ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーとは
- 犬種名:ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー(Nova Scotia Duck Tolling Retriever)
- 愛称:トーラー
- 原産国:カナダ
- 大きさ:中型犬
- 体高:オス 48~51cm、メス 45~48cm
- 体重:オス 20~30kg、メス 17~20kg
- 被毛:中程度の長さのダブルコート
- 毛色:レッドまたはオレンジの濃淡、白いマーキングが入る場合もある
- 性格:賢い、活発、遊び好き、愛情深い、やや慎重
- 寿命:12~14年程度
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、カナダを原産国とする中型のレトリーバーです。
英語名の頭文字から「NSDTR」と略されるほか、海外では親しみを込めて「トーラー」と呼ばれています。日本語では犬種名が非常に長いため、国内でもトーラーという呼び名が使われることがあります。
水鳥猟では、岸辺で動き回って沖にいる鳥の注意を引き、猟師の射程圏内まで誘い寄せる「トーリング」という独特の役割を担ってきました。
さらに、仕留められた水鳥を水中や陸上から探し出し、猟師のもとへ運ぶ回収犬としても活躍します。鳥を誘う役割と回収する役割の両方をこなすことが、ほかのレトリーバーにはない大きな特徴です。
犬種名に含まれる「ノヴァ・スコシア」はカナダ東部の州名、「ダック・トーリング」は水鳥を誘い寄せる仕事、「レトリーバー」は獲物を回収する犬を意味しています。
レトリーバーの中では比較的コンパクトですが、家庭で穏やかに過ごすだけの愛玩犬ではなく、人と協力して仕事に取り組むことを目的に発達した犬種です。
日本では飼育頭数が少なく、目にする機会の限られた希少な犬種でもあります。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの性格
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、賢く活発で、遊ぶことを好む犬種です。家族への愛情が深く、人と一緒に何かへ取り組むことを楽しむ傾向があります。
一方で、見知らぬ人や慣れない環境には慎重な態度を示すことがあります。感受性が高く、周囲の雰囲気や飼い主の接し方に影響を受けやすい面もあるため、強く叱るよりも落ち着いて接することが大切です。
子どもやほかの犬と暮らせる個体も多いものの、相性には個体差があります。また、鳥や猫などの小動物に対して追跡本能が働く可能性があるため、同居する場合は慎重に関係を築く必要があります。
興奮すると「トーラー・スクリーム」と呼ばれる甲高い声を出す個体もいます。攻撃性を示す唸り声とは異なりますが、発声の頻度や大きさには個体差があるため、静かな住環境では注意が必要です。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの特徴
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、引き締まった筋肉質の体と、軽快で機敏な動きを持つ犬種です。
頭部はすっきりとしたくさび形で、アーモンド形の目と、やや高い位置から垂れる三角形の耳を備えています。尾には豊かな飾り毛があり、警戒したときや活動しているときには背中より高い位置に持ち上げることもあります。
赤みを帯びた被毛と白いマーキングから、小柄なゴールデン・レトリーバーのように見えることがありますが、よりコンパクトで俊敏な体つきをしています。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの大きさ
体高はオス48~51cm、メス45~48cmが目安です。体重はオス20~30kg、メス17~20kgほどで、中型犬に分類されます。
レトリーバーの中では比較的小柄ですが、骨格と筋肉がしっかりと発達しています。体高に比べて胴が極端に長くならず、全体のバランスが取れた体形です。
ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーよりもひと回り小さいものの、成犬を抱き上げたり、散歩中に動きを制御したりするには相応の力が必要です。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの被毛タイプ
被毛は中程度の長さがあるダブルコートです。水辺で活動できるように撥水性を備えており、寒さや水から体を守る密な下毛が生えています。
上毛は基本的になめらかですが、背中にわずかなウェーブが見られることもあります。首周り、耳の後ろ、脚の後ろ側、尾には長めの飾り毛が生え、全体に華やかな印象を与えます。
季節によって下毛が生え替わるため、春や秋の換毛期には抜け毛が増えます。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの毛色の種類
毛色はレッドまたはオレンジを基調とし、明るいオレンジから濃い赤褐色までさまざまな濃淡があります。
胸、足先、尾の先、顔の中央などに白いマーキングが入る個体も多く見られます。白い部分の広さや位置には個体差があり、白いマーキングがほとんどない場合もあります。
鼻、唇、目の縁の色素は黒または被毛になじむ色が一般的です。一方、全身が黒い毛色や、被毛に黒い斑が入るものは本来の毛色には含まれません。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの価格相場
日本国内でブリーダーから子犬を迎える場合、生体価格は35万~40万円台がひとつの目安です。ただし、国内での繁殖数や販売数が少ないため、常にこの価格帯で迎えられるとは限りません。
価格は子犬の月齢や性別、血統、親犬の健康検査やDNA検査の結果、ブリーダーの繁殖方針などによって変わります。希望者が多い場合や、海外から迎える場合は、さらに高額になることもあります。
なお、この金額は、基本的に子犬そのものの価格を指します。ワクチン接種、マイクロチップ、健康診断、血統書、輸送などの費用が含まれているかは販売者によって異なるため、契約前に総額を確認しましょう。
お迎え後には、ケージやクレート、食器、首輪、リードなどの飼育用品に加え、フード代、予防医療費、ペット保険料なども必要です。子犬の購入費だけでなく、継続してかかる飼育費も含めて準備しておくことが大切です。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーのブリーダーを探す方法
ブリーダーを探すときは、まず犬種名と「ブリーダー」「子犬」「出産情報」などの言葉を組み合わせて検索します。
ブリーダー直販の子犬販売サイトや犬舎の公式サイト、SNSなどを確認すると、現在の販売状況や今後の出産予定を探せます。
販売中の子犬が見つからない場合は、犬種を繁殖しているブリーダーへ直接連絡し、今後の繁殖予定や予約の受け付けについて確認しましょう。
出産の予定が決まっていないこともあるため、すぐに迎えることを前提とせず、時間をかけて探す必要があります。
見学時には、母犬の健康状態や性格、子犬が育っている環境を確認します。股関節の画像検査、眼科検査、犬種に関連するDNA検査など、親犬が受けている健康検査の内容と結果も尋ねておきましょう。
子犬の社会化への取り組み、ワクチンやマイクロチップの実施状況、血統書の有無、引き渡し時期、契約内容、迎えた後の相談体制も大切な確認事項です。
質問に具体的に答え、犬種の長所だけでなく飼育の難しさも説明してくれるブリーダーを選びましょう。
極端な安さだけを理由に決めたり、飼育環境を確認しないまま契約したりするのは避けてください。複数の犬舎を比較し、健康面や飼育方針に納得したうえで迎えることが重要です。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの飼い方
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、家族と一緒に体を動かしたり、頭を使う遊びに取り組んだりできる環境に向いています。
庭があるだけでは十分とはいえず、毎日の散歩や遊び、コミュニケーションの時間を確保することが大切です。長時間ひとりで過ごす生活が続くと退屈しやすいため、留守番の時間や家族の生活リズムも考慮しましょう。
基本的には室内で飼育し、滑りやすい床にはマットを敷きます。誤飲しやすい物を片付け、玄関や庭には脱走を防ぐ対策を行ってください。
食事は年齢、体重、活動量に合った総合栄養食を適量与えます。運動量が多い犬種ですが、必要以上に高カロリーな食事を与えると体重が増えやすいため、体形を確認しながら量を調整しましょう。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの運動量
健康な成犬では、1回1時間程度の散歩を1日2回行うことがひとつの目安です。ただし、必要な時間や運動の強度は年齢、体調、気温によって異なるため、愛犬の様子を見ながら調整してください。
歩くだけの散歩に加えて、ボールやダミーを使った回収遊び、ノーズワーク、知育玩具などを取り入れると、体と頭の両方を使えます。
アジリティーやオビディエンス、フライボールなどのドッグスポーツを楽しむこともできます。水遊びを好む個体もいますが、深い場所ではライフジャケットを着用し、水温や流れを確認したうえで遊ばせましょう。
運動不足や退屈は、要求吠え、破壊行動、落ち着きのなさなどにつながることがあります。一方で、幼犬期に激しいジャンプや長距離走を繰り返すことは避け、成長段階に合った運動を心がけてください。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーのしつけ方
子犬の頃から、人、ほかの犬、車、生活音、来客、動物病院など、さまざまな状況に少しずつ慣らしていきましょう。
特に、呼び戻し、リードを引っ張らずに歩く練習、飛びつきや甘噛みの抑制、拾い食いの防止は早い段階から教えることが大切です。鳥や小動物を追いかける可能性があるため、屋外では安易にリードを外さないでください。
賢く覚えが早い一方で、同じ練習を繰り返すと集中が途切れることがあります。練習は短時間で区切り、おやつや遊び、声かけを使いながら成功した行動を褒めて伸ばしましょう。
興奮すると甲高い声を出す個体もいるため、興奮が高まる前に休憩させることや、落ち着いて待つ練習も役立ちます。強く叱って抑え込むのではなく、家族でルールを統一し、一貫して接することが重要です。
留守番は最初から長時間行わせず、短い時間から段階的に慣らします。ひとりで落ち着いて過ごせる場所を用意し、外出や帰宅の際に過度に興奮させないようにしましょう。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーのケア方法
普段は週に2~3回を目安にブラッシングを行い、抜け毛や汚れを取り除きます。春や秋の換毛期には下毛が多く抜けるため、必要に応じて毎日ブラッシングしましょう。
耳の後ろ、首周り、脚の後ろ側、尾の飾り毛は絡まりやすいため、スリッカーブラシやコームを使って丁寧に整えます。強く引っ張らず、毛先から少しずつほぐしてください。
全身の被毛を短くカットする必要は基本的にありません。足裏から伸びた毛は、床で滑りやすくならないように整えます。
水遊びやシャンプーの後は、被毛の表面だけでなく根元までしっかり乾かします。垂れ耳の内部に水分が残っていないか確認し、汚れている場合は見える範囲をやさしく拭き取りましょう。
そのほか、爪切り、歯磨き、耳や肉球の確認を定期的に行います。シャンプーは汚れやにおいが気になるときに行い、洗いすぎによる皮膚の乾燥を避けてください。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの寿命と病気
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの寿命は、12~14年程度が目安です。ただし、実際の寿命は遺伝的な要因や生活環境、食事、運動、日頃の健康管理などによって異なります。
健康を維持するためには、年齢や活動量に合った食事を与え、適正な体重を保つことが大切です。毎日の様子を観察し、食欲や体重、歩き方、目の見え方などに変化がないか確認しましょう。
定期的に健康診断を受けるとともに、子犬を迎える際は、親犬が股関節の画像検査や眼科検査、犬種に関連するDNA検査を受けているか確認しておくと安心です。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーのかかりやすい病気
注意したい病気のひとつが、股関節に緩みや変形が生じる股関節形成不全です。立ち上がりにくい、階段を嫌がる、歩くと腰が左右に揺れるなどの変化が見られることがあります。
進行性網膜萎縮症(PRA)は、網膜が徐々に変性し、視力が低下していく遺伝性の眼疾患です。暗い場所で動きにくそうにする、物にぶつかるといった様子が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
副腎から必要なホルモンが十分に分泌されなくなるアジソン病にも注意が必要です。元気や食欲の低下、嘔吐、下痢、体重減少など、ほかの病気とも似た症状が現れるため、体調不良が続く場合は獣医師に相談してください。
これらの病気は、遺伝的要因だけで発症が決まるわけではありません。日頃から小さな変化を見逃さず、気になる症状がある場合は自己判断せずに診察を受けることが大切です。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの歴史
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、19世紀初頭にカナダ東部のノヴァ・スコシア州で発達した犬種です。なかでも、州南西部に位置するヤーマス郡が犬種の発祥地として知られています。
当時の水鳥猟では、岸辺を動き回る犬の姿に興味を示したカモを近くまで誘い寄せ、その後に撃ち落とされた鳥を回収する方法が用いられていました。
こうした猟を効率よく補助できる犬を目指して、地域の猟師たちが改良を重ねたと考えられています。
成立の詳しい過程には不明な点もありますが、レトリーバーやスパニエル系の犬など、複数の犬が基礎になったとする説があります。
かつては、発祥地にちなんで「リトル・リバー・ダック・ドッグ」や「ヤーマス・トーラー」とも呼ばれていました。
その後、犬種としての特徴が整えられ、1945年にカナディアン・ケネル・クラブによって正式に公認されました。さらに、1987年には国際畜犬連盟にも公認され、カナダ国外でも知られるようになりました。
現在は猟犬としてだけでなく、ドッグスポーツや家庭犬としても各国で親しまれています。発祥国であるカナダを代表する犬種のひとつとして、大切に受け継がれています。
まとめ
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、水鳥を誘い寄せて回収する仕事を担ってきた、カナダ原産の中型レトリーバーです。
賢く活発で家族への愛情が深い一方、豊富な運動と頭を使う遊びを毎日続ける必要があります。
興奮時に甲高い声を出すことや、小動物を追う可能性もあるため、住環境への配慮と子犬期からの丁寧なしつけが欠かせません。換毛期のブラッシングや水遊び後の乾燥、適正体重の維持など、日常的なケアも重要です。
日本では飼育頭数が少ないため、迎える際は価格だけで判断せず、親犬の健康検査や子犬の飼育環境、ブリーダーの繁殖方針を確認しましょう。
十分な運動時間を確保し、遊びやトレーニングを通じて継続的に関われる家庭に向いている犬種です。



