犬がネギを食べたらダメな理由
犬に食べさせてはいけないものの1つに『ネギ』があります。ネギを食べさせてはいけないことは犬の飼い主であれば知っている方がほとんどだと思います。
では、なぜネギを食べさせてはだめなのか知っていますか?
理由は中毒症状がでてしまうからです。中毒症状である貧血が重度になると死亡例の報告もあります。また、ネギだけではなく、ネギ類であるニンニク・ニラ・玉ねぎもネギと同じ成分が含まれているため危険です。
ネギは加熱してもダメ
加熱したものなら与えても良いと考えがちですが、ネギの中毒成分は熱に耐性があり、加熱しても消えることはありません。
もちろん、ニンニクやニラ、玉ねぎも同様で、加熱調理では中毒成分はなくならないので注意しましょう。
犬がネギを食べたときに起こる中毒症状
犬がネギを食べた時に起こる症状として下記のものがあります。中でも貧血が代表的な症状として現れます。
- 元気がなくなりぐったりする
- 貧血(溶血性貧血)
- 食欲がなくなる
- 血尿や血便がでる
- 下痢や嘔吐をする
- 可視粘膜が白くなる(目の粘膜や歯茎)
- 黄疸がでる
- 体が震える
- 呼吸が速くなる
ネギ類に含まれている『アリルプロピルジスルフィド』という成分が赤血球を壊してしまいます。
この赤血球が壊されてしまうことを「溶血」と呼びます。赤血球が溶血することで犬が貧血を起こすようになります。この貧血が重度になり死亡したという報告もあります。
ネギ類を大量に食べた場合、2〜5日ほどで症状がでてきますが、速いと12時間ほどで症状が現れます。
食べてすぐに症状がでるわけではないので、様子を見ようとそのままにしていると、いつのまにか症状がでていると言うこともあります。
ネギ類を食べてしまったら、すぐに動物病院を受診するか電話するようにしましょう。
犬がネギを食べてしまった時の応急処置・対処法
犬がネギを食べてしまった時は、慌てずに適切な対処をしてあげましょう。基本的に家で何かしてあげるより、動物病院で処置を任せたほうが良いです。
犬の命に関わるような中毒ですので、すぐにかかりつけの動物病院に連絡して対応してもらうようにしましょう。
「いつ・どのくらい・いまの状態」を把握しておく
犬がネギを食べてしまった場合、いつ頃食べてしまったのかを確認するようにして下さい。時間によって病院での対応も変わってきます。
そして、どのくらいの量を食べているのかも確認するようにして下さい。なめる程度だったのか、かじっただけなのか、食べてしまったのかなど細かく確認して下さい。
また今現在、中毒症状を起こしていないか体調も確認してください。
「いつ・どのくらい・いまの状態」を必ず確認して、まずは病院に連絡して指示を仰ぐか、すぐに病院に連れて行くようにして下さい。
動物病院で吐かせる
食べてから2時間以内ほどであれば吐かせる処置をしたほうがよいでしょう。
吐かせる処置に関しては必ず動物病院で行うようにして下さい。自宅で無理に吐かせてしまうと、誤嚥などしてしまい、そのせいで亡くなってしまう可能性もあります。
ですので、必ず動物病院で処置をしてもらうようにしましょう。
点滴を行う
ネギの中毒症状で下痢や嘔吐が出ている場合、脱水症状もおこしやすいので、点滴をする場合があります。
輸血を行う
まずは、血液検査や尿検査などでどのくらい状態が進行しているのかなど調べた上で、ネギの中毒症状が重度の貧血になった場合、治療法として輸血をする場合があります。また、症状が重たい場合は入院などすることもあります。
犬がネギを誤食した時の致死量
犬がネギ中毒になってしまうかは個体差があります。発現する可能性のある量より多くてもネギ中毒が起きない丈夫な犬もいれば、発現する可能性のある量より少なくてネギ中毒になってしまうこともあります。
ですので、あくまで目安ですがネギ類を体重の約0.5%以上摂取するとネギ中毒が起きてしまうと言われています。たとえば小型犬(約3kg)の場合、ネギを1/3本(約30g)程度でネギ中毒になる可能性があります。
また、ネギは『葉』『根っこ』『皮』どの部分を食べても中毒になります。しかし、ネギを含んだ料理を食べたり、ネギをほんの少しかじったり舐めたりした程度では、中毒になる可能性が低いです。
ただし、犬によってどの程度で発症するかわからないので、少量でも食べてしまったら場合は動物病院の受診か電話で問い合わせるようにしましょう。
犬にネギ中毒を引き起こさせないための予防策
ネギ中毒を引き起こさない為には予防するのが1番です。ネギのどの部分でも、中毒になってしまう可能性があるので気をつけながら、接したり生活したりする様に飼い主が環境を整えてあげるようにしましょう。
ネギを触った手で犬と触れ合わないようにする
ネギを使った料理などをした後、すぐに犬と触れ合うことで中毒症状が起こる場合もあります。
触った手にネギの成分がついており犬がその手を舐めてしまったり、ネギの成分が犬に付着しそれを舐めてしまったりすることで危険が高まります。
ネギを触ったあとは、必ず手を洗ってから触れ合うようにしましょう。
ネギの中毒成分は煮汁にも含まれるため犬に与えない
ネギの中毒成分は、加熱したり乾燥したりしてもなくなりません。なので、煮汁やスープにネギを使用していれば、中毒の危険があります。
また、ネギトロなど料理の上にのっていたネギを取っても、エキスが溶けて出てきているため危険です。
ネギを犬の届くところに置かない
犬が立った時に届いたり、ジャンプして届いたりするようなところには、ネギを置かないようにしましょう。
買い物から帰ってきてそのままテーブルの上に置いてしまい、誤食をさせてしまったりと、意外と誤食する原因は人にあったりします。予防できることなので、気をつけてあげましょう。
また、キッチンの周りは料理の際や料理後にネギが落ちてしまい、拾い食いをする危険もあるのでキッチンには柵などして置いて、入れないようにしておくことも予防になります。
まとめ
ネギは人がよく料理で使う馴染みのあるものですが、犬にとっては大変危険なものです。誤ってネギを食べたり舐めたりしてしまった場合、少量だからと放置しないようにして下さい。
食べた直後は元気でも、貧血や血尿、下痢、嘔吐など時間が経過してから症状が現れることが多いです。自分で判断せずに必ず動物病院に行くようにして下さい。
また、食べさせないような環境をつくり予防することも大切です。誤食をさせないように気をつけるようにしましょう。