犬にカステラを与えても大丈夫?
犬にとって人のカステラは甘く、食感もふわふわでとてもおいしいおやつです。
しかし、カステラの原材料である卵・小麦粉などは、その材料自体に問題がなかったとしても、犬にとっては過剰な栄養バランスだったり、体格に見合わない量の砂糖や水あめなどのために、犬の体に悪影響を与える可能性があります。
カステラ自体は食べても中毒や死に至るような成分は入っていません。そのため、たとえ誤食してしまったり、飼い主さん家族の誰かがついついあげてしまったとしても、緊急性のある症状を引き起こすことはほぼありません。
しかし、普通のドッグフードや犬用手作り食で栄養バランスがきちんと取れている子におやつとして与えることは、その子の健康を乱す可能性があるため避けておきましょう。
犬にカステラを与えてはいけない理由
犬用カステラをなぜあげてはいけないのか、ここからは具体的な理由をご紹介します。
過剰なカロリーによる肥満のリスク
カステラの材料はシンプルで、たっぷりの卵、小麦粉、砂糖・水あめなど、タンパク質や炭水化物などを中心に作られています。
カロリーは3大栄養素であるタンパク質・脂質・炭水化物から得ることになるため、カステラは犬にとっても大きなカロリー供給源になってしまうわけです。
人にとっては1切れ当たりも大したことのないカロリーでも、体格が小さな小型犬ならばその差は明らかですよね。たとえば、かの有名な福砂屋のカステラでは、1切れ当たり180kcalを目安としています。
5㎏の普通の体格のわんちゃんで1日に必要とするカロリーが約370kcalほどなので、1切れ食べてしまうと1日の必要なカロリーの半分を得てしまうことになります!
カロリーは確保できても、ビタミンやミネラルも含んだ栄養バランスはカステラだけでは満たせないため、それだけではもちろん元気な体を保てない可能性もありますし、太ってしまう危険もあります。
多量の砂糖は内臓に負担大
「甘い」と感じる調味料の砂糖は、体の中で分解されて最終的にはブドウ糖として活用されます。
このブドウ糖は血糖値の上昇を促すため、過剰に取ると血糖値を下げるための唯一のホルモン「インスリン」の分泌を促すために、膵臓を過剰に働かせることになります。
膵臓の働きや機能が落ちてしまうと、体は血糖値のコントロールがうまくできなくなり、糖尿病の発症につながってしまうこともあります。
また、ブドウ糖はがん(悪性腫瘍)にとって大好物の栄養素です。がんはブドウ糖を栄養源としてどんどん活動性を増し、体に回すはずの栄養まで奪い取ってしまうため、食べても食べても太れない、むしろ痩せていく原因になってしまいます。
犬の味覚にとって甘味は大きな魅力ですが、犬にとって人と同じ量の糖分をとることは、体や今抱えている病気に悪影響を及ぼす可能性があることを理解しておきましょう!
甘い味がやみつきに
偏食傾向にある犬の場合、おいしいものを1度食べてしまうと、「それが出てくるまでおいしくないものは食べない!」と頑なになってしまうことがあります。
そうなってしまうと、今食べているドッグフードには口をつけなくなったり、食べられるドッグフードを探して飼い主さんがドッグフードを次々に渡り歩く現象が起こります。
飼い主さんからすれば「どのごはんだったら食べてくれるんだろう…」と頭を抱える毎日になってしまう可能性を秘めているため、あげなくてもいい味付けの濃い人のごはんは、愛犬から遠ざけておきましょう。
犬用のカステラなら食べさせても大丈夫
カステラはあげてはいけないとは言いつつも、犬にとって食欲が落ちてしまっている状況なら、食べてくれるものを何とかあげたいと思う時もありますよね。
ウェットフードを始めとして、ドッグフードの中でも比較的おいしさがあるものでも食べてくれないという時には、おいしい食べ物を食欲アップのきっかけ作りにしたいという気持ちもわかります。
特に、
- 腎臓病や心臓病など病気の末期で食欲が大きく落ちている時
- 超高齢の老犬で嗅覚が落ち、最初の1口がなかなか進まない時
といった時には、カステラを始めとした甘いものならよく食べたという体験談もあります。
そんな時には、まずは人用ではなく犬用カステラを試してみることをおすすめします。
原材料は卵や小麦粉など人と同じものを使い、砂糖の量をぐっと抑えて作られています。食欲がない時、カステラの匂いや味を楽しめるものとして、取り入れてみるのも1つの方法です。
犬がカステラの薄紙ごと食べてしまったときの対処法
カステラの底面には薄い紙が一緒についていることがありますよね。カステラを誤食してしまったり、捨て忘れていた薄紙が机の上などに残っていたりする場合には、犬はカステラの匂いやおいしさにつられて一緒に食べてしまうことがあります。
食べた紙が1切れほどで、破きながら食べてしまった程度なら、便と一緒に出てくることも多くあまり心配しなくてもいいことがほとんどです。
しかし、カステラ自体を大量に食べてしまったり、紙までたくさん食べた可能性があれば、量によっては犬の消化管に負担がかかる可能性があるため食べてから30分以内ならば、動物病院へ行き催吐処置(吐かせる処置)を行った方が良いこともあります。
誤食してしまったらまずは食べた量を確認し、かかりつけの動物病院に問い合わせてみることをおすすめします。
犬にとってカステラは体の負担になる食べ物!
犬には普段のごはんでは味わうことのできないおいしさを持つのがカステラです。しかし、小さな体格の犬たちなら、体にとって大きな負担になる可能性も秘めています。
人がおいしいおやつを食べていると、愛犬たちは「ちょうだい!」と傍に寄って来ることもあるでしょう。
けれども、そこは心をぐっと抑えて、欲しがってもあげないようにすることを徹底してください。あえて愛犬の前ではおいしいお菓子を食べないようにするのも、愛犬に我慢をさせないためにも良い方法です。
また、カステラを始めとして、お菓子をテーブルなどの上に出しっぱなしにすることは避けましょう。
犬は人よりも何倍も優れた嗅覚を持っているため、カステラだけでなく、パッケージごと誤食してしまう危険もあります。
プラスチック製の容器包装などは消化もできないため、犬の体格によってはお腹の中で詰まってしまう可能性があります。
愛犬にとっておいしいと感じるものでも、食べて良いものといけないものを区別し、ご家族で徹底してあげてくださいね。