犬がわさびを食べたり舐めたりするのは大丈夫?リスクや対処法、しつけについて

犬がわさびを食べたり舐めたりするのは大丈夫?リスクや対処法、しつけについて

犬のしつけで結構話題として上がる香辛料を使ったしつけ法。しかし、香辛料は犬にとって刺激物となるだけでなく、大変危険な状況になる可能性も。そこで今回は、犬がわさびを誤って食べてしまった時の対処法やリスクなどをご紹介します。

犬がわさびを食べたり舐めたりしても問題ない?

わさび

お寿司や和え物など、和食の多くにはよくわさびを使った料理が使われたりするものですが、これら和食料理に使われるわさびを犬が食べたり舐めてしまったりするのは、大変危険なので気をつけてください。

人が『辛味』として感じる香辛料は、基本的に辛さに反応しているのではなく、『痛み』として感じると言われています。

では、犬にとっての『辛味』はどのように感じているのでしょうか。

以前は噛み癖などのしつけで、わさびやカラシといった香辛料を使って改善させるという方法が話題になったこともありますが、それについても分量や使い方を間違えると消化器系などに影響を起こす可能性があるので危険です。

そこで今回は、犬にとってのわさびの危険性や、もしも犬が誤ってわさびを舐めてしまった際の対処法などをご紹介します。

犬がわさびを食べてはいけない理由

待てのポーズをしてる医者

それではまず、犬になぜわさびを食べさせてはいけないのかをご説明します。

そもそも犬は、人同様辛味と言われる味覚は持ち合わせず、刺激物となる香辛料は、その嗅覚及び痛覚によって感じ取ります。匂いからしてツーンとする刺すような匂いのわさびは、最初から手をつけないといったワンちゃんも多いことでしょう。

ただ、手をつけないからといって油断をしてはいけません。前述したように分量や使い方次第では、犬の消化器に負担をかけることもあるので注意してください。

それでは、犬にわさびを食べさせてはいけない主な理由をいくつかご紹介します。

犬にはわさびの辛み成分による刺激が強すぎる

犬の味覚には、「甘味」、「苦味」、「酸味」、「塩味」、という4つの味覚を感じていると言われています。
その中で、犬は核酸(旨み成分)にも反応していると言われるため、もしかしたら本来は感じていないと言われる旨味も何かしら認識しているかもしれません。

しかし犬の味覚は、実際に感じる味蕾の数が少なく、人の約一万個の味蕾と比べておおよそ5分の1の約二千個程と言われているため、犬がどの部分でどの程度味を感じているのかは、犬本人にしか分かっておりません。

では、犬のわさびによる辛味成分はというと、主に刺激臭によるものです。犬はただでさえ味に鈍感だと言われており、味覚として存在しない『辛味』を辛いと感じることはほぼありません。

けれど、犬の嗅覚はおおよそ人の1000倍~1億倍もの嗅覚が感じ取れるため、その刺激は相当なものです。そのため、人でも刺激が強いわさびを犬が匂えば、それは大変強い刺激臭ですので、食べさせないように注意しましょう。

消化器官に影響を及ぼす可能性がある

わさびはアブラナ科わさび属の植物で、その成分の中には、抗菌作用が期待できるカラシ油が含まれているため、腸炎ビブリオやサルモネラ属菌、O157などの食中毒の原因菌を抑制してくれる働きがあります。

しかし、その一方でその刺激の強さは、胃腸の粘膜を刺激し、消化器に負担をかけてしまう場合があります。

犬がもしも多量にわさびを摂取してしまった時には、胃炎や嘔吐、下痢などの症状が出る可能性があるため、犬にわさびを食べさせないように気をつけてください。

アブラナ科に含まれるゴイトロゲンは甲状腺機能に悪影響が

わさびに限ったことではありませんが、アブラナ科に属する野菜などに含まれるゴイトロゲンという成分は、甲状腺機能に問題がある場合、悪影響を及ぼす危険性があるので注意してください。

犬でなりやすいと言われている甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン分泌が低下することにより起こる内分泌疾患で、代謝機能の低下や皮膚の色素沈着、肥満、脱毛、低体温など様々な症状を呈します。

アブラナ科に含まれるゴイトロゲンは、その甲状腺ホルモンの分泌を阻害する成分の一種なので、普通の犬ももちろんですが、甲状腺機能低下のある犬は尚更気をつけてあげてください。

犬がわさびを誤食した時の対処法

獣医師と犬

それでは、もしも犬がわさびを誤って食べてしまった時、どのように対処すれば良いのかをここからはご紹介します。

愛犬が摂取してしまったわさびが少量なものなのか、はたまた多量に摂取してしまったのかにもよりますが、愛犬の体質や体調の違いでも状況は変わってきますので、一つずつ確認してみてください。

少量であれば様子見を

それでは、少量のわさびをもしも愛犬が舐めてしまったりした場合、その時はしばらく様子を見てあげてください。

基本的にわさびやカラシと言った香辛料で、命に関わるほどの状態になることは無いと思います。ですが、環境省による情報では、犬は香辛料に対して耐性が低く、肝機能障害を起こす可能性が示唆されているため、念の為気をつけておいてあげてください。

多量摂取した場合には獣医師に相談を

続いては、例えば刺身などに付け合わせで入っていたわさびを丸ごと食べてしまったといった多量の場合、まずは慌てず、獣医師さんに連絡してあげてください。

そして、その時の状況や食べた時間、犬の現在の状態など事細かに説明をして、もしご自身で応急処置を行う場合には、獣医師さんの指示を仰いでください。

わさび味のお菓子なども要注意!保管する時には犬の手の届かないところへ

最後は案外盲点になりやすいわさび味をベースにしたお菓子も誤って食べてしまうことがあるので、注意が必要です。

わさび味ベースのお菓子にはクオリティにこだわって、実際にわさびパウダーを使用している場合も少なくなく、もしも愛犬が誤って食べてしまった場合には多量に食べてしまった時同様、動物病院に連絡して下さい。

また、そういったお菓子を食べる際には絶対に犬の手の届かないところに保管し、出来るだけ早いうちに完食するように心掛けてあげてください。

犬のしつけにわさびを使ってはいけない?

ソファをボロボロにしてしまった犬

それでは、最初の方でも少し触れたわさびを使ってのしつけは本当に使ってはいけないのでしょうか?

答えとしては、半々です。

主に飼い主さんがわさびを使ってしつけをしようとする時は、大体家具に対するかじり癖や噛み癖などが多く挙げられます。しかし、この方法は上手くいく場合もあれば、犬種の性格によって全く効果がない場合もあります。

また、そうしたしつけによって生じるリスクが消化器だけではなかったりするため、ここからは消化器以外のリスクやわさび以外でのしつけ代替法などをご紹介します。

わさびを使った犬のしつけはリスクも多い!

犬を迎えたことがある方なら、一度は「わさびでのしつけ方」なんていうのを聞いたことがあるのではないでしょうか?

確かに、味覚以上に嗅覚の方が優れている犬にとって、わさびのあの刺激の強い匂いは苦手なものなので、家具のかじり癖予防に塗って効果的な場合も少なくありません。しかし、時にその匂いに慣れてしまい、またかじりだしてしまう犬も。

少量のわさびであれば問題ないのですが、やめさせたい一心で量を増やしてしまうと、消化器に負担をかけるだけでなく、感覚麻痺を伴う場合もあるので大変危険です。

そのため、わさびでのしつけはおすすめ出来ないしつけ法の一つであり、可能であれば使わないように心掛けたいしつけ法の一つと言えます。

犬の困った行動をわさびを使わずに防ぐコツ

それでは最後に、犬の困った行動をわさびを使わずに防ぐコツをご紹介します。

一般的に犬が家具をかじったり、噛み癖があるといった場合の多くは、犬自身が抱いているストレスであったり、運動不足であると言われることが多いです。

もしも、かじられたくない家具があるのであれば、「ビターアップルスプレー」といったりんごの皮を使用した自然の苦味成分を含むスプレーや、犬の苦手な匂いの一つである酸っぱいお酢を水で薄めたスプレーなどを使ってみると良いかもしれません。

ビターアップル スプレー 犬用 236ml

ただ、それも時として匂いに慣れてしまうワンちゃんもいると思いますので、そういった際には、愛犬専用のかじり棒を購入し、家具をかじりそうになった時に与えてみる方法も良いでしょう。

手の噛み癖なんかは、子犬の頃であれば大袈裟に「痛いっ!」とリアクションしてみるのも良い方法です。

基本的に子犬に向ける「痛いっ!」は、兄弟犬からの「キャン!」という痛がる合図に近いため、その時には効果が見られるかもしれません。

しかし、成犬に対してそういったリアクションをとる場合には、犬の表情をよく観察してみましょう。もし、犬がビックリしてやめるようであれば、その都度根気強く繰り返していけばやめる可能性も高いです。

ですが、リアクションを取ってもキョトンとしている場合には、あまり効果は期待出来ないので、その時にはその子がどんな声に反応するのか確かめながら、行ってみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか?犬にとってのわさびは中毒症状を起こすような成分が入っていない分、致死量などの目安もよく分かっておりません。

そうは言っても多量に摂取すれば胃腸に負担をかけ、結果的に愛犬に辛い思いをさせてしまう可能性があるため、わさびやカラシといった香辛料は決して舐めないように気をつけてあげてください。

また、先程も触れた甲状腺機能低下症は、年齢とともに発症しやすくなる病気で、一度なってしまうとなかなか完治するのは難しく、わさびといったアブラナ科のゴイトロゲンの作用によっては悪化させてしまう危険性があるため、決して与えないようにしてください。

もし、誤って多量のわさびを犬が摂取してしまった時には、慌てず冷静に動物病院に連絡し、適切な処置を施してもらってくださいね。

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