犬にうずらの卵を与えても大丈夫?
あまり知られていないかもしれませんが、うずらの卵には鶏卵よりも豊富に含まれる栄養成分もあります。そして、うずらの卵には犬にとって害のある成分は含まれていませんので、犬にうずらの卵を与えても大丈夫です。普段あげるドッグフードにうずらの卵が含まれていることはあまりないと思いますが、うずらの卵をおやつやドッグフードのトッピング、手作り食の食材として適度を犬に与えるのは良いことでしょう。
うずらの卵に含まれる栄養成分やその役割、与える際の注意点等を下記にてご紹介していきます。
うずらの卵に含まれる栄養成分とその役割
うずらの卵には、一般的な鶏卵と同様にたんぱく質が多く含まれ、さらにビタミンA、ビタミンB1・B2・B12、葉酸、鉄分などは鶏卵よりも豊富に含まれています。このような栄養成分やその役割について下記で述べます。
うずらの卵にはたくさんの栄養成分がある
たんぱく質
たんぱく質は人間にとっても大事な栄養素ですが、犬にとっても体の約20%を占める栄養素でとても重要なものとなります。たんぱく質は体を作っているだけではなく、酵素やホルモン、免疫機能で重要な働きをする抗体などの原料でもありますし、主要なエネルギー源でもあります。
食事中のたんぱく質は、その量だけではなくどんなアミノ酸を含んでいるのかもとても重要なのですが、うずらの卵は鶏卵と同様に人にとって必須な9種類のアミノ酸に加えてアルギニンも含んでおり、犬にとっても必須アミノ酸を全種類含む良質なたんぱく源です。
ビタミンA
ビタミンAにはレチノールやβ-カロテンなど、いくつかの種類がありますが、うずらの卵には鶏卵の2倍ほどのレチノールが含まれます。ビタミンAの重要な役割の一つは、視力を正常に働かせることです。ビタミンAは目の光を受ける部分(網膜)の細胞に含まれる色素の構成成分となっている栄養素で、ビタミンAがしっかりと摂れていることにより視力を正常に働かせることができます。特に、明るい場所から暗い場所に移動した際に周囲が見えるようになる(暗順応)のに必要です。ビタミンAは他にも、皮膚や被毛の健康を保つのに必要な栄養素となっています。
ビタミンB1
生のうずらの卵は、鶏卵より多くのビタミンB1を含みます。ビタミンB1は、細胞がエネルギーを作り出す際に必要である他に、神経が情報を伝えるために使われる物質の合成にも関与します。ビタミンB1が不足すると、疲労感や筋力低下などを引き起こします。
ビタミンB2
ビタミンB2も、生のうずらの卵には鶏卵よりも多く含まれています。ビタミンB2は、犬の皮膚や被毛などの健康を保つために不可欠な栄養素です。これが不足すると、皮膚が荒れたり被毛の艶がなくなります。またビタミンB2は、脂質をエネルギーに変える反応やアミノ酸の代謝にも必要です。
ビタミンB12
うずらの卵には、ビタミンB12が鶏卵よりも約3~5倍も多く含まれています。ビタミンB12は、生体内で起きる化学反応の多くにかかわっていて、中でもたんぱく質の合成や赤血球の産生で重要な働きをしています。葉酸と同じく、不足すると貧血を引き起こします。
葉酸
生のうずらの卵には、鶏卵よりも約2倍程多く葉酸が含まれています。葉酸は神経組織の発達やDNAの合成に関わっている栄養素のため、妊娠している犬では特に十分量を摂取することが重要となります。また、ビタミンB12の項目でも述べたように、不足すると貧血を引き起こします。
鉄分
うずらの卵には鶏卵より多くの鉄分が含まれます。人間でも鉄分が不足すると貧血をおこしたり体調が悪くなるように、犬でも鉄分が足りなくなると貧血になって成長が悪くなったりします。鉄分は、血液中のヘモグロビンの成分であるだけではなく、様々な細胞の機能を維持するにも必要な栄養素です。
このように、うずらの卵には鶏卵以上に栄養成分が豊富に含まれるので、特に手作り食を与えている場合にはとても良い食材の一つかもしれません。
犬にうずらの卵を与える方法
犬にとってもうずらの卵はとても健康に良い食材であることをご説明しましたが、実際に与えるには茹でたほうがいいのか、生でもいいのかなど、どのように食べさせるのがいいのかな?という疑問があると思いますので、犬へのうずらの与え方についてご説明します。
- 茹でたうずらの卵を与える
- 生のままで与えるのは避けた方が良い場合も
- 調味料は使わずに与える
茹でたうずらの卵を与える
犬にうずらの卵を与える一番良い方法は、茹でたうずらの卵を与えることだと思います。火傷させないために、茹でた後にしっかり冷ましたものを与えましょう。
小型犬であれば細かく切ると食べやすいでしょうし、茹でたうずらの卵を丸飲みして喉や食道に詰まらせては大変ですので、小型犬や食べ物をがっついたり丸飲みする癖がある犬には、刻んで与えた方が良いでしょう。
卵の殻についてですが、殻に含まれる成分という意味では食べてしまっても問題ありません。しかし、特にドッグフードを主食としている犬にわざわざ卵の殻を与える必要はありません。カルシウムも摂り過ぎは良くないからです。サルモネラ菌による汚染という点では、75℃以上で1分以上または65℃で5分以上加熱したものは心配ありません。
生のままで与えるのは避けた方が良い場合も
生のうずらの卵には、気を付けるべき点が2つあります。1つ目は、生卵の白身に含まれる「アビジン」という成分によってビタミンB7(ビオチン)不足が起こる可能性があることです。アビジンはビオチンと結合してビオチンが吸収されるのを邪魔してしまうので、アビジンを大量に摂取するとビオチン欠乏症になる可能性があるのです。ただし、生卵を食べることでビオチン欠乏症になるには大量の生卵を長期間食べ続ける必要があり、例えば人では毎日6個の生卵を何か月間も食べ続けないと生卵によるビオチン欠乏症にはならないと言われているそうです。ですので、うずらの卵を時折、適量与える範囲であれば、仮に生で与えたとしてもビオチン欠乏症が起こる心配はないでしょう。また、うずらの卵を加熱するとアビジンは働かなくなってしまいますので、ビオチン欠乏症を起こす心配はありません。
2つ目は、生のうずらの卵には「サルモネラ菌」がついている可能性があることです。これはうずらの卵に限ったことではなく鶏卵についても同じです。日本では卵がサルモネラ菌に汚染されている可能性はごくわずかですが、ゼロではありません。サルモネラ菌による食中毒を防ぐには、生で与えるうずらの卵は購入後もずっと適切に(10℃以下で)保管すること、賞味期限内であること、殻がひび割れていないこと、食べる直前に割ったものであることなどを守りましょう。また、免疫力が低下している持病のある犬や老犬、子犬や妊娠している犬にも生で与えるのは避けた方が良いでしょう。
調味料は使わずに与える
犬に、茹でたうずらの卵ではなく、卵焼きなどとして調理したものを与えることもできますが、その場合には調味料は使わないようにしましょう。手作り食だけを与えている犬で、必要量を計算した上で塩を使う場合は別ですが、ドッグフードを主食としている犬に塩分を補う必要はありませんし、甘味を加えたものはおいしくてクセになってしまうことがあるからです。
市販のうずら卵の水煮には塩分が含まれているものもあります。食塩不使用のものを選ぶと良いでしょう。また、手作りの卵スープや卵粥は食べやすく、体調の悪い犬や高齢犬に良いメニューかもしれません。
犬にうずらの卵を与える時の目安量
うずらの卵にはたんぱく質の他に脂質も含まれているので、あまり多くの量を与えるとカロリーオーバーとなってしまいます。
いくら健康に良いものであっても、与えすぎて太ってしまっては健康に悪影響を及ぼします。うずらの卵1個のカロリーは約16kcalです。犬に与えるおやつやドッグフードのトッピングの量は、その犬が必要とするカロリーの10~20%以内に抑えるべきと言われていますので、ご自分の愛犬の理想体重や状態(避妊去勢の有無や運動量など)からカロリーを計算し、適量を判断してください。
犬にうずらの卵を与える時の注意点
うずらの卵を与える際には、上記で述べたように与えすぎないことや、生で与えるのは避けた方が良い場合もあることに注意が必要ですが、他にも注意すべきことがあります。犬も人間のように食物アレルギーが起こることがあり、うずらの卵に対してもアレルギーを起こす可能性があります。また、持病がある場合にうずらの卵を与える際にも注意が必要です。
- 卵アレルギーがある場合犬には与えない
- 腎臓病の犬や療法食を食べている犬に与える場合は獣医さんに相談する
卵アレルギーがある場合犬には与えない
犬にも卵アレルギーがある子がいます。検査で分かる卵アレルギーは鶏卵に対するものですが、人では一般的に鶏卵に対してアレルギーを起こす人はうずらの卵に対してもアレルギーを起こすと言われていますので、卵アレルギーを持っている犬にはうずらの卵も与えないようにしましょう。人ではごく稀に、鶏卵に対してはアレルギーを持っていないのにうずらの卵に対してアレルギーを起こす人がいるそうです。犬でそのようなことがあるかは分かっていませんが、もし卵アレルギーはないと診断されていてもうずらの卵を与えるといつも下痢をしたり体をかゆがったりする場合には、うずらの卵に対するアレルギーの可能性を考える必要があるかもしれません。
アレルギーがあるかどうかを調べたい場合は、獣医師さんに診てもらいましょう。
腎臓病の犬や療法食を食べている犬に与える場合は獣医さんに相談する
うずらの卵には栄養成分が豊富ですが、腎臓病の犬では豊富に含まれるたんぱく質が悪影響を及ぼす場合もあります。
腎臓病を患っている場合、たんぱく質が制限されている食事にするよう指示されることがあります。腎臓病以外でも、病気の治療や予防のために療法食を食べている犬では、療法食以外のものを食べることによって症状が出たり病気が悪化したりすることもあります。そのため、持病を持っている犬や療法食を食べている犬にうずらの卵を与える場合には、事前に与えても大丈夫か獣医師さんに確認してから与えるようにしましょう。
まとめ
普段私たちが食べているうずらの卵は、とても栄養素が多く身体に良い食材で、犬にとっても良い食材になります。しかし、与える量や与え方には気を付ける点があります。
ただの栄養成分として摂取するだけではなく、様々な調理方法で与えることで、犬にとっても食事がより楽しいものになるかもしれません。卵アレルギーがあることが分かっている犬にはうずらの卵も与えてはいけません。また、持病がある犬の場合には与えることが難しい場合もあるので、うずらの卵を与えることについて、獣医さんに相談してからにしましょう。
これから愛犬と一緒に健康で長生きしていくために、うずらの卵などの様々な食べ物は、与え方などに注意しつつ、しっかりと栄養を摂って元気に過ごしていけるようにしましょう。
《参考サイト》