ヤギミルクの栄養素と与えるメリット
牛乳より栄養価が高く、消化吸収が良いと言われているヤギミルク。犬や猫がお腹を壊さずに飲めて体に優しいことから、人気が高まっている食材です。今回は、ヤギミルクに含まれる栄養素やメリットなどをご紹介します。
効率の良い栄養補給ができる
ヤギミルクは、偏食の犬や食欲不振の時に与えると効果的とわれていますが、子犬~シニア期まで、犬の年齢に関係なく与えることが可能です。また、牛乳と同様に良質なタンパク質やカルシウム源となりますが、以下の成分が牛乳とは異なる栄養素といわれています。
- タンパク質、アミノ酸(シスチン、タウリン)
- 中鎖脂肪酸
タンパク質はアミノ酸からできています。牛乳やヤギミルクには多くの種類のアミノ酸が含まれていますが、とくにヤギミルクには、シスチンとタウリンというアミノ酸が牛乳よりも多く含まれています。
また、ヤギミルクには中鎖脂肪酸(MCT)が牛乳より多く含まれています。中鎖脂肪酸は人間において、体脂肪や内臓脂肪を減らす効果があると言われています。
また、ヤギミルク中の脂肪球は牛乳と比べて小さく、消化吸収されやすい特徴ももっています。
【ヤギミルクに含まれる栄養についての補足】
シスチンはタウリンの原料ともなるアミノ酸ですが、牛乳の1.5~2倍程ヤギミルクには多く含まれるようです。タウリンについては、ヤギミルクは牛乳の20倍ものタウリンを含むなどとよく言われていますが、ヤギミルクに含まれるタウリンの量については様々な測定結果が報告されているようで、牛乳と比べて約2倍(年間平均5.4mg/100mL)のタウリンを含む程度だった、との報告もあります。
ヤギミルクは、ラットでの動物実験や栄養失調の幼児に飲ませた研究において、牛乳よりも栄養状態を改善させる効果が高いことが報告されていて、ペットにおいても近年広く普及し始めています。
「ヤギミルクはお腹に優しい」または「牛乳が飲めない犬でも飲める」などと言われることもあります。牛乳を飲んで下痢をする原因の一つに、乳糖不耐症(牛乳に含まれる乳糖を分解できない体質)があります。「ヤギミルクは乳糖を含まないので、犬に与えることができる。」と言われていることもあるようですが、ヤギミルクにも牛乳より少し少ない程度の乳糖が含まれます。乳糖不耐症が軽度であれば「牛乳を飲むと下痢をするけどヤギミルクなら大丈夫」ということはあるかもしれませんが、ヤギミルクにも乳糖不耐症を起こすのに十分な量の乳糖は含まれています。「ヤギミルクはお腹に優しい」というのは、乳糖の量が少ないことよりも上述の脂肪球の小ささによるところが大きいと考えられます。
また、少し難しい話になりますが、牛乳やヤギミルクに多く含まれるカゼインというタンパク質があり、カゼインにはいくつかのタイプがあります。A1タイプのカゼインが消化されて作られるBCM7という物質が健康に良くないとして、A1タイプのカゼインを含まずA2タイプのカゼインを含むA2ミルクが体に良いとする意見が一部にあるようです。一般的な牛乳の多くはA1ミルクで、ヤギミルクはA2ミルクだそうです。A2ミルクは自閉症や腸の炎症性疾患、心疾患などの予防にも良いと言われることもあるそうですが、BCM7が体に及ぼす影響やA1ミルクとA2ミルクの比較についての研究はまだ不十分で、A1ミルクが健康に害を及ぼすことがあるのかどうか、A2ミルクには健康に良い効果があるのかどうかは、今後の研究が待たれるところだそうです。
《参考文献》
田中桂一 (2008). ヤギ乳はヒトにやさしいーヤギ乳と牛乳の比較― 北海道畜産学会報, 48, 79-84
中島悦子 (2020). ヤギ乳成分の産地間差および季節変動 日本暖地畜産学会報, 63, 101-111
https://doi.org/10.11461/jwaras.63.101
MEHAIA, M.A. and M.A. Al-KAN1弘L(1992) Taurine and other free amino acids in milk of camel, goat, cow and man. Milchwissenschaft 47 : 351-353
Kuellenberg de Gaudry D, Lohner S, Bischoff K, et al. A1- and A2 beta-casein on health-related outcomes: a scoping review of animal studies. Eur J Nutr. 2022;61(1):1-21.
doi:10.1007/s00394-021-02551-x
子犬から老犬まで栄養補給を兼ねた水分補給としても
ヤギミルクは嗜好性が高いので、水分をもっと摂って欲しい犬の水分補給にも利用できるでしょう。病気などで栄養状態の悪い犬にも、栄養と水分を同時に補給してあげられるでしょう。
ヤギミルクの種類
犬用ヤギミルクは産地から種類も様々です。愛犬のために品質の良いものや、飼い主さん自身が与えやすいものを選びましょう。
オーガニックのヤギミルク
愛犬が口にするものは高品質で安全なものを与えたいですよね。ミルクを出すヤギの食べ物や環境などが気になる方は、ヤギミルクを選ぶ時は、オーガニックの製品を選ぶと良いでしょう。
製品タイプで選ぶ
ヤギミルクには「粉末タイプ」「生タイプ」「冷凍タイプ」など種類があります。
粉末タイプは、水に溶かして水分補給としても使えますし、バウダーをフードにかけてトッピングとしても使うことができます。必要な分を自由に使うことができる優れもの。
生タイプは、牛乳と同じように、搾ったミルクを殺菌して販売されているものです。賞味期限が短いですが、飲みきれない場合は冷凍保存することも可能です。
冷凍タイプは、生のヤギミルクを冷凍したもの。解凍して犬に与えても良いですし、与え過ぎに注意すればオヤツ感覚でアイスとして与えるのも良いでしょう。犬用のヤギミルクは、低脂肪のものや乳酸菌が含まれているもの、ヤギミルクを使ったサプリメントなどもあるので、飼い主さんが犬に与えやすい方法で選んでください。
ヤギミルクの与え方
ヤギミルクの与え方も様々。バリエーションに富んだ与え方で、愛犬にも喜んでもらいましょう。
食事のトッピングにする
食欲不振の犬や偏食の犬、子犬や老犬に栄養を摂らせたいという場合は、食事のトッピングとしてヤギミルクを使うことができます。ヤギミルクの強いにおいに食欲がそそられて、フードを食べてくれることが多いそうです。
手作りおやつの材料に使う
牛乳の代用として、ヤギミルクは手作りおやつの材料に使えます。
夏は適量を冷凍庫で凍らせてアイスに。クッキーや寒天と混ぜてヤギミルクプリンを作るなどアレンジすることができます。
手作りおやつは、材料が全て分かっていますので安心して与えられますし、嗜好性の高いヤギミルクを使えば愛犬も喜んでくれることでしょう。
水に溶かして与える
水分補給代わりに与える方法もあります。飲ませ方は簡単。粉末を水に溶かして与えるだけです。どのくらいの量を水で溶かすかはメーカーによって違いがあるので、パッケージを確認しましょう。
与える頻度に決まりはありませんが、与えすぎは肥満や下痢などを引き起こすこともあるので、1日に与える量をあらかじめ計算して決めておいてください。
ヤギミルクの適量
ドッグフードや手作りごはん、おやつにふりかけ・混ぜて与える場合は、体重1kg当たり粉ミルク1gを目安にしましょう。
- 超小型犬(1~5kg位)粉ミルクの量 1~5g、水(湯)の量 5~35cc
- 超小型犬(1~5kg位)粉ミルクの量 1~5g、水(湯)の量 5~35cc
- 小型犬(5~11kg位)粉ミルクの量 5~11g、水(湯)の量 35~80cc
- 中型犬(11~23kg位)粉ミルクの量 11~23g、水(湯)の量 80~160cc
- 大型犬(23~40kg位)粉ミルクの量 23~40g、水(湯)の量 160~280cc
給与量は1日あたりの目安です。健康状態、運動量、季節など、愛犬の状態に合わせて量を調整しましょう。
犬にヤギミルクを与える際の注意点
ヤギミルクは子犬から老犬まで、どんな年齢の犬にも与えることができますが、注意してほしい点もあります。
与えすぎに注意
嗜好性も高く栄養が豊富なヤギミルクですが、与えすぎると肥満の原因になったり、栄養過多になる可能性があります。
食欲不振の場合は栄養補給としてヤギミルクを与えてもいいでしょうが、通常のフードをきちんと食べられていれば毎日のようにヤギミルクを与える必要はありません。ヤギミルクを与える場合には、その分フードやオヤツの量を減らしましょう。いくら体に良いものでも、与えすぎには十分注意しましょう。
アレルギーに注意
ヤギミルクは、牛乳などに比べると低アレルゲンであることが挙げられます。ヤギミルクに含まれるたんぱく質のβカゼインは、牛乳に含まれるαカゼインと組成が異なり、アレルギー症状を起こしにくいといわれています。
ただし、全くアレルギーを起こさないというわけではありません。ヤギミルクもアレルギーの原因となる可能性はありますので注意する必要があります。はじめて与える場合は、少量からはじめましょう。
犬の食物アレルギーの症状には、軟便や下痢の他に、体を痒がる、皮膚が赤くなるなどの症状もあります。このような症状が出る場合は、食物アレルギーを起こしている可能性が考えられます。
また、ヤギミルクを飲むと下痢や嘔吐などがある場合も愛犬の体質に合わない可能性がありますので与えるのをやめましょう。いつもと違うと感じたら、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
【牛乳アレルギーとヤギミルクについての補足】
犬でも牛乳アレルギーを起こす犬がいます。血液検査で分かるのは牛乳に対するアレルギーであり、ヤギミルクに対するアレルギーは現在の血液検査では分かりません。牛乳に含まれるタンパク質とヤギミルクに含まれるタンパク質には一部違いもありますが共通して含まれているものもあります。どのタンパク質がアレルゲンとなっているかによって、牛乳アレルギーを持っているけどヤギミルクは大丈夫なのか、牛乳にもヤギミルクにもアレルギーを起こすのかが変わります。人においては、牛乳アレルギーを持っている子供の多くでヤギミルクであれば大丈夫だったという報告や、牛乳アレルギーを持つ人の92%でヤギミルクでもアレルギー反応が見られたとの報告など、様々な報告があるようです。また、牛乳アレルギーはないけれどヤギミルクにはアレルギーを起こす人の例が非常に稀な例として報告されています。犬についての報告はありませんが、牛乳アレルギーを起こす犬ではヤギミルクは避け、別の方法で栄養や水分を補給することを考えた方が良いでしょう。また、牛乳アレルギーはないという検査結果が出ていても食物アレルギーが疑われる症状があり、ヤギミルクを与えている場合には、ヤギミルクに対してアレルギーを持っている可能性を考える必要があるかもしれません。
《参考文献》
内閣府 食品安全委員会 食品健康影響評価技術研究課題(平成29年度)アレルギー物質を含む食品についてのリスク評価方法の確立に関する研究 平成29年度研究分担報告書(別紙2)
Tavares, B., Pereira, C., Rodrigues, F., Loureiro, G., & Chieira, C. (2007). Goat's milk allergy. Allergologia et immunopathologia, 35(3), 113–116.
https://doi.org/10.1157/13106780
持病のある犬は動物病院で相談を
持病のある犬や、療法食を食べている犬にヤギミルクを与える際は、与える前に問題ないか獣医師に相談することをおすすめします。
とくに以下の持病がある場合、タンパク質やミネラル量を制限したフードを与えることがあります。
- 慢性腎不全などの腎臓病
- 肝臓病
- 尿路結石症
ヤギミルクには、タンパク質やミネラルが含まれており、それらの成分が病気を悪化させたり治療の効果を弱くしてしまう恐れもあるので、与えても問題ないか動物病院に相談することが大切です。
ヤギミルクを使ったおすすめレシピ
愛犬にヤギミルクを使ったレシピを紹介します。特別な日のご褒美などに、手作りごはんを楽しんでみませんか。
鶏むね肉とポテトのヤギミルク煮
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材料
- 鶏むね肉(皮なし)・・・40g
- じゃがいも・・・25g
- プライムヤギミルク・・・小1
- ブロッコリー・・・15g
- 片栗粉・・・少々
- じゃがいもは皮を剥いて一口大に切る。ブロッコリーと共にレンジで加熱調理
- 胸肉は一口大程度に切り、片栗粉をまぶしておく
- 小鍋にサラダ油を加えて火にかけ、胸肉・じゃがいも・ブロッコリーの順に炒める
- 水(150cc)を加え、一煮たちしたら少量の水で溶いたヤギミルクを加えて煮込み、とろみが出てきたら完成
焼きりんごとヤギミルクのゼリー
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材料
- りんご・・・30g(約1/6個)
- 粉末寒天・・・3g
- ヤギミルク・・・10g
- 水・・・300cc
- りんごの皮をむき、2mmの厚さにいちょう切りにします。フライパンで焼き色がつくまで焼き、冷ましておく
- 水100CCと粉末寒天1gを入れ、火にかけかき混ぜながら溶かす
- りんごを容器の下にしき、寒天をりんごが隠れるまで注ぎ、冷蔵庫で10分程冷やし固める
- 水100ccと粉末寒天2gを3.と同様の手順で作り、ぬるま湯100ccに溶かしたヤギミルクと混ぜ合わせる
- 冷やしておいた寒天の上に4.を流し入れ冷蔵庫で冷やし固める
- 型から取出し、切り分けたら完成
焼きりんごとヤギミルクのゼリー
-
材料(5~6個分)
- 豚ひき肉・・・100g
- 鶏ひき肉・・・100g
- 豆腐・・・50~100g
- パン粉・・・大さじ1
- ヤギミルク・・・パン粉が浸るくらい
- 卵・・・1個(Sサイズ)
- オリーブオイル・・・適量
- 豚ひき肉、鶏ひき肉を粘りが出るまでこねる
- 豆腐は水切りしておく
- 残りの材料をすべて入れて混ぜ、空気を抜きながら形を整える
- フライパンにオリーブオイルをひき、中火で焼き、ひっくり返したら蓋をして弱火で蒸し焼きにする
- 焼き上がったハンバーグに野菜をデコレーションして完成 (じゃがいも、ブロッコリー、にんじんなどをレンジ用蒸し器でチンすると便利)
愛犬におすすめ!ヤギミルク商品6選
おすすめのヤギミルク商品をご紹介します。
(こちらの商品は、監修者が獣医師として推奨しているものではありません)
ペッツルート (Petz Route) 無添加 やぎミルク 50g
高たんぱく質・低脂肪のヤギミルク。ヤギの飼育は無農薬で厳しく管理し、オランダのオーガニック認証を受けて生産している商品。
ドッグフードや手作りごはんやおやつに ふりかけたり、混ぜたり、溶かしてミルクの飲むおやつとして与えることも可能。小分けになっているので便利。
Natural Plus とれたてヤギミルク
オランダ産のヤギミルクを乾燥させて粉ミルクにしたものです。ヤギミルク特有の甘い香りで犬の食欲アップ。こちらの商品は、品質を保つために空輸で輸入しているそうです。
水に溶かして飲ませたりドッグフードにふりかけたり様々な使い方ができるので人気の高い商品です。
イリオスマイル ヤギミルクのヨーグルトスティック
モンゴル産のヤギミルクから作られたヨーグルトのスティックで、乳酸菌が含まれているのでお腹にも優しいでしょう。合成保存料や着色料が使用されていないので、安心して犬に与えることができます。
ドギーマン ヤギミルクのチーズガム
栄養豊富なヤギミルクを使ったハードタイプのチーズガム。犬が噛み続けても長持ちし、ストレス発散や歯石対策にもなります。
さらに、電子レンジを使うと砕けやすいチーズスナックにも変身するので1つで2種類の楽しみ方ができ、愛犬にも喜んでもらえるでしょう。
保存料、着色料、発色剤、酸化防止剤不使用なので安心して犬に与えることができます。小~中型犬用のMサイズの他に、SサイズとLサイズもあります。
ペッツルート 無添加 ヤギミルクでやわらか煮込み鶏 すなぎも
鉄分豊富な砂肝をヤギミルクで柔らかく煮込んだ商品。食べやすい大きさで、小分けになっているので与えやすくなっています。おやつやフードのトッピングにも適しています。
アッケレカーニ 牧場直送 愛犬用フレッシュヤギミルク
高級レストラン御用達の人用チーズに使うヤギミルクを犬用に販売している商品です。搾れる時期が限定されているヤギミルクを急速冷凍しています。人用にも使われているので安心安全です。
冷凍保存が可能。期間限定販売なので購入の際は要チェック。
まとめ
今回は犬に与えるヤギミルクについて紹介しました。
ヤギミルクは栄養が豊富で子犬から老犬まで与えることができます。ドッグフードのトッピングや水分補給、おやつの材料としても使うことができる万能ミルク。
しかし、犬が好むからといって与えすぎは肥満の原因になるので注意が必要です。おやつや食欲増進のために少量をトッピングして与えるようにしましょう。また、アレルギー体質や持病のある子には、与える前に動物病院に相談するなど注意が必要です。
ヤギミルクの関連商品は様々なものがあるとわかりました。愛犬に喜んでもらえるものをあげたいですね。
愛犬にヤギミルクをためしたいと考えてる方に、今回の記事が参考になれば幸いです。