犬がしめじを食べても大丈夫!栄養素と効果、与え方や注意点まで

犬がしめじを食べても大丈夫!栄養素と効果、与え方や注意点まで

調理しやすく日頃の食事に多く登場するしめじは、美味しくて体にもよい食べ物です。愛犬にしめじを食べさせても大丈夫なのでしょうか。しめじに含まれる栄養素と効能、犬に与える時の注意点などをご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

犬にとってしめじは食べていい食材!

しめじの画像

「しめじ」は犬が食べても大丈夫な食材です。有害な成分は含まれていないので安心して食べられます。

しめじには主に天然ものが流通していて希少な「本しめじ」と、人工栽培で大量生産されいつでもスーパーで買える「ぶなしめじ」がありますが、今回は一般的に食卓でも食べられる機会の多い「ぶなしめじ」についてご紹介します。

食物繊維が豊富で低カロリーなきのこ類は、健康に良く、調理方法も様々で私たち人間の食事には欠かせない食材のひとつです。

特に、しめじはどのような食材や味付けにも合いやすいので、よく料理に使われます。味にクセがなくて食べやすいので、犬の手作りフードに取り入れたいと考えている方もいるでしょう。

しめじとお肉を一緒に混ぜて炊いた混ぜご飯や、まいたけやえのきと一緒に作ったきのこスープも美味しいので、愛犬のためにご飯を手作りしたい方はぜひ試してみてください。きのこ類は、人が食べる時と同様に加熱調理をして与えましょう。

犬にしめじを与えることで、健康によい栄養素を摂取できるというメリットもあります。きのこ類に含まれるうまみ成分(グルタミン酸)は犬が感じる味の一つだそうで、グルタミン酸を含む食事は犬にとっても好ましいでしょう。ぜひ食事に取り入れてあげましょう。

しめじの栄養素と期待できる効果

しめじの画像

しめじには、色々な栄養素が含まれており、人間にとっても体によい食材です。様々な栄養素について、犬で調べられたデータは少ないですが、しめじに含まれる栄養素とその栄養素が持つ一般的な働きを中心に解説します。

食物繊維で腸内環境を整える

しめじには、食物繊維の一種であるβグルカンが豊富に含まれています。βグルカンには水溶性のもものと不溶性のものがありますが、しめじに含まれるβグルカンは不溶性で、整腸作用が期待できます。人では、βグルカンによって腸内の善玉菌の働きが活発になるそうです。しめじは食物繊維が多く低カロリーな食材ですので、ダイエットさせたい場合のトッピングにも良いかもしれません。

βグルカンを含む食物繊維は他にも、コレステロール濃度や血糖値の上昇を抑える働きもするので、現代の日本人では積極的に摂取したい成分と言われています。

その効果を期待して、βグルカンがとても豊富なきのこであるアガリクスから作った犬用のサプリメントも販売されています。

ビタミンDで強い骨と筋肉をつくる

しめじにはビタミンDも多く含まれています。ビタミンDにはカルシウムの吸収を促進するという働きがあるので、健康な骨や歯を作るには欠かせません。

犬は体内でビタミンDを合成することができないので、食事でしっかりと摂取する必要があります。適切に製造されたドッグフードには十分量のビタミンDが含まれていますが、手作り食の場合には不足していないか特に気にしてあげたい栄養素の一つです。しめじをビタミンDの補給源として使うことができるでしょう。

ビタミンDが不足すると関節や筋肉に異常をきたすようになります。逆にビタミンDを過剰に摂取すると、カルシウムバランスが崩れ骨や全身の組織に悪影響が及びます。しめじもどんなに健康に良いと言われている食材も、与え過ぎには注意しましょう。

ビタミンB1、B2で疲れにくい体になる

ビタミンB1は、食材中の糖質を燃やしてエネルギーに変換する際に必要だったり、神経系が正常に働くにも欠かせません。ビタミンB1の摂取は、疲れにくい体をつくるために必要と言われています。不足すると疲労を感じて体がだるくなったり、筋力低下や視力障害などを起こしてしまう場合があります。

ビタミンB2は脂質やたんぱく質の代謝にかかわります。「発育のビタミン」とも呼ばれており、被毛や爪などを健康に育成するためにも必要です。

しめじは、ビタミンB1・B2を多く含むので、摂取することで疲れにくい元気な体づくりにつながるかもしれません。ツヤのある健康的な被毛を育てるためにも利用できるでしょう。

オルニチンで肝臓の機能をサポート

アミノ酸の一種であるオルニチンには、肝臓の機能を高める働きがあります。

オルニチンが豊富な食材といえば「しじみ」が有名です。二日酔い対策にしじみの味噌汁を飲むのがよいという話を聞いたことがある方も多いでしょう。

実はしめじには、しじみの5倍以上のオルニチンが含まれているといわれています。

肝臓がスムーズに働くのを助けるオルニチンを補うことは犬にとっても大切だと考えられ、犬用のオルニチンサプリメントも開発・販売されています。

不足しがちなリジンを摂取

犬の必須アミノ酸のひとつであるリジン(リシン)は、たんぱく質の合成に欠かせません。

必須アミノ酸であるということは、リジンは体内でつくることができず食事から摂取するしかないということです。そして、ドッグフードに含まれるべきアミノ酸の中で最も不足しやすいものがリジンで、ドッグフードを製造する際にはリジンを十分量含むように注意が払わられています。手作り食の場合にも、しめじなどからリジンが十分に摂取できるよう、細心の注意を払いましょう。リジンは動物性の食材や大豆たんぱくの中にも多く含まれます。

犬にしめじを与える際の注意点

注意点

健康効果も期待できるしめじですが、犬に与える際には気をつけたい点もあります。体調を崩すなどの危険がないように、正しい方法で適量を食べさせましょう。

加熱して与える

しめじは生で食べられる食材ではありません。炒める、茹でるなどの調理方法で大丈夫です。犬に与える場合も、人が食べる時と同様にしっかりと加熱調理をしましょう。

また、しめじを茹でた汁には水溶性ビタミンが溶け出していて、具と一緒に飲むことで効率よくビタミンを摂取できるので、しめじでスープを作るのもおすすめです。

より消化しやすいお腹に優しい状態、効率よく栄養を摂取できる状態で与えるために、繊維を断ち切るように細かく切ったりペースト状にしたりしたものを食べさせるのもよいでしょう。

適量を守る

どのような食べ物でも食べすぎは禁物です。しめじは食物繊維が豊富なので、食べすぎるとお腹の調子が悪くなってしまう可能性があります。

カロリーは低いのでしめじを食べすぎて太る心配はまずありませんが、しめじでお腹がいっぱいになってドッグフードや他の必要な食事を取らなくなってしまっても困ります。愛犬がしめじを大好きでも適量を守るようにしましょう。

逆に食べ過ぎで肥満が気になる犬には、低カロリーなしめじで食事をかさ増しすると満足感がある食事となりダイエットかもしれません。

メインのフード以外の食材を1日に与える量の目安は、1日の摂取カロリーの10%~20%までと考えてください。また、はじめは少なめに与えて、食べた後の体調の変化などをチェックするのがよいでしょう。

食物アレルギーに注意

きのこでアレルギー症状を引き起こした犬はあまり報告されていないそうです。人でもあまり多くはないようですが、しめじに対してアレルギーを持つ人もいるそうなので、しめじにアレルギーを持つ犬もいるかもしれません。

はじめてしめじを与える時はごく少量にとどめ、その後の体調に変化がないか様子を見てください。何回かしめじを与えているうちに嘔吐や下痢、体をかゆがるなどの症状を起こした場合は動物病院に相談しましょう。

アレルギー反応は、初めて食べたときには現れません。回数を重ねて、または継続的に食べるうちに、アレルギー症状が出るようになります。体調の異常に気付いたときは、原因になりそうな食べ物を与えていないか考えてみてください。

また、アレルギーではなくても加熱が不十分なしめじを食べて体調不良を起こすこともあるかもしれません。また、しめじはあまり日持ちせず、冷蔵庫では5~10日ほどしかもたないそうです。犬にもできるだけ新鮮なものを与えるようにしましょう。

まとめ

ご飯を食べるビーグル

しめじは美味しくて体にいい栄養素もたっぷりの食材です。犬が食べても安全で、うまみ成分も豊富なので犬が喜ぶ食材のひとつかもしれません。

腸内環境を整えたり骨や筋肉を強くしたり、免疫力をアップしたり、生き生きした被毛を育てたりと、しめじに含まれる栄養素には様々な働きがあると言われています。

適量を守り加熱調理をして与えることで、犬も美味しく栄養素を摂取できるかもしれません。しめじを使うことで手作りフードのレパートリーも広まります。

低カロリーなのでダイエット中の犬にも良いかもしれません。食べ慣れていない場合には、しめじを食べた後に体調の変化がないか、いつも以上に気にしてあげてくださいね。

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