません。
まれに食塩などを使って吐かせる方法が紹介されていますが、食塩の取りすぎは健康上リスクが高く、内臓や喉などを傷つける場合があります。慌てず落ち着いて病院で診てもらいましょう。
アレルギーがある場合はすぐに病院へ
牛乳などの乳製品にアレルギーがあるわんちゃんが練乳を食べてしまった場合、すぐにかかりつけの動物病院に連れていきましょう。
また、練乳を食べてから下痢や嘔吐、皮膚に発疹ができている場合、アレルギー反応を起こしている可能性がありますので、すぐに獣医師に診てもらってください。
人間がくしゃみや呼吸器に問題が出るのに比べて、犬のアレルギー反応は皮膚炎が多く見られるので注意して観察してください。食物アレルギーになると、皮膚を掻きむしったり、舐めたりする行動が見られます。
まとめ
練乳についてご紹介しました。
- 犬が練乳を食べると害が出てしまうのでおすすめできない
- 少量なら薬を飲むときに役に立つ
- 練乳を誤飲してしまったらすぐに動物病院へ
練乳に限らず、乳製品はわんちゃんに害を与えてしまう可能性があるので細心の注意が必要です。また、服薬に練乳を使用したいときは、必ず獣医師に相談してください。